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ハートを作ろう

元彼と撮ったこっぱずかしい手でハートプリクラ(しかもすごい楽しそう)をみてそのまんまの構図で描いた絵でした(^^;
折角なので SS付けて 落書き帳にUPしてみよう、ということで下の絵をクリックするとページに飛べます(笑)
思いつきなのでまとまりがないのはご愛嬌で♪

ハートを作ろう

準待機、いつもの様に遊馬と一緒にお出掛けする。
途中ゲームセンターに立ち寄ったらプリクラから出てきたカップルが楽しそうに出来あがった写真を見ていた。
「ね 遊馬。写真撮らない?」
遊馬は呆れたような顔をして私を見下ろす。
「折角だから あれ撮りたい♪」
そう言って半ば強引に遊馬の腕を引っぱってプリクラの中に引き込んだ。
操作に戸惑っていると「貸せよ」と言って適当にフレームを設定した遊馬が「面倒だからさっさと終わらせろよ」といって撮影のボタンを押した。
『全部で4つポーズがとれます』と画面にでたので 遊馬にお願い。「ね 手、こうして♪」
「あん?」
「いいから早く、ね?」
出来あがった写真には 二人で作るハートマーク。
「・・・すげー こっぱずかしくないか、これ?」
顔を顰める遊馬に向かってにこっと笑う。
「そう? 愛があって良いじゃない?」
「・・・何年か経ったら絶対恥ずかしくてみれないと思うけどな」
「じゃ その時はまた取り直そう♪」
「はいはい」

追記
日記に上げていたイラストを整理して移動中。
折角なので何かつけようとSSつけました
まとまりがなくてすみません(^^;

日咲様との企画用 挿絵もトリミングしてUP♪

画像がちょっと荒れていたのが気にかかったのでちょっと綺麗にしてみました(^^)

日咲様、また企画しましょうね!!

勝手に貢物♪ 峰龍紅さまへ(^^)

勝手に貢物を用意して勝手にUPです(^^;
先日 峰龍紅様のHPにてUPされていた 「幸せは歩いて・・・来た。」の愛らしさに惚れて身悶えること数日(笑)
遂に勝手に絵を描きました。
怒らないでね、峰龍紅さま~

それがこちら。

余談ですが・・・
更新したページを掲示板から直接見れるように仕様を変更すべく昨日から掲示板のソースと格闘してました(笑)
掲示板で 殆どのHTMLタグを利用できるようにしましたので ご紹介なんかでリンクを張りたい方がもしいらしたら どうぞご利用下さい(^^)

バトンいただきました!!

須羽さまよりご指名いただき「名前のない長いバトン」いただきました。

初バトン がんばります!(笑)

★01. 6人にバトンを回す(先に回す人を書いておく)
MEME様。日咲様、teraさま、ASAKIさま、ツッジーさま、そうた。さま
被ってしまってますが・・・PATサイト初めて一ヶ月でお知り合いになれた方が少ないんですよね(笑)許してください☆

★02.お名前は?
さくらです。

★03. おいくつですか?
三十路・・・四捨五入なんて知らない!

★04. ご職業は?
一応、専業主婦で二児の母

★05. ご趣味は?
フルーツ・ソープカービングとか。ネット、それに落書き・・・

★06. 好きな異性のタイプは?
包容力のあるシュッとした人!

★07. 特技は?
フルーチェの一気食い(←辞めた方がいいと思う。自分でも)

★08. 何か資格持ってますか?
教員免許と運転免許。

★09. 悩み何かありますか?
身長 今更だけど伸びないかなぁ・・・とか(^^;

★10. 1番お好きな食べ物と1番嫌いな食べ物は?
好きなものは・・・なんだろう?
北海道の友達が送ってくれるチーズ。
嫌いなものは メロン
甘い瓜なんてきらいだ~!!

★11. 回す6人を指名すると同時に簡単に他者紹介をお願いします。 
MEME様。うっとりするような素敵イラストをお書きにられます。その技習いたいです☆

日咲様。可愛い野明と遊馬が出てくる小説が魅力♪サイト開設の立役者さま。

teraさま 毎日お仕事を頑張っているスーパーウーマン♪バイタリティが羨ましい!

ASAKIさま、素敵な遊馬と可愛い野明の出てくる文才溢れる小説家。その文才分けて下さい(笑)

ツッジーさま、毎日更新されるHPと気さくなお人柄。さらにリクエストの小説まで書いてくださるお仕事の速さと発想の豊かさに脱帽です(笑)

そうた。さま 初対面でチャットに乱入しても暖かく迎えてくださった懐の広い方。イベントの主催もなさっていてお世話に鳴り捲りです(^^)

★12. 今まで歳上と付きあったことある?
はい。2つ上の人が2人いたなぁ。

★13. あなたは一人旅に出る決心をしました。まず何をしますか?
温泉か 沖縄に行きたい。
1人でいつまでも寝ていたい(笑)

★14. 好きな芸人は?
芋洗坂係長と よゐこ

★15. あなたを動物に例えるなら?
猫 だそうです。
最初の彼氏いわく(笑)
ヤツには今でもそういわれます・・・・

★16. 今までで1番嬉しかったプレゼントは?
当時やたら忙しかった彼氏が誕生日にちゃんと休んでくれたことかなぁ・・・・

★17. カラオケでよく歌うのは?
ちっとも行ってないですね~
最近の歌がわからない(笑)

★18. 恋をするとどうなりますか?
あんまり見た目変わらないそうです(笑)
本人はわりと盛り上がってるつもりですが出ないみたいですね(^^;

★19. 最後の発信、着信履歴は?
発信がママ友で、着信が郵便局。

★20. 何のシャンプー使ってる?
ツバキ。

★21. もし100万円貰ったらどうする?
黙ってTDLで豪遊します♪
CLUB○○に行くとか(笑)
高くておいそれといけないんだもん(笑)

★22. 今日何件メール来た?
ケータイに12件。パソコンに22件。
殆どDM(^^;

★23. 貴方の好きな歌詞は?
幸せは歩いてこない だから歩いていくんだよ

★24. 結婚相手に求めるポイントは?
仕事をサボらない、物に当たらない。

★25. 今の着信音は?
Wing to the Dream (PATの新OVA最終話のエンディングですね)
CDの音源を自力でiモーションに加工して使ってます(^^;

★26. 今日の晩御飯は?
パスタ。ベーコンとほうれん草があったはずだ。

★27. 異性のこんなことしたら引く行動3つ。
物に当たって壊す。
いつでもけんか腰。
人の行動にいちいち いちゃもんをつける

★28. オススメの映画は?
「カラーパープル」古い映画で内容暗いんだけど 何度もみましたね。

★29. 回してきた人の印象。
暖かくて優しい雰囲気。
かわいい女性。

★30. 好きなお酒は?
日本酒~ 美少年とかいいですね!

★31. 本当に酔った時どうなる?
変わらないらしいです。
そのまま普通だそうで(笑)

★32. 最近読んだ本は?
「カッコウはコンピュータに卵を産む」

★33. 初キスは?
そう思えるのは 中学のときに 港の見える丘公園かな~

★34. 好きな動物は?
猫 ペンギン

★35. 右利き?
YES

★36. 今一番欲しいものは?
持ち家(笑)

★37. 好きな季節・嫌いな季節は?
好きなのは さくらの咲く 春。
嫌いなのは 猛暑の夏かな。脱ぐにも限界ってあると思う・・・

★38. 自由になる時間とお金がいくらでもあるとしたらどこで何する?
避暑地でPC片手にネットショッピング(笑)

★39. 子供の頃に抱いていた将来の夢は?
婦人警官かCA。ともに身長で断念

★40. ジェンガは好きですか?
得意です!!!。

★41. 好きな果物は?
いちご いくらでも行きます!

★42. 一年前の今日、何してた?
普通の主婦でした。
パソコンはしてましたが(笑)

★43. じゃあ明日のご予定は?
ない。1人で出かけたいなぁ・・無理だけど。

★44. 絶対やらなきゃならないとして、コスプレするなら何?
フリフリ着てみたいので ローゼンメイデンとか・・・

★45. キュンとくる行動、妄想してください!
何かの弾みで顔がちかづいて 野明と遊馬が慌てて同時に目を逸らす・・・とか(笑)

★46. このバトン長いと思います?
長いですよね~

★47. かき氷のシロップは何派?
コンデンスミルク!

★48. 駄菓子といえば?
ミルクせんべい

★49. ハトの巣ベランダにある?
ないです

★50. ipodとsonyのウォークマンだったらどっちがいいと思う?
どっちも仕様が特殊なのでMP3プレーヤーで(笑)
汎用性のないものはあまり好みません

★51. マックですきなメニューは?
今ないけど ベーコンポテトパイ

★52. 長澤会か沢尻会、入るならどっち?
長澤会で(^_^;)エリカさま怖そうだもん

★53. 使ってるのはSuica?PASMO?
suica

★54. コンビニエンスストアの王様は?
このあたりだと ローソン いっぱいあるから

★55. 今,頭の中を流れている曲はなに?
川井憲二のアルバム(笑)

長かったぁぁぁ こんなんでいいんですかね、バトンって(^^;

サプライズ ツッジーさま

サプライズ

ツッジー様のご厚意で掲載を許可していただいたので、UPしちゃいます。
サプライズをテーマにあすのあでお願いしますという リクエストで書いていただきました
今回はなんとツッジー様作の挿絵付きです!(^^)
とってもキュートなストラップ♪
ツッジー様 いつも本当にありがとうございます!!(^^)

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隊員室で遊馬と2人きり。束の間の休憩。

「野明、右と左どっちがいい?」
突然差し出された遊馬の顔と手を交互に見る。

「何だよ。別に変なもんなんて入ってないさ。」
「ん?じゃあ右かな?」
「ん。じゃあ俺が良いって言うまで目閉じとけよ。」
「えー?何するの?」
「いいから。目閉じろ!!」
あたしは渋々目を閉じた。

カチャカチャと音がする。
金属の擦れるようなそんな音が・・・。

「目は閉じたままで手出せ!!」
「もう、何だよ!!」
と言いながらもあたしは手を前に出す。

手に何かが乗った。
四角くて少し重い・・・。

「目あけて良いぞ!!」
遊馬の言葉と共に目を開ける。

あたしの手に乗っていたのは、あたしの携帯。
ただ、1点だけ変わっていた。
ストラップが付いてる事。

金属音がしたのは、金属のプレートが付いていたから・・・。
形が少し変わっていて、まるでパズルのピースのようだった。

「これ、何?」
「ストラップ。」
「見りゃわかるけどさ、どうして?」
「たまにはこういうプレゼントもいいだろ?」
「うん。嬉しい。」
携帯を少し揺らすと、ストラップが揺れる。

「このストラップさ、こうすると・・・。」

遊馬の携帯にぶら下がるストラップとあたしにぶら下がるストラップを合わせると小さなハートが現れた。

「俺の気持ち。」

そう言うと、遊馬は携帯を掴み隊員室を出る。

「・・・バカ・・・。」

携帯のストラップを眺めながら、小さく小さくつぶやいた・・・。

Fin

軽井沢編3 配役

軽井沢編第三弾

やっとコテージに着きました(笑)
お泊り旅行の一日目 スローペースでスタートです(笑)
まだまだ完結には程遠いですが・・・最後までお付き合いいただけますと幸いです。

以下本文です

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配役
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「ここに泊まるの?」
野明は目の前のコテージを見て遊馬の顔を覗き込む。
「そ。連泊するならこっちの方が経済的だし、何より気兼ねなくていいだろ?」
言いながら 遊馬は鍵を開けて中に入る。
パチンと部屋の電気をつけると、車に荷物を取りに戻った。
野明も慌てて後を追う。
一通り荷物を運び終えると 遊馬はコテージ真横にある駐車スペースに車を入れてくるといって外に出た。

1人残った野明は室内をぐるっと見てまわる。
ダイニング机の上に建物の説明と注意書きのような冊子があるのに気付き手にとった。
間取りは大きな1DKといった造りで 16.5畳のリビング・ダイニングにカウンターキッチン、隣室はセミダブルのベッドが2台ある13.5畳もある寝室。お風呂とトイレ、洗面所はきちんと独立していて、バスルームには大きめの窓があり外囲いにかこまれた坪庭を見ることができる造りになっている。寝室の窓からは睡蓮の浮かぶ小さな池が望め、大きく張り出したベランダには専用のバーベキュー台もあるらしい。
典型的な貸し別荘。
野明は冊子を置いてキッチンに向かう。
戸棚を開くと一通りの食器や炊飯器などの家電、調理器具、調理道具に食器洗い用のスポンジや洗剤、塩、醤油をはじめとする簡単な調味料も用意されていた。
洗面所も覗いてみれば 洗濯機も物干し台もあるし、掃除機他掃除用具も一式、タオルやバスマット、シャンプーやリンスに石鹸まで揃っていて 冷暖房も当然完備されていた。
「至れり尽くせりだね」と思わず口に出す。
「ホテルより充実してるだろ?」と帰ってきた遊馬が玄関口で答えた。
「本当だね、ないのは食料品と着替えくらい」
「だから 買い物してきだんだろ?」
遊馬は愉しそうに笑って買ってきた食料品と寝巻きなどの入った袋を手にしてキッチンカウンターにドサッとおく。
「冷蔵庫 冷えてるかな?」といいながら扉を開け中からひんやりした空気が流れ出すのを確認すると袋の中身を冷蔵庫に入れ始めた。
野明も駆け寄って「やるよ」と声を掛けたが、遊馬は「いいから座ってろ」と言ってテキパキと冷蔵庫の中に買って来た物を仕舞い込んだ。
手持ち無沙汰になってしまった野明は寝室を覗きに行く。広い部屋に結構な間隔をあけて2台のベッドが配されていた。『随分無駄に場所使ってるなぁ』と思って近づくと 其々のベッドの下にトランドルベッドが用意されているのをみてこの間隔の広さに納得する。
そういえばダイニングのいすも4客あったしここは4人まで泊まれる建物なんだと得心が行く。
バスルームを覗けばそこもかなりの広さで『ひろみちゃんでも足が伸ばせそうだ』と思うくらい浴槽も広く ファミリー層でも十分に対応できる施設だと知れた。
床も浴槽も綺麗に洗ってあるのを確認して遊馬に声を掛ける。
「ねぇ 遊馬ぁ お風呂って沸かす?」
時間はもう8時を回っていて遊馬は少し考えて答えた。
「順番に入ると時間掛かるしな、沸かしといてくれ」
「はーい」返事をして野明は全自動給湯器のボタンを押した。

リビングに戻ると遊馬は既にソファに座ってTVを見ながら寛いでいて野明に軽く『こいこい』と手招きをした。
「なあに?」といってそばに寄ると「座れよ」といって自分の隣をぽんっと叩いた。
「そこに?」
「嫌ならいいけど?」
「座らせてもらおっかな」
遊馬の横にぽすんと座って顔を見上げる。
「ほら」
グラスに移した缶チューハイを野明に手渡すと、自分もビールの入ったグラスを手に持った。
「おつかれさん」と軽く笑う。
「疲れたのは遊馬でしょ? 私運転してないし」
遊馬の顔を覗き込む。
「そうでもないさ。大した距離じゃないしな」
さらりと言う遊馬に 少し不満気な顔で頬を挟むように両手を添えて言う。
「目の下に隈できてるよ。大丈夫?」
「ばーか 気にしすぎ。今日はもうあとゆっくり休むだけだし明日になったら消えてるさ」
言いながら つまみに出していたポッキーを一本野明の口にぽいっと放り込む。
野明は遊馬の頬から手を離してポッキーの尻尾を人差し指で押しながらポリポリと食べると「ならいいんだけど」と呟いた。
TVを見ながらお酒とつまみを手にリビングでまったりと過ごす。
暫くしてから野明は 「あ!」と声を上げた。
「ご飯前にこんなの食べてよかったのかな・・・」
「そういや 惣菜買ってたよな、確か・・・」
そういうと二人でキッチンに向かい冷蔵庫とレジ袋を開く。
買ってきたものを机に並べて幾つか選ぶとお皿に出してダイニングテーブルの方に運んでいく。
遊馬も飲みかけのビールやチューハイをダイニングテーブルに移動させた。
「野明、お茶とコップな」
「お茶ってあったかいの淹れる? それともペットボトルの?」
「そうだなぁ 熱いのくれ」
「はーい」
返事をしながら急須に買ってきたティバッグの緑茶を入れてお湯を注ぎ抽出を待つ間に湯呑みを探してお湯で温め お茶を注いでテーブルに運ぶ。
「はい お茶」
「サンキュー」
お茶を受け取る遊馬を見て野明は『なんだかなぁ』と思う。
いつも二課でしている事とやってることは全く変わらないのだが何となく浮き足立っている自分が居る。
遊馬の正面の椅子に座って食事を摂りながら、ふと思った。
「ね、遊馬」
「ん?」
「向かい合って座るってあんまりない気がしない?」
二課ではいつも隣に座る。食事もそうだし普段の席も隣同士だ。
「そうか? ・・・そうかもな。それがどうかしたのか?」
「ちょっと新鮮だなぁって思って」
「新鮮ねぇ。そういうもんか?」
不思議そうに首を傾げる遊馬に野明は「うん」と頷いてみせる。
「なんかちょっと変な感じ」
両手で顎を支えるように肘を突いて遊馬の顔をしげしげと眺める。
「・・・なんだ?」
遊馬は怪訝な顔をして箸をとめた。
「何ってことも無いんだけど・・・」
何と言って良いかわからなくて言葉に詰まる野明をみて、遊馬は「ふーん」としたり顔で頷く。
「なんとなく落ち着かない、違うか?」
悪戯っ子のような笑顔で楽しげに問う。
「えっと・・・そう・・・なんだと思う。良くわかんないんだよね」
困った顔で答える野明に目線を合わせると クックッと笑う。
「あんま悩むなよ そんなんであと3日保つのか?」
「・・・悩んでる様に見える?」
「見えるけど、違うのか?」
「・・・どうなんだろう?」
「ほら それだ」笑いながらそういって席を立つと野明の隣の席に移る。
「隣の方が落ち着くなら 並んで座ればいいだろ」
頭の後ろで手を組んで軽く伸びをすると「折角 遊びに来たんだから楽しくやろうぜ。」といって野明の髪をくしゃっと撫でた。

食事が一段落して 使った食器を片付けにキッチンに入る。
野明の洗った食器を遊馬が綺麗に拭いて棚に積み戻していった。
食事当番の時に何となく出来上がった分担。
いつもと同じ作業なのに 妙にそわそわした気分になった野明は遊馬にくすくす笑いながら声を掛けた。
「なんか ままごとしてるみたい」
「え?」
「家付き 実物大のままごと」
「・・・・まままごとねぇ・・・」成る程、確かにそうかも知れない、と思う。
「遊馬は子供の時にやらなかった?」
「・・・あんま 記憶に無い」
「え~ そうなの? 近所の女の子とか公園でやってるのに巻き込まれたりとかさ?」
「小さい時は公園とかあんま行かなかったしなぁ。爺さんと住んでたから。」
「そうなの?」
「庭で大人相手に過ごす時間の方が多かった。学校上がってからは外でも遊んだけどな」
「学校に上がると 男の子巻き込んでのままごとってしなくなるよね。嫌がられちゃうし」
「家に来た客の子供と数回やったくらいかな、多分。すぐ逃げるから相手が怒るんだよな」
溜息混じりに言う遊馬に野明は笑った。
「遊馬らしいというか。興味ないと全然乗ってくれなさそうだよね」
「楽しいと思うか? 男があんな遊びして。何が悲しくて会社帰りのサラリーマンの役とか演じなきゃならんのだ。」
「へぇ? 旦那さん役だったんだ、それは好待遇じゃない」野明はクスクス笑う。
「なんで?」
「そりゃね、好意がある人ほど旦那さん役にしたいじゃない。そうでない人は子供とか赤ちゃんとか果ては近所のお店の人とか演らされるんだよ。そういうの無い?」
「さあなぁ・・・そういうのは記憶に無いなぁ・・・・」
「遊馬 モテモテだったんだ♪」
「そういう問題か?」遊馬は呆れたような顔で野明を見下ろす。
「そりゃ 旦那さん役に指名するなら好きな人がいいじゃない? それ以外の役指名されたこと無いならモテモテじゃない」
からかう様に言って笑う野明を横目に遊馬はにやりと笑う。
「じゃ、野明。お前は俺に何の役くれる?」
虚を突かれて野明の動きが止まる。
遊馬はにやにやと笑いながらもう一度聞く。
「実物大のままごと、なんだろ? 俺の役は何?」
「えっと・・・」
口ごもる顔が赤く見えるのはチューハイの所為ばかりでもないだろうと思いながら野明の顔を眺める。
更に一言いってやろうか、と思った時 給湯システムが軽やかな電子音で浴槽に湯が張れたことを知らせた。

「あ 遊馬! お風呂沸いたよ」
あからさまにホッとした顔をして話題を逸らす野明に思わず小さく笑いその話に乗ってやる。
「先 入ってくるか?」
「私 用意あるから遊馬先でいいよ。」
「そっか? じゃお先。」
「ごゆっくり」と小さく手を振る野明に 片手を上げて返事をすると着替えを手に浴室に向かう。

『逸らされた質問の答えはおいおい聞き出すさ。時間は有るんだし』そう思うと遊馬は妙に楽しい気分になって浴室の扉を開けた。

to be continue....

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追記

なかなか時間が進みません(笑)
時間経過から行けば 2時間くらい?!
このままのペースでうっかり4日設定してしまった休日を何回で書ききるのでしょう?(^^;
まずは ここまで 長い駄文にお付き合いくださって有難うございます。

コラボ企画~♪

ここ一月ほど 裏でこそこそ『桃花源』の日咲様と楽しく企画してきた『相互リンクでコラボ企画』が遂に完成しました(^^)

以前リクエストで書いて頂いた「少しだけハッピーフライト」の続編を相互リンクでリレー掲載という夢のような提案を戴き、僭越ながら挿絵まで描かせていただきました♪
私のわがままに根気良くお付き合いくださった日咲様に大感謝してUPさせていただきました。

お楽しみいただければ幸いです。

ご協力いただいた日咲様にいいつくせない感謝と、これに懲りずにまたやりましょうね!というお誘いを添えて。

『続 少しだけハッピーフライト』 (リンク小説:with 日咲さま)

『続 少しだけハッピーフライト』

桃花源の日咲様との夢のようなコラボ企画です!
頂いた小説の続きを相互リンクで掲載させていただけることになりました。
気合をいれて絵もつけてみました(^^)
日咲様のご好意で私のサイトに前半を掲載させていただけることになっていまして後半は 「桃花源」様にて拝読できます
では 以下から本文です。どうぞお楽しみ下さい(^^)
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機体を前から後ろへと走る二列の狭い通路はいずれも席を立った乗客らで渋滞している。
荷物を下ろしたり、連れを待って足をとめる者のせいでなかなか進めないでいる乗客らの隙間を遊馬は野明の手を引きながら、器用に体を斜めにすり抜けていく。
人を押しのけるわけでもなく、無理やり突き進むのでもなく、すいすいと導いてくれる。
こういうとき、野明は遊馬の要領の良さにただ感心してしまう。
自分にはないスマートさとでもいうべきか。
未来の夫となる人物が頼もしく思え、ついにやけそうになるのをこらえる。
大の大人が手をつないで狭いところを歩くのもどうかと思うのだが、これだけスムーズに通過するのなら誰も咎めはしないだろう。
今日はきっとものすごく浮かれているのだろうと野明は自覚していた。
やはり、あらためて実家への婚約の報告をすませたことはとても大きな意味がある。
行きの飛行機の中ではただの恋人だったのが、今はもう正式な婚約者だと胸を張って言える立場になった。
何も変わらないようで、野明の中では小さくも明確な違いがあった。
今回の実家への帰省はいつもと比べて少しだけハッピーフライトであったのだ。
そんな幸せ気分の旅も機体を降りればそこで終了してしまいそうで、野明はちょっと名残惜しい気持ちで飛行機の出口と連絡通路へのつなぎ目を跨いだ。
連絡通路まで出てしまうと、急に人ごみから解消される。
向こうにデジタル時計の掲示が見えた。
すでに23時を回っている。
皆、到着ゲートへと足早に突き進んでいく。
さして急ぐ必要のない野明と遊馬は、とくに歩調を速めるでもなく、そのまま人の流れに乗って歩いていく。

「ねぇ、ところで帰りはどうするの?」

到着ロビーまで来たところで、野明ははたとそんな疑問に気づいた。
そういえば、到着時間がこんなにも遅くなるのはわかっていたはずなのに帰りの交通手段のことなど考えてもいなかったのだ。

「おまえ、今更そんなこというか?」

遊馬はあっけにとられたかのように言った。
なによう、と野明は見返したものの、それ以上の反論が出てこない。
タクシーを使えば家には帰れるのだけれども、それじゃちと高くつくなどと、しょうもないことを考えてはいた。
到着ゲートを通過しロビーに出ると、手続きカウンターの多くが業務を終えていて、ひっきりなしに人が出入りするあの空港特有の喧騒のようなものはすでになく、広いフロアを行き交う人はまばらだ。
いつもは満席状態のベンチも今は誰一人座っていない。
座る理由もないので、二人はベンチを素通りし、だだっ広いロビーを長く横切るように歩いている。

「遊馬、モノレールこっちだよ?」

手を引かれて歩いていた野明が、足をとめる。
遊馬もまた立ち止まる。

「タクシーでいいだろ」

「えーっ。でも両方の家まで使ったらすごく高くつくよ…

「んなゼイタクはしねぇよ。一ヶ所で一緒に降りればいいだろ」

「あ、そっか」

それがどういう意味か理解して、ちょっとだけ野明の頬が赤くなる。
いつからだろう、夜遅くなるとどちらかの家に一緒に帰ることがごく当たり前になっていた。
近いうちに帰る家はひとつになるのだと思うとなんだか照れくさい。

「今夜はどっちにするの?アタシんち、それとも遊馬…ここから近いのは、えと…」

互いの家はそう遠くもないのだが、ここから向かうとなると方向が違う。
単純に距離ではなく利用するルートによってもタクシー代金は左右されるので、少しでも安く済むようにと野明は考えをめぐらす。
真剣な顔をしている野明を見てくすりと遊馬が笑う。

「なんだよ。主婦になるには大事なことなんだからね」

「いい心がけだなぁ~」

タクシー乗り場にはさきほど同じ便から下りたであろう客が数名列をなしていたが、いたが皆次々と回ってくるタクシーに乗り込んでは去っていく。
ふたりも足をとめる間もなく自動で開いた後部座席のドアの中へと乗り込んだ。
すぐに運転手が問う。

「どちらまで?」

「羽田シティホテル」

一言だけ遊馬が言った。

「かしこまりました」

この時間帯に乗る客がよく利用するホテルなのだろう、運転手は聞き返すこともなくすぐに発車した。
窓の外は真っ暗で、車内は静かだ。
客といえども声高に話すのは少し躊躇らわれた。
野明は小さな声で遊馬に尋ねる。
「ねぇ、ホテルに泊まるの?」

「ああ」

ぼそりと遊馬が答えた。
ずっしりと座席に腰を下ろし、視線を窓の外へ向けた。
先に発車したタクシーが前方に数台走っているほかには道路を通行する車両はない。
ふたりの乗ったタクシーもそのテールランプを追うようにスピードを上げる。

「そんなの聞いてないって」

野明は少し不機嫌そうに遊馬の横面をにらんで脇腹を小突いた。

「言ってなかったか?」

「言ってないっ!」

しれっとした遊馬の態度につい、声が大きくなる。
運転手が何を言うわけでもないのだが、無線の入る音が聞こえて野明はつい言葉をとめる。
窓越しの暗闇に道路に設置されている外灯がオレンジの帯のように流れていく。
その奥に遊馬の言ったホテルの名前が書かれた看板が確認できた。
野明はホテルの名前を耳にした時はどこか知らなかったのだが、聞くまでもなくそれが空港のすぐ傍にあるのだとわかった。
タクシー代を計算する必要もなかったわけだと、ひとり納得した。
深夜になろうかという時間である、貸切状態の道路を快調にひた走ると目的地にはほんの数分のうちに到着してしまった。

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追記

描かせていただいた挿絵はこちら(^^)

上の画像をクリックすると大きくなります。

<ご注意♪>
ブラウザの環境によっては一度画面の大きさ高さをあわせた荒い画像で表示されることがありますがその際はもう一度荒い画像をクリックして画像を拡大してご覧くださいませ(^^)
お帰りは ブラウザの戻る釦で♪

続きは 日咲様サイト 桃花源<にてお楽しみ下さい・・・

軽井沢編2 お出掛け

今度は出発の野明サイドです。
最初は別行動ですものね(笑)
というわけで 軽井沢編第二弾。
皆様の暖かいお言葉に支えられて書いてます(笑)
どうぞよろしくお願いします!!

以下本文です

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お出掛け
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野明が寮に戻ると 11時半を少しまわっていて人気疎らなコモンスペースを抜けるとまっすぐ自室に向かった。
部屋の前で鍵を出していると、これから出かけようとしていた緑が野明に気づいて声を掛けた。
「野明、今帰り?」微かに含みのある笑顔で問いかける。
「うん、だたいま、これから出勤?」答えながら鍵を開けて扉をひらく。
「今日は夜勤。お昼食べに出ようかと思ったの。野明は?」
「とりあえず着替えて このあと出かける」
「そうなんだ? 篠原君も一緒?」
「後でむかえに来るっていってたよ」
「そうなんだ~」とにこにこと笑う緑の顔に野明は少し怯んだ。
「な、なに?」
「い~え♪ お昼、買いに行こう。話聞かせてもらうわよ?」そういうとさっさと野明の手を引いて近くのコンビニに向かった。

コンビニで弁当と飲み物を購入し野明の部屋にやってきた緑は含みの笑顔を見せながら手早く買ってきたものをテーブルに並べた。
野明がアンサンブルを脱いでTシャツとホットパンツに着替え緑の向かい側に座ると、弁当をつまみながら徐に緑が口を開いた。
「ね、あの後、どうしたの?」興味津々といった様子の緑に野明は気圧される様に身を引いた。
「どうって・・・飲み直そうって遊馬が。それで東口のバーに行った」
「へぇ? 良かったじゃない。で?」楽しそうに後を促す緑に野明はバツが悪そうに続けた。
「酔っ払って、寝ちゃったの」
「誰が?」
「私が。」恥ずかしくなってちょっと目を逸らす。
「・・・嘘でしょう?」緑は目を丸くして言った。「あんた 蠎(うわばみ)じゃない?」
「蠎って・・・。でも そうなの。注意されたんだよ、飲み方に気をつけろって。・・・でも寝ちゃったの」
野明は ほうっ・・・と息をついた。
「そう。それで どうなったの?」目を眇めて緑が先を促す。
「どうやっても起きないし電車もないからって 遊馬がホテルに運んでくれたの」
こういうことを普通に話せるようなタイプではないとおもっていただけに、さらりという野明に緑は少なからず驚いた。
「え? じゃぁ・・・」一線を越えたのか、と聞こうとする前に野明が続けた。
「で Tシャツとか買ってきてくれて、着替えてシャワー浴びて、酔いが醒めるまで面倒見てもらちゃった」
「・・・・・・それで・・・?」
「それでって、それだけだよ。其々 ベッドで朝までねてて起きて帰ってきたらこの時間に・・・って 緑?」緑の眉間に小さく皺が寄っている。
「其々って シティホテルに泊まったの?」
「うん、ツインの部屋を取ってくれて。」
緑は まじまじと野明を見た。
「で? よもや何もなかった、とか言わないわよね?」
「何もって、何もないよ。叱られたけど。 『一応 年頃の娘なんだから行動に気をつけなさい』って・・・」
緑は呆然とした顔で野明を見て、その後天井を仰ぐと はぁーっと大きく溜息をついた。
上手くやってねと言っておいたはずなんだけど・・・そう思い眉間に人差し指を添えるようにして軽く目を閉じる。
「それで 手も出されることなく帰って来れちゃったわけね?」
そういうと野明の顔を覗き込んだ。「そういう言い方しないでよ」と野明は拗ねたような顔で答える。
「遊馬は 『酔っ払いには手を出しません』って。そういうの嫌なんだって」
緑は『へぇ、意外に生真面目なんだ、篠原くん』と思い軽く目を瞠る。
「大事にされてんじゃん、野明」
「・・・そうかな・・・?」野明は小首を傾げる。
「じゃないの? だから素面でないときに手を出して後悔したくないってことでしょ? 何も拗ねることじゃないわね。」
「別にそういうことで拗ねてるわけじゃないって」
「そういわれるのが嫌なら せめてほろ酔いで済む程度にしとくのね。」
「だから そうじゃなくて・・・」
「はいはい いいわよ、何でも。で 今日これから出かけるって?」
「あ うん。そうそう、軽井沢行こうって。」
「軽井沢って今から?」時間を見るともう1時を過ぎている。確かに日帰りできない場所ではないがそれでは 大して遊ぶことも出来ずに疲れに行くようなものだろう。
「もしかして 泊まり?」
「今週、準待機だから」野明は目を少し逸らすようにして答える。
「そっか」緑は含み笑いを見せた。
「じゃ 荷物の用意とかあるか。私、一旦部屋に戻るわ、後でお化粧してあげる♪」
そういうと食べ終わったお弁当の容器をテキパキと片付けて「後でね~」と手をヒラヒラ振りながら部屋を出て行った。
部屋に残された野明は一息置くと「さて」と声を出して立ち上がり荷物を纏めるべくクローゼットを開けた。
ボストンバッグに着替えや洗面道具などを詰めると寮の受付に降りて外泊届けを提出する。
部屋に戻ると再びクローゼットを開いて『何を着ていこうかな』と端からハンガーを滑らせるようにしながら中身を物色していき、悩んだ末に麻で出来た生成りのワンピースを手に取った。
いそいそと着替えて姿見の前でくるりと回ったりしているとコンコンと扉がノックされて緑が顔を出した。
「どう?用意終わった?」
「うん、大体ね」
野明が答えると、緑は野明の格好を見て「ふーん」と言いながら口の端に笑みを浮かべる。
「いい心がけじゃない?」というと野明の頭をぽんぽんと叩いた。
「じゃ お化粧しましょうか♪」というと楽しそうに野明に化粧を施す。
昨日とは違う色のパレットを使って手際よく色を乗せていくと最後にリップの上にグロスを重ねた。
「うん、完成!」といって満足そうに頷くと手鏡を取り出す。
「どう?」
「ありがとう」野明は暫く鏡を覗いてから「色で雰囲気って変わるんだねぇ」としみじみ呟いた。
昨日はピンク系の色が多かったのでどちらかと言えば甘い感じのメイクだったが 今日はグリーンやブルーが入っていてちょっと凛とした感じの仕上がりになっていた。
「今日は服が生成りだからね」と言いながら緑は小さなメイクパレットを2つ野明に差し出す。
「使い方教えてあげるから座って」というと野明にメイクの方法をレクチャーし始めた。
一通り説明すると 小さなポーチに寒色系と暖色系2種類のパレットと小さなグロスとリップを入れて「はい」と野明に手渡した。
「ちょっと使っちゃってるけど、あげるわ。私はこの色あんまり使わないし。」
「え、でも・・・」
「頑張ってらっしゃいって意味込めて。取り敢えずもって行きなさいよ。中身はトライアルキットの寄せ集めだから気にしないでね」というと にっと笑って言った。
「リップの色は薄いのにしてあるから、ついちゃっても目立たないように」
「なっ・・・・!」野明が顔を真っ赤にして緑の方を見ると、緑は楽しそうにケラケラと笑った。

暫くして 野明の携帯電話が軽やかな音を立てた。
遊馬が自分で設定して行った着信音なのでディスプレイを確認しなくても相手は彼だとわかる。
「はい、もしもし」
「あ、俺。今から車でそっちに行くけど大丈夫か?」
「うん どのくらいかかる?」
「30分見といてくれ」
「わかった、気をつけてきてね」
野明が電話を切る。
「すぐ来るって?」
「30分くらいで来るみたいだよ。」
「そっか、忘れ物ない様にね。楽しんでらっしゃい♪」」緑は笑顔で野明の肩をぽんと叩いた。

30分もしないうちに再び携帯が軽やかな音を立て、遊馬の到着を知らせると野明はボストンバッグとハンドバッグを手に部屋を出る。
寮の玄関を出たところで ハザードを出して止る車を見つけた。
遊馬が降りてきてボストンバッグを受け取ると「荷物、これだけか?」と声を掛け、助手席の扉を開けた。「先 乗ってろよ」と促し手にしたボストンバッグをトランクに仕舞う。
運転席につくと遊馬が「出るぞ」と声を掛けとゆっくりと車が走り出した。

走り出してすぐ「交通情報検索してくれ」といって遊馬は野明に自分の携帯を手渡した。
「えと、どうやって?」困った顔でそれを受け取ると一応ディズプレイを開いてみる。
そもそも機械が苦手な野明は基本的な通話とメール以外の機能を殆ど使いこなすことが出来ない。
レイバーに乗れることと機械が得意なことは全く別問題なのだ。
遊馬がアプリケーションの使い方を説明したが野明は結局理解することが出来ず 車が関越に乗ったこともあり携帯での検索を諦めてラジオで情報を取得することを選択した。
ハイウェイ・ラジオの電波を捕まえると交通情報に耳を傾ける。
道中大きな混雑は報じられておらず順調なドライブが出来そうだった。
「碓氷軽井沢I.C.まで ノンストップで一時間半ってとこだな」
遊馬が前を見ながら口にした。
それは野明に語りかけたというよりもラジオの情報を分析した結果が口をついて出ただけ、という口調だった。
「そんなもんで着くの?」意外な近さに驚く。
「でないと、準待機中に出かけられないだろ?」呆れたような顔で言われ、準待機であることを忘れかけていた野明は惚けたように「そっか、準待機・・・」と呟いた。
『途中、寄りたいところはあるか』と訊かれたが、まるで土地勘のない野明にはまったくわからず、苦笑した遊馬はそのまま運転を続けた。

隣でハンドルを握る遊馬の顔を何とはなしに眺める。
いつも見慣れた遊馬の横顔。
初めて会った頃より少し精悍さを増した顔、シャープさを増した顎のライン。
今まであまり意識してみることがなかったその顔をまじまじと見ていると心臓の鼓動が早くなる気がして少し落ち着かない。
一度目を逸らして目線を前方に向けたものの、すぐに遊馬の方が気になってまた目線を戻した。
『どうしてこんなに 落ち着かないんだろう?』
遊馬の運転する車に乗るのは初めてじゃない。
任務中、指揮車に同乗する事もあれば、キャリアを運転する遊馬の隣に乗ったこともある。
研修や説明会の時には公用車で相乗りすることもあったし 遊馬の助手席に座ること自体はさして珍しいことではない筈だ。
休日を共に過ごすことが多いため私服が珍しい、ということもない。
なのにどうしてこんなに落ち着かないのだろう。
泊まりで出かける、ということがその一因なのかもしれないが、月の半分は二課棟で泊り込みになる中で宿直室で雑魚寝したことも一度や二度ではないし、二人でということなら着任間もない頃に手違いの結果とはいえ酒田の旅館で同泊した経験もあった。さらに遊馬は北海道の実家まで押しかけてきて泊まって帰ったことすらある。
何かにつけて 『初めて』ということがこれほど乏しい相手というのも珍しいと思う。
まして 彼とは付き合っているわけではないのだから。
野明は今朝、彼が発した『彼女にしてやる』という言葉を思い出しその真意を測りかねた。
かといって 今更『あれは 本当か』と問い直す勇気もない。
結果として自分は『迎えにきて』といい、彼は迎えに来たのだからそれが答え、と取ることもできるかも知れないが、はっきりとした返事をもらえたわけではない野明は結果不安を抱えることになってしまった。
自分のあの答えは告白したも同然で、それに気付かないでいるほど遊馬は鈍くないだろう思う。
『遊馬はどう思っているんだろう?』と考えながら野明は暫くの間、運転を続ける遊馬の横顔を眺めていた。

藤岡のJCTを通り上信越道に入って暫くすると 遊馬が不意にこちらを向いた。
一瞬目が合ったが遊馬はすぐに目線を正面に戻し、「どうした?」と声を掛けた。
「何が?」
「落ち着かないみたいだからさ、気が進まないなら無理せずに帰るか?」
考えていたことを見透かされたような気がして吃驚した。
「あの、違うよ、遊馬。気が進まないなんてそんなんじゃないの。そうじゃなくて、なんか変に緊張しちゃって・・・なんだろうね?」
答えながら、『そうか、私 緊張してるんだ』と納得する。と同時にどうして緊張するんだろう、と不思議に思った。
「嫌じゃないならいいんだけどな、なんか有るならちゃんと言えよ?」
遊馬が自分を気遣ってくれているという嬉しさと くすぐったさが同時に感じられて先刻までとは違う意味でそわそわする。
「うん。ありがとう。でも帰るのは・・・やだ。」と答えると恥ずかしさも手伝って遊馬の顔から目を逸らした。
「了解。じゃ、少し気ぃ抜いとけよ? 緊張が感染るだろ?」
言いながら遊馬が左手を伸ばし髪をくしゃっと撫でる。その心地よさで緊張が解れていく気がして笑顔を返した。
もうすぐ高速を降りる、という頃になって遊馬が『宿に向かう前に買い物に行こう』と言い出した。
『ホテルじゃないから入用なものを揃える必要がある』というので「どこに泊まるの?」と訊いたが楽しげな様子で「行けばわかる」というだけで教えてくれない。
少しむくれると「お楽しみってやつだな」と言いながら額を人差し指で小突き、楽しそうに声を上げて笑った。

高速を降りて着いた先は とても大きな商業施設だった。
「こんなところがあるんだ~」と素直に驚く。ショッピングモールというのは買う買わないにせよテンションが上がる。
「今日は あんま時間ないからざっと要るものだけ買うようになるけどな、明日ゆっくり来ようぜ?」
テナント数が総計200を超える施設では とても一日、ましてやこんな時間にやってきては回りきれよう筈もない。
遊馬とならんで歩きながら 横顔を見上げると 遊馬と目が合ってなんだか擽ったい様な胸がキュンとするような感覚になった。
「えっと、腕 組んでもいい?」と訊くと少し驚いたような顔をした遊馬はそれでも 「どうぞ」といって腕を差し出してくれた。
嬉しくてその腕にぴったりとくっついて歩く。
『こんなことは二課にいるときには絶対出来ないな』、と思わずクスリと笑うと遊馬は「なんだよ?気持ち悪いなぁ」と言って顔を顰めた。

遊馬の指示にそって、ちょっとした食べ物や飲み物などを買い込みならがらショッピングモールを歩く。普段コンビニでお弁当を買うのとは違ってすこしワクワクした。
フロアガイドに一度ざっと目を通しただけで大体の位置を把握してしまったらしい遊馬は迷うこともなく目的の店を効率よく回って買い物を済ませていく。
『こういうところが凄いんだよね』と内心舌を巻きながらついて歩いた。
寝具を扱う店舗に着くと遊馬はワゴンに入った寝巻きをざっと見て「これでいいか」と無造作に一つを選び取った。
「野明もなんか買っとけよ、向こうにないから」
「うん、わかった」
店内を物色しながら ふと遊馬に聞いてみる。
「ね。遊馬ってパジャマ着るんだ? 」
「普段はきねーよ、持ってないし。宿直んときはスウェット着るけどな。」
「持ってこなかったの?ないのがわかってるのなら持ってくればいいのに。」
「予備は二課棟のロッカーの中、使ってたやつは乾いてないの。準待機入ってからずっと出かけてるだろ?」
「あ、そうか。」
「俺はなくても構わないけどね、寮に居るときみたいに下着でウロウロされてもいいなら」
野明の顔を覗き込んでにっと笑うと野明は顔を赤くして目を逸らした。
「・・・それは 困る・・・」
「だろ。で、決まったか?」
「ごめん。まだ」
遊馬の見ていたのと同じようなワゴンを覗きに行こうとしてふと店先に吊るされていたワンピース型の寝巻きに目が留まる。
襟ぐりにフリルをあしらい肌触りのよい生地で出来ている可愛らしいデザインのものだった。
思わず一度手に触れたものの、すぐに手を離しワゴンに向かおうとすると遊馬が声を掛けた。
「気になるなら それにすりゃいいじゃん」
野明は驚いて振り返った。
「こんなの似合わないって!」
「そうか? 取り合えず今日、試してみりゃいいじゃん。高いもんじゃないし。」
ハンガーにつけられているPOPを見るとSALEがかかってる商品で手ごろな値段だった。
とはいえこういう寝巻きを着たことがないので興味半分、羞恥半分で踏ん切りがつかない。
少し考えていると『時間ねぇぞ』と時計を確認した遊馬に急かされる。
「明日もくるよね?」
『気に入らなかったら明日違うのを買おう』と思い遊馬に確認する。
「ああ。明日はちゃんと午前中から見に来ようぜ」
「じゃ 取り敢えずこれにする」
そう言って レジに向かった。

他に数店舗を手際よく梯子して一通りの買い物を終える頃には閉店を告げる音楽がモール内に流れ始めていて二人は急いで車に戻った。
トランクに荷物を詰め込むと遊馬は 「じゃ、宿に向かいますか?」と言って車を走らせた。
国道に沿って暫く走り、脇の小道に入るとコテージの点在する地域に入った。
一軒のログハウスの前で車を止めると、遊馬は「待ってろ」といって車を降りていく。
『ここに泊まるのかな?』と明かりのついたログハウスを眺めていると 遊馬が地図と鍵を手にして帰ってきた。
再び車を走らせて更に国道から離れていくのに不安を覚えて思わず声を掛ける。
「ね、どこまで行くの?」
「もう着くさ」と悪戯っ子のような笑顔で応じる遊馬を訝しむ。
更にもう一度 脇道に入ると間もなく遊馬は車を停止した。
「着いたぞ」といって車を降りた遊馬を追って慌てて車外にでると目の前には外装が木で出来た小さめのコテージがあった。

to be comtinue....

=============
追記

軽井沢編第二弾は 野明側の出発でした(笑)
話がすすんでませんね(^^;
この先は一緒に行動することになる(筈)ので 両サイド書く事は・・・多分しないと思うんですが・・・・進まないし、話が(笑)
次回の更新は ・・・未定です~。
来週にかかるかも?!

ジンクス

ツッジーさんのところで 『夢は口にすると本当にならない』という話がでていて可愛いモチーフだなと思いました。
何か浮かんだら書いてもいいよ、とツッジーさんからお許しが出ていたのですっごい一場面だけ思いついたので書いてみました(笑)
前後は ご想像にお任せします♪

以下本文。

============
ジンクス
============
当直明けの朝 野明は上機嫌でハンガーに続くタラップを下りる。
丁度出勤してきた遊馬と階段の上下で向かい合う形になり、「おはよう」と声を掛けた。
「おう おはよう!宿直ごくろーさん」
すれ違い様に頭をくしゃっと撫でて訊く。
「何か機嫌いいな。いい事あったのか?」
「ちょっとね」
「へぇ、なに?」
「あのね・・・」といいかけて遊馬の顔を覗き込む。
「・・・やっぱだめ!」
「あ?」
「『夢は人に話すとホントにならない』って訊いたから」
そう言って踵を返す。
「なんだよ、そりゃ」
腑に落ちないって顔をしてこっちを見ていた遊馬は再びタラップを上がり出す。
「そうだ」といって顔だけ振り返ると「知ってるか?希望と目標は口にしないと叶わないんだぜ?」といって口の端を上げるようにして笑うと 背を向けて手を振り歩き出した。

野明が隊員室に入ると遊馬はもう席についていてこちらをちらりと見る。
「で、その上機嫌の原因は?」
遊馬の顔を正面から覗き込み くすりと笑うと野明は答えた。
「・・・恥ずかしいから教えない」

END
==========
追記
野明は何かいい夢見たんですよね。きっと。
なんだったんでしょうか?(笑)

少しだけ、ハッピーフライト (リンク小説:with 日咲さま)

少しだけ、ハッピーフライト

日咲様の小説に感動して勝手に送りつけたイラストに恐れ多くもお礼にと書いてくださった作品です。
日咲様のご厚意で掲載を許可していただいたので、UPしちゃいます。
無理難題を押し付けてかなり難産をさせて仕舞った作品ですが、大好きです♪
特に最後が(^^)
本当にありがとうございます!!(^^)

  • ------------------------------------------------------------------

二人が乗った新千歳からの最終便が羽田に着陸体制に差し掛かっていた。
時計を確認すると23時少し前。
ほぼ定刻どおりだ。
およそ90分間のフライトはそれなりに長くも感じられたが、この路線を何度となく利用しなれている野明にとってはさほど苦でもなく、夜の遅い便ならば1日を終え疲れた体を休めるにはむしろちょうど良かった。
遊馬もまたいつになく疲労感を湛えた体をシートに深く沈めたまま、ずっと目を閉じていた。
眠っていたわけではない。
時折、目を開けて、窓の向こうの何もない夜の暗い空をみやっては、また目を閉じる。
野明は遊馬が何を考えているのか、よくわからなかった。
たぶん、おそらく、きっと、もしかしたら、そんなことだろうか、と思いあたることあるのだけれども。
自分が考えていることと同じだろうかと。
ただ、なんとなく、それはきっと幸せなことなのだろうと。

  • -------------------------------------------------------------------------------

今日は慌しい1日だった
。午前の便で東京から新千歳空港へ、それからさらに苫小牧へ移動して、野明の実家に到着したのが昼過ぎ。
そこで遅い昼食をとった。
それはとても長い昼食の時間であった。
とくに時間を決めてあったわけではないのだが、つもる話は尽きることなく、とでもいおうか。
ここ1年は仕事の忙しさにかまけてまったく帰省していなかったのだ。
久しぶりの娘の帰省が、男付きというのだから、お里は一大事である。
遊馬を連れて行くと電話で告げたとき、母は「ああそうかい」とあまりにもあっさりと返事を返したのだが、果たして父はどう思ったのだろうかと、野明は正直、帰って父に会うまでずっと不安だった。
それ以上に遊馬がどう言うのだろうかというのも気がかりだった。
それは心配というよりは若干期待の色のほうが濃かったかもしれない。
遊馬を実家の両親に会わせることになった、その事実がとても嬉しく、遊馬が自分の両親に挨拶をしてくれる、その現実があまりにも気恥ずかしくもあり、自分でもどうしていいかわからないくらい浮き足立っていた。
こういう場合、男のほうがはるかに精神的に大変であることを忘れるくらい舞い上がっていた。
実家の玄関にたどりついたとき、「だったいま~」とついいつもの調子で元気にひとりで家に入ってしまい、遊馬だけが戸の一歩手前で立ち往生した。
いそいそと出迎えに出た野明の両親はにこやかだったが、遊馬の作り笑いはあまりにもぎこちなく、
口をついて出た言葉が敬礼つきの

「特車2課篠原遊馬巡査であります!」

だった。
まるで近所の交番のおまわりさんが巡回に来たときのようだと、野明の父は大笑いした。
野明の母は

「まじめなお人だったんだねぇ。ずっと前に来たときは突然で今時の若者だと思ったんだけど違ったかねぇ」

とくすくすと笑った。
遊馬は笑ってごまかすしかなかったようだ。
これから彼女の両親に挨拶をしようというのに、過去の無礼を思い出されて恥ずかしさこの上ない。
まさかあのときは遊馬が野明の婿になろうとはここにいる誰もが思ってもいなかったことだ。

「さあさあ、はやくお昼にしようかね」

と母が薦めてくれ、堅苦しい挨拶もないまま、遊馬は座敷に通された。
すでに御膳は整えられており、野明の母の手料理がずらりと並べられていた。
当然のように徳利とお猪口が遊馬の席に置かれていて、まずは1杯と父が酒を注いだところから4人のささやかな宴会は始まった。
慣れない正座に居心地の悪そうな遊馬を察知して、母が足を崩すよううながし、父は嬉しそうに酌をした。
父は職場での野明の様子を尋ねつつ、お世話になっていると何度もお礼と言い、上機嫌のままどんどんと杯を重ねていく。
遊馬に注ぎ、自分に注ぎ、そしてまた空いている杯に注ぎ、誰やともなく飲んでいく。
酒の弱い遊馬の顔は間もなく赤くなり、ネクタイは緩められ、胡坐をかき、おおよそ、嫁をもらいに来た男とは思えない形相を呈してきた。
一方の父もまたすでに完全に出来上がっていると思われた。
母のやれやれといった表情に野明はかたをすくめて苦笑した。
まぁ、こうなることは思わないでもなかったからだ。
もうすでに野明が嫁に行くということは理解していて、大いに喜んでいるのだ。
だが、父はその時を避けているのだろう。
今更逃げるわけでもないのだが、男からその言葉をはっきりと聞くのが怖いというか、できることなら先延ばしにしたいという父親の真情を野明はもちろんわかっていたし、おそらく遊馬も察知していただろう。
体は完全に酔いが回っているものの、気合で頭だけはしっかりしているつもりの遊馬は、断れない杯を必死に飲み干し続けながらどうにか本日のメインイベントを決行しなければと今か今かとそのタイミングを見計らっていたようだ。
ついにずらりと並んだお銚子が全て空になり、野明の母が「もう少し持ってきましょうかね」と席を立ち上がったのを、

「あ、待って下さい」

遊馬がついに引き止めた。
はいはいとばかりに母は座布団に膝をつき、すでに目がうつろになっている父は半笑いのような顔をそちらに向ける。
野明もとりあえず正座に足をもどした。
ごくり、つばを飲み込んだ音は自分のだったのか、となりの人間のものだったのか、そんなことはどうでもいい。
これまでにない緊張した空気が部屋に満ちる。

「あの…野明を…」

言いかけて、いえ、と首を横に振り、

「野明さんを…」

これまでに一度だって言ったことのない「さん」づけで呼ばれて野明はカッと頭皮まで真っ赤になるのを自覚した。
おそらく遊馬の顔も赤いのだろうか。
いや、それどころではないのかもしれない。
横目で遊馬の表情をさぐりたいのだが、やはりこの緊張感溢れる場面では野明はただ待つのみだ。
父は微動だにせず、だが、さっきまでの笑みはなくなっていた。赤い顔のまま、目はしっかりと遊馬を見据えている。
母は目じりに柔らかな笑みを湛えて続きを期待しているようだ。
遊馬は、ことばに詰まった。
頭の中には「お嬢さんを下さい」とか「結婚させて下さい」などと、月並みなセリフがいくつも浮かんでいるのだろうかと野明は想像した。
遊馬ならそうは言わないのではないかと、独り勝手に想像の中で却下したりして遊馬が選ぶ選択肢を予想できない。
遊馬にはそういった類の言葉があまりにも似合わないからだ。
そういえば、あたしだって、言われてない…
今になって野明は自分が明確なプロポーズの言葉を聞いてないことに気づいた。
なんとなくそういう流れになったのだ。
長い間職場の同僚として付き合い、いつの間にか恋人のような関係になり、それから何年かが過ぎ、
お互いに適齢期と言われる年齢に達してしまった。
ずっと一緒にいて、自然に結婚というものに行き着いた。だたそれだけなのである。
遊馬はなんと言うのだろうか。
ここに来て急に野明はこれまでにないドキドキ感を覚えた。
どれだけの時間が過ぎているのだろう。
遊馬の言葉が途切れてから、数秒か、それとも数分か。
長くも沈黙し続けられないであろうから、きっと1分も経っていないのだろう。
ただやけに長く感じられる時間であった。

「俺は、篠原には行きません」

誰もが予想しない発言だった。
野明はその意図を量りかね、驚いた視線を投げかけた。
黙って聞いている両親に向かって遊馬は続ける。

「野明がのぞむなら、俺はずっと警官を続けてもいいと思っています。今は篠原の研究機関に出向していますが、あくまでも所属は警察組織ですから。俺は篠原の家の人間だけど、篠原重工の社員じゃないです。これからも先もずっと親父の会社から給料をもらうつもりはありません」

きっぱりと遊馬は言い切った。
顔が赤いのはアルコールのせいだけではないようだ。自分の決意を述べた高揚感で少し体温が上がったのだろうか。
そうとうな覚悟を持って言ったことだというのは野明にもわかった。
だが、遊馬がそんなことを考えていたとは夢にも思わなかった。
むしろ、いつかは篠原に入ることになるだろうと思っていた。
だって遊馬は篠原重工の現社長の跡取り、今となってはたった一人の息子なのだから。
野明が遊馬と結婚するということは、単に苗字が変わるだけではなく、篠原重工という大きな組織が関わってくる微妙な問題でもあるのだ。
本来ならば遊馬が独断で決めていいことはないのかもしれない。
だが、おそらく、遊馬は自分ひとりで考えて決めたことなのだろうと野明は理解した。
そして、遊馬がひとりで決めて、勝手に今ここでそれを宣言したところで、実際にそれが叶うのかはまた別の問題になることも想像に難くなかった。

「野明には自由でいさせてやりたいと思っています。今の仕事を続けたいならそれでいい。子供ができて、家庭に入ってくれるならそれでもいい。選択権はすべて野明にある。俺との結婚も…」

言いかけて、遊馬は野明のほうに体を向けた。

「裕福な暮らしはさせてやれないかもしれない。先々も篠原の問題がつきまとうかもしれない。でも俺が今言ったことは絶対に守る」

真剣な眼差しに、野明は硬直した。やっと出たのは

「うん…えと…」

なんとも頼りない声。我ながらこういう時も照れ笑いしてしまう自分が恨めしい。
そんな野明を見て、ほんの少しだけ遊馬の表情が緩む。

「野明、それでもよければ、俺と結婚してほしい」

そう言った遊馬の顔は晴れ晴れとしていて、野明は心底ほっとした。

「はい」

自然に返事ができてしまった。
と、同時に目が熱くなるのがわかった。
どうしよう?泣きそうかも。
泣く場面じゃない、そう思い、必死で涙が溢れそうになるのをこらえて、顔を上げる。
父と母が優しそうに笑っている。

「ふたりがいいんならそれでいい」

そう一言だけ父は言った。

「仲良くさえやってくれれば・・・」

つぶやくように付け足した。

「野明が自分で決めたことなら、私らはなんも言うことはないですよ」

母は明るく言った。
ね、野明と母はすべてをわかっているかのような目で娘を見る。

「お母ちゃん…」

涙が意に反してぼたぼたと落ちる。
笑っているのにどうしてだか悲しいとき以上に勢い良く涙が出るなんてヘンだと思うが、そんなことはどうでもいい。
そのへんにあったおしぼりで目鼻を拭くと、アルコール臭が鼻をついてもっと涙が出た。

「あ、それ、さっきお酒こぼして拭いたやつ…」

遊馬が苦笑いして言った。
父が可笑しそうに、はははと声を出して笑った。
一気に空気が緩んだ感じがした。

「もう」

野明は傍にあったティッシュで鼻をぬぐった。
拭かずとも涙はもう落ちてはこない。
父の笑った顔が、本当に嬉しそうで、野明にはそれが嬉しくてたまらなかった。
遊馬と結婚するということは、自分が篠原の人間になるだけでなく、遊馬もまた泉の家の身内として自然にいられるようになることでもあるのだ。
野明は自分が結婚することの幸せが自分ひとりだけのものではないのだと今、実感していた。
人生の大仕事をひとつクリアしたとあってか、遊馬は一気に緊張が解けたらしい。
大きく一息を吐き、横目でちらりと野明をみる。
視線が合うと照れたようににっこりと笑ってみせた。
和やかな空気が流れ始める。
父はホッとして急に酔いが回ったのか、幸せそうな顔をしてその場にごろりと横になってしまった。
気を利かせた母が、

「お父ちゃんはずいぶん気疲れしちゃったようだね。昨日の夜はあまり眠れなかったみたいだし。少し休ませてやろうね」

目配せされて、野明はああとうなずく。

「野明、せっかくだから篠原さんに近所でも案内してあげなさい」

父に肌布団をかけながら、母が促した。

「うん、じゃあちょっとそのへんを歩いてくるよ」

野明に腕を引かれ立ち上がると、遊馬は母に会釈をし、ふたりは部屋を出た。
廊下まで父のいびきまじりの寝息が聞こえて可笑しかった。

東京へ戻る飛行機の時間までは少し猶予があった。
のんびりと近所を散歩しながら、野明はこれまで遊馬には話したことのない思い出話を思いつくままに話した。
懐かしい。
ずっと離れていた場所。
遠い過去になってしまっていた。
東京にいる間は、すっかり忘れていたものたち。
それが今日、遊馬と一緒に見て歩いて感じることで、今とつながる。
もっともっと話したい。
遊馬の知らない自分を伝えたい。
そんな焦燥感にも似た思いにかられ、野明は多くを語り、時はあっという間に過ぎてしまった。

「そろそろ戻らないとな」

遊馬が携帯電話で時間を確認した。

「名残惜しいなぁ…」

野明は帰りの便の時間を思い出し、少し寂しい気持ちになった。
明日の夜には当直の任務に就くことになっている。
万が一のことを考えるとやはり今日中に東京に戻っておかねばという義務感があった。

「また次の機会にな」

「次なんていつになるかもわかんないのに…」

事実、結婚に向けての具体的な日程などなにひとつ決まってはいない。

「また近いうちに来るさ」

さとすような遊馬の目に、野明はそれ以上は言えなくなる。

「嫁さんの実家に来る機会なんていくらでもあるんだぜ」

な、と遊馬が笑う。
『嫁さん』という言葉に野明は赤面した。
きっと過剰反応するのを予想して、しれっと言ってのける遊馬が小憎らしい。

「野明が嫁さんなら、俺は婿殿ってとこかなぁ~。いやー嫁の実家で上げ膳据え膳ってのもいいよなぁ~」

がははとまた遊馬が笑う。
バカと野明は遊馬の脇腹を小突きながらも、笑いがこみ上げるのを押さえられない。

「おやおや、楽しそうだねぇ」

母が玄関先まで出ていた。

「あんたたちの笑い声、うちの中まで聞こえてきたよ。お父ちゃんはすっかり寝てるけどね」

ずいぶんと日が落ちている。
時計よりも空の変化は時の経過を教えてくれる。

「お母ちゃん、そろそろ行かないと…」

そう言うと母は名残惜しそうに「泊まっていかれないのかい」と何度も言った。
遊馬は申し訳なさそうに明日の勤務のことを説明した。
父には会わずに帰ることになってしまった。
次に帰ってくる日も約束できないことを詫びたが、そんなことは気にしないよと母は明るく笑う。
ただ最後にひとつだけ母が言ったことは

「いずれきちんと篠原さんの親御さんにご挨拶はしないとねぇ…お父ちゃんもそれだけは思ってるから」

「うん、そのうちね…」

野明は明言を避けるような返事になってしまった。
遊馬はそれには答えず、「ご馳走様でした、また来ます」と言って深々と頭を下げた。
それ以上は誰も何も言わないでいた。
暗黙の了解のようだった。
いずれは避けられないことなのだが、今はまだ…、そんな野明は曖昧な気持ちのまま、実家を後にした。

帰路の便の中で、ふたりは大した会話もしなかった。
野明は話したいことがあったのだが、なんとなく遊馬はそうしたくないように思えて、あえてこちらからはなしかけるのはやめておいた。
母の、いや両親が気にかけている唯ひとつのこと。
つい曖昧にしてしまった。
これまでに遊馬が父親のことを悪く言うのを散々聞いている。
ふたりには他人が計り知れない時間と距離の隔たりがあるのだ。
どうするつもりなのだろうか?
こればかりは野明にはまったく想像がつかなかった。
だが、避けては通れない。
答えのない問いがぐるぐると頭の中をめぐっていた。
それぞれが、それぞれの思いの中を飛行していたような、そんな感じだろうかと、今まさに着陸するときになって野明は思う。
座席ベルトのランプが点灯し、アナウンスが流れる。
遊馬はああ、とリクライニングを起こし、ベルトを締めなおした。
ふと、野明と視線がぶつかる。
互いになんとなく言葉はでない。
ただ、野明の膝に置かれていた手が微かに動くと、遊馬の手がそれをぐっと握った。
やがて、機体が降下の角度をもち、振動と騒音とともに、降りていく感覚を全身に受けざるをえなくなる。
衝撃と共に、無事に着陸したことを認識した。
再び、アナウンスが流れ、次第に乗客たちの降りる準備が始まり、にわかに機内がざわついてきた。

「無事、到着だな」

「うん」

「んじゃ、行くか」

「うん」

ふたりは荷物を手に立ち上がる。
とは言っても、野明は普段使いのなんでもポイポイ入れられるのがお気に入りのショルダーバッグひとつだけで、遊馬もまた普段は持つことのない、何にも入っていない小さなビジネスバッグだけである。
観光客が多いせいか、他の乗客たちは土産物の紙袋やら、大きな手荷物やらで通路はなかなか進まない。
手持ち無沙汰である。
前にいた遊馬の手がなんともなしに後ろに差し出され、すぐ後ろにいた野明の手をつかむ。

「心配すんな」

遊馬の言葉が周囲の雑音のせいでよく聞こえず、野明は

「え、何?」

少し大きな声で尋ねた。

「なんだよ?」

ぶすっとしたような遊馬の顔が振り返る。

「いや、えっと」

野明は怒られたようでひるみかける。
尋ねたのはこちらのほうなのに、逆にきかれてしまった。理不尽である。

「なんでもない…」

「おう」

手を引かれて人の列につながって通路を歩いている。
公衆で手をつなぐ、そんなことが遊馬らしくなくて、かえってこっちのほうが照れてしまう。
頬が赤くなるのがわかった。
なにを今更?
そう遊馬の背中がせせら笑っているように見えた。
野明はほんの少し恨めしくその背中を見つめながらも、手は繋がれたままで、当たり前のように指が絡み合っていく。
遊馬の大きな手は小さな野明の手を包む。
強く握られた力に遊馬の思いが込められているように感じられる。
この手を離さないでいてくれるなら、このぬくもりがずっとあるなら、きっと大丈夫。
そんな思いが芽生え始めていた。

END

色塗りしました♪

敬礼する遊馬のイラストに一目ぼれして 密かに通わせていただいていたM2様のHP。
そこで パト館一周年記念企画でなんとM2様のステキな線画に色塗りしませんかという 夢のような企画が開催されていました。
悩むこと数日、勇気を出して初めてのカキコ!
そしていきなりのお願いで 参加したいです~とアピール(^^;

心優しいM2様にご快諾頂いていそいそと塗り絵を持ち帰り、夜中にコソコソ色塗りをしました(^^)
それは 愉しく塗り塗りさせていただきまして今朝方完成!(←ちゃんと寝たほうがいいとは思うんですよ、でも始めたら止らなくて・・・)

面倒な線画抜きで色塗り出来るのもさることながら こんなステキなイラストに色が塗れてハイテンション♪
M2さま 有難うございました~!!
今後も 通わせていただきますので よろしくお願いいたします(^^)

着色した絵はファイルサイズの関係でJPGに圧縮しないと掲示板に上げ切れませんでしたので PNG形式のファイルを「落書き帳と宝箱」コーナーの「頂いた宝物♪」コーナーにUPさせて頂いて居ります。
どうぞ ご覧くださいませ♪

ファイル 29-1.jpg
ファイル 29-2.png
色調を変える前はこんな感じでした(^^)

あの時の・・・ ツッジーさま

あの時の・・・

ツッジー様のご厚意で掲載を許可していただいたので、UPしちゃいます。
約束をテーマにあすのあでお願いしますという リクエストで書いていただきました
前回に引き続き 勝手に挿絵など描かせていただきました・・・イメージ壊して無いといいんですが・・・
ツッジー様 いつも本当にありがとうございます!!(^^)

上の画像をクリックすると大きくなります。

<ご注意♪>
ブラウザの環境によっては一度画面の大きさ高さをあわせた荒い画像で表示されることがありますがその際はもう一度荒い画像をクリックして画像を拡大してご覧くださいませ(^^)
お帰りは ブラウザの戻る釦で♪

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警察を退官後篠原重工に正式に社員として入社。

テストパイロットとして日々を頑張っている。

遊馬は、お父さんの跡を継ぐために勉強中。

毎日忙しいようで、ここ1ヶ月ほど連絡が途絶えていた。

付き合ってるわけじゃない。

遊馬に恋してるのはわかってる。

遊馬にもきっと伝わってるんだと思う。

あたしの気持ち。

遊馬は・・・あたしの事どう思ってくれてるのかな?

仕事を終え、携帯を見るとメールが1件入っていた。

「久しぶりに飯でも行くか。駐車場で待っててくれ。遊馬」

短い文章でもあたしには嬉しいメール。

着替えを済ませ、駐車場で遊馬を待つ。

30分経ったが遊馬の来る気配がない・・・。

あと、30分待っても来なかったら帰ろう・・・。

そう思ったとき、こちらに走ってやってくる遊馬の姿が・・・。

「すまん!!」
「ううん!!良いんだよ!!もう大丈夫なの?」
「あぁ。仕事は片付けた。」
「そっか。」
「じゃあ行くか!」

車に乗り込み、駐車場を出る。

車内でお互いの話をした。
あたしは毎日、新型機のテストを頑張ってる事
遊馬は毎日、跡継ぎになるための勉強を頑張ってる事を。

遊馬が予約したレストランへ入り食事をする。
その間もずっと話し続けた。
まるで、1ヶ月間連絡がつかなかった分を補うかのように・・・。

「ちょっとドライブでもするか。」

そう言って遊馬は車を走らせる。
少し小高い丘にある夜景の見える公園。
キラキラ光る夜景を見ながら、少しひんやりとした空気を全身に浴びる・・・。

「野明、あのさ・・・。俺来年からアメリカに行く事になった。」
遊馬の突然の告白に、ドキッとしながらもあたしは冷静に

「そうなんだ・・・。どのくらい?」
「5年は帰ってこない。向こうの工場を任される事になったんだ。」
「すごいね。遊馬・・・。」
「野明?」
「なに?」

遊馬が次に発する言葉を、期待と不安で待つ。

「第二小隊でさ、グリフォン倒して、頬に傷作って
お前が言った言葉。「魔性の女にでもなるか」って。
その後に俺さ・・・。」
「そんときゃ俺が・・・。でしょ?」
「聞こえてたのか。」
「うん。」
「あの時からさ、随分とかかったけどさ・・・。」
遊馬があたしの目の前に立つ。

「野明、俺と結婚してくれないか?」
「・・・。」
「アメリカにお前も連れて行きたいんだ。
俺の傍にいて欲しいんだ・・・。」
「遊馬・・・。」
「駄目か?」

目から涙が溢れ出す。
遊馬はあたしをそっと抱きしめてくれた。

「アメリカ出発まで、あたしとたくさん恋愛してくれる?」
「もちろんさ。」
「アメリカ行ってもあたしを大事にしてくれる?」
「当たり前だろ?」
「遊馬・・・。好き。」
「俺も。」
あたしのあごに遊馬の手がかかる。
顔をあげたと同時に遊馬の唇が重なった。

嬉しさでまた涙が溢れ出た。

遊馬が言ってくれたあの言葉・・・。

密かに待っていたあの言葉・・・。

それがようやく叶う事になった・・・。

遊馬、幸せになろうね・・・。

Fin

M2様 塗り絵企画♪

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M2様の塗り絵企画に参加させていただきました♪
ブログに上げておられたイラストに色塗りさせていただけるというイベントです。
とっても面倒な線画をすっ飛ばして 素敵イラストに色が塗れる夢のような企画にいきなり初コメントで参加をお許しくださったM2様、本当に有難うございます(^^)
とても愉しく塗り塗りさせていただきました!

イメージは古い写真、ということで(笑)
M2様 本当に有難うございます~

軽井沢編1 出発

見切り発車で とうとう出発!
終着点の見えないまま遂に連載開始です(←遂に連載と公言しましたよ、何回で終わるんだろう?!)
不評でしたら途中で打ち切りも覚悟で(笑)

怒涛の(?!)軽井沢編 スタートです♪

皆様に励まされ アドバイスも戴き、更に途中で別の妄想が炸裂して頓挫していた軽井沢編ですが、悩んでいても筆が進まないので思い切って纏まらなくてもいいや~と始めてしまいました(^^;
今まで以上にまとまりのない駄文ですが暖かく見守っていただけると嬉しいです(笑)

では 以下本文です 

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軽井沢編1 出発
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遊馬が寮に着いた時にはもう12時を回っていた。
流石に平日なので出勤している者も多く寮の中は人気が少ない。
部屋に戻ると 一気に疲れが襲ってきて思わずベッドに倒れこんだ。
昨晩も寝ていないわけではなかったが精神的な疲労感が大きかった。
『このまま少し寝ちまうかなぁ』とも思ったが 『車や宿の手配が先だな』と思い直し勢いをつけて身体を起こす。
大きく伸びをするとPCに向かい検索を始めた。
レンタカーの予約を済ませると宿泊先の検索に取り掛かり表示された連絡先に直接携帯で予約を入れて到着が夜になる旨を告げると電話を切った。
寮の受付に外泊届けを出し、荷物を簡単に纏める。
時計を見ると午後2時を少し回っていた。

軽井沢までなら練馬から高速に乗れば2時間かからない。
電車を利用するなら東京駅から1時間もあれば着いてしまう。
準待機中でも行ける範囲の小旅行としては妥当な距離ということになるだろう。
荷物と手間を考えると車の方が楽だと考え車を手配した。
一通りの手続きを終えて車を受け取ると、野明に電話を入れる。
数回コールした後、野明が電話に出た。
「今から車でそっちに行くけど大丈夫か?」
「うん どのくらいかかる?」
「30分見といてくれ」
「わかった、気をつけてきてね」
電話を切ると遊馬は東雲に車を向けた。

30分もかからずに東雲の寮に着くと野明に電話を掛ける。
程なく野明が大き目のボストンバッグを抱えて寮からでてきたのを確認すると、遊馬も車から降りてバッグを受け取った。
「荷物、これだけか?」
コクリと頷く野明に助手席の扉を開けて『乗れよ』と促し、遊馬はトランクを開けながら声を掛けた。
「これ、後ろで良いよな」
「うん、平気」
荷物を積んでトランクを閉めると運転席につく。
「じゃ、出るぞ。忘れ物ないな?」
「大丈夫」野明が答えると 車はゆっくりと走り始めた。

練馬I.C.方向に車を向けながら 野明に交通情報の検索を頼んで携帯電話を渡す。
こういうものがあまり得意ではない野明は 「どうやって 探すのか判らない」といって携帯をダッシュボードの脇に置くと、ラジオをつけて交通情報を探すことにした。
練馬から高速に乗って暫くすると ハイウェイ・ラジオの電波を捕まえた。
午後3時前の関越道は特に目立った混雑もなく流れは順調で、今のところ上信越道にも目立った混雑や渋滞の情報は上がっていない。午後5時を過ぎる前に首都圏を抜けさえすればスムーズに目的地までつけそうだった。
「碓氷軽井沢I.C.まで ノンストップで一時間半ってとこだな」
「そんなもんで着くの?意外に近いんだ」野明が驚いた顔をしたのを見て苦笑する。
「でないと、準待機中に出かけられないだろ?高速降りてから宿まで30分くらいあるかもしれないけどな」
「そっか、そうだよね。準待機・・・」半ば忘れていたように言う野明に一瞬呆れたような目を向けたが すぐに前に向き直る。
「S.A.寄りたいところあるか?近いから寄らずに行くならそれでも良いけど、この道沿いは結構大きいところがあるぜ」
「えっと。よくわかんないんだよね・・・」困ったように笑う野明に『こいつに訊くのは間違いだよな』と納得して軽く溜息をつく。
「走りながら考えるか」というと「ごめんね」と拗ねたように野明が呟いた。

交通情報通り道路は空いていて50分ほどで関越道から上信越道に入る。
いつになく口数が少ない野明にちらりと目線を走らせると 丁度こちらを見ていた野明と目が合った。
目線を前に戻し声を掛ける。
「どうした?」
「え? 何が?」野明は少し慌てた様子で返事を返す。
「落ち着かないみたいだからさ、気が進まないなら無理せずに帰るか?」
何気なく問う。
無理強いをするつもりはなかったし、昨日の今日で泊まりに出かけるというのも年頃の女性としては複雑なのかもしれないと今更ながらに思った。
野明は少し吃驚した様子でこちらを見ながら焦ったような口調で言う。
「あの、違うよ、遊馬。気が進まないなんてそんなんじゃないの。そうじゃなくて、なんか変に緊張しちゃって・・・なんだろうね?」
「嫌じゃないならいいんだけどな、なんか有るならちゃんと言えよ?」
「うん。ありがとう。でも帰るのは・・・やだ。」最後は聞き取り辛い位小さい声で言った。
その答えに遊馬は少しほっとする。
「了解。じゃ、少し気ぃ抜いとけよ? 緊張が感染るだろ?」
言いながら左手を伸ばし野明の頭をくしゃくしゃっと撫でると野明は「ごめんなさい」と嬉しそうな笑顔を見せた。
.
時計を確認すると午後4時を少し回った頃で碓氷軽井沢I.C.に着くのは午後4時半前後だなと予想を立てる。
「野明、もうすぐ高速降りるけどS.A.寄らなくても平気か?」
「うん 平気。もう着くの?」
野明の質問に 軽く笑って答える。
「宿までは高速を降りてもう少しある。その前にちょっと買い物に行かないか?あんまりゆっくりしてる時間はなさそうだけどな」
「お買い物?いいね。なに買うの?」
「食い物とか あと色々。泊まるのホテルじゃないから細かいもの買っとかないとな」
遊馬は愉しげな笑顔をみせた。
「そうなんだ。どこに泊まるの?」
野明は小首を傾げる。
「行けば判る」
にっと笑って答えると「教えてくれてもいいじゃない?」と野明が少しむくれる。
それを見た遊馬は「お楽しみってやつだな」と言いながら野明の額を人差し指で小突き、楽しそうに声を上げて笑った。
小突かれた額に手を当てて「なんだかなぁ」と野明は上目遣いで天井を見上げると小さく肩を竦めた。

程なく高速を降りると遊馬は車を軽井沢駅方向に向けて走らせる。
15分ほどで大きなショッピングモールに到着した。
「こんなところがあるんだ~」と野明は素直に驚いた。
飲食店を含めると200店舗以上が入っている巨大アウトレットモール。
嬉しそうな野明の反応に遊馬は満足気な笑みを浮かべて車を降りる。
「今日は あんま時間ないからざっと要るものだけ買うようになるけどな、明日ゆっくり来ようぜ?」
「本当に? ありがとう、遊馬」
ぴょんと車から出てきた野明は遊馬のすぐ横に並んで歩きながら見上げるように顔を覗く。
目線が合うとはにかむ様に笑った。
「えっと、腕 組んでもいい?」
予想外の言葉に遊馬は軽く驚いたが「・・・どうぞ」と腕を差し出した。
野明は嬉しそうに自分の腕を絡めてぴとっと寄り添うようにして歩きはじめる。
その様子は普段二課で見かける少年のように元気で溌剌としたイメージとは違い 『女の子』の仕草だよなぁ思う。見慣れない一面をここ2日で立て続けに見たような気がした。
生成りのワンピースを着た野明と二人並んでショッピングモールを歩く。
野明はきょろきょろと店を眺めながら遊馬に問いかけた。
「ね 何が要るの?」
「そうだな、寝巻きって持ってきたか?」
野明が首を振る。
「じゃ 先ずそれだ。それから洗面道具とかは?」
「それは持ってきたよ」
「あとは 食料品だな、飯と酒とお茶、あとつまみも欲しいかな」
そういうと 遊馬はフロアガイドを手にり現在位置を確認するとさっさと移動し始めた。

一通り必要なものを買い揃えて時間を確認すると7時近かった。
閉店を告げる音楽が鳴り始めていて二人は急いで駐車場に戻り荷物をトランクに詰めて車に乗り込んだ。
「じゃ、宿にむかいますか?」
野明の顔を覗き込むようにして遊馬が声を掛ける。
「はい。お願いします」
買い物で上機嫌になった野明は笑顔で応じた。
遊馬は 中軽井沢方面に向かって車を走らせる。
国道を20分ほど行き、脇の小道に入るとコテージが点在するエリアに出た。
明かりの灯る一軒のログハウスの前に車を止めると遊馬は「ちょっとまってろ」といって車を降りていった。
5分ほどで地図の描かれたコピー用紙と鍵を手にして帰ってくると再び車を走らせる。
「ね、どこまで行くの?」
国道から逸れて山に入っていく車に少し不安気な顔で訊ねる。
「もう着くさ」
遊馬は悪戯っ子のような顔で笑い、更にもう一度側道に入ると少し進んだところで車を止めた。
「着いたぞ」
と言うと遊馬はさっさと車を降りる。
野明もあわてて外に出ると目の前には外壁が木で出来た小さめのコテージがあった。

===========
追記

先ず 軽井沢に着きましたよ~
宿泊先はコテージでした♪
次回の更新は・・・・出来れば今週中くらいには(^^;
間に全く違う更新が入るかも知れないので見やすいようにカテゴリの整理も考えたいと思います(笑)

野明と紫陽花♪ MEMEさま

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MEME様のステキイラスト「美しいアザに駄文をつけさせていただきましたところ恐れ多くもお礼にと祭り参加者にイラストを描いてくださいました♪
痣の色を紫陽花の花の色に準えたASAKI様の小説をイメージされたカラーイラストです。
ステキな祭りに参加させていただいた上に、イラストまで戴いて、MEME様。本当に有難うございました!!

美しいアザ

MEME様から強奪した美麗イラストに勝手につけた駄文です。
見た瞬間妄想が止らなかったこのイラスト。
先に ASAKI様がステキな小説を公開していらっしゃるにもかかわらず、寛大にもMEME様から思い付きを公開してもいいですよ、という優しいお言葉をいただけたので、調子に乗ってUP!です。
ハイテンション状態で勢いのまま書いてしまったのでイメージを壊していないといいのですが。。。
でも 自己満足度はかなり高いです(笑)

では以下本文

こちらは勝手に MEME様にささげます!!!

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美しいアザ
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映画を見て軽く食事を取る、いつもと同じように遊馬と休日を過ごした夕方。
前から見たかったDVDを購入したという遊馬に 「帰りに取りに来いよ」と声を掛けられた。
遊馬の部屋に着くと 「ほい」といってDVDのパッケージを渡される。
タイトルを確認して「じゃ 借りるね」と言ってバッグにしまった。
「コーヒー飲んでくか?」といって遊馬がカップを手にしたのをみて、「私やるよ」とそばに近寄った。
遊馬の持ったカップを受け取ろうとして手を伸ばす。
遊馬が 「あ、ばか!」といって手を引いたときには遅かった。
中には カップをあたためるために熱湯が既に注がれていて、金属製のサーモカップはかなりの熱を帯びていた。
それに取っ手ではなくカップに直接手を触れたので熱さで手を引いたときにはカップを引っぱる形になり野明は肩口から湯を被ってしまった。
「上着 早く脱げ!」といってカップを流しに放り出した遊馬が慌てて野明のカーディガンに手を掛ける。
一瞬上着を取りかけた野明は はっとしたように襟を合わせて「平気、中まで染みてない」と言ってイヤイヤと首を振った。
「何考えてんだ、ばか!早く冷やさないと痕になるだろう!」といって半ば無理やりにカーディガンを剥ぎ取ると 細い肩紐のキャミワンピースが目に入った。
「あ・・・わりい」
それをみて今の自分の行動が気恥ずかしくなった遊馬は思わず目を逸らす。
「中までは行ってないな」といいながら手近にあった自分のシャツを「羽織っとけよ」押し付ける。
受け取る気配がないので 不思議に思って振り返ると野明は両掌で肩のアザを隠すように自らの身体を抱きしめて俯いていた。
「どうしたんだよ? やっぱ痛いのか?」
肩に触れようとすると 野明はビクッとして身を引いた。
「冷やすもの 用意するか?」重ねて声を掛ける。
俯いたまま首を振るだけで返事を返さない野明を横目にみながら カーディガンを拾い上げハンガーにかけた。
少しの沈黙の後、消え入るような声で野明が呟く。
「やっぱり、いやだよね」
「え?」
「・・・痣・・・」肩を抱く腕に力を込める。「やっぱり 引いちゃうよね・・・」
レイバー乗りに特有のセーフティーガードの痕を掌で隠すようにしながら自嘲気味に笑う。
予想外のことを言われて動きが止まった遊馬をみて野明は言葉を継いだ。
「顔の傷跡より、こっちの方が問題だよね、やっぱ魔性の女に・・・・」なるしかないかな・・・と続けようとしたとき、背中から遊馬に抱きしめられた。
「あ・・遊馬・・?」
「わりぃ 今の態度、気にしたなら謝る。痣を気にしたんじゃないんだ。その・・・服がな。焦っただけで。」
そう言って腕に少し力を込める。
「痣のことなら、俺は気にしない。それにそれは勲章なんだろう?」
遊馬が耳元で静かに話す。
「レイバー乗りの自分には、誇りがあるの。けど やっぱりこの痣は時々辛いなって思う。これでも一応 年頃の女なんだし・・・」
俯き ぽつりと呟く姿はとても儚げに見えて遊馬は野明を抱く腕にまた少し力を込めた。
「そうか。けど 俺はこいつを嫌だと思うことはない。むしろ誇りに思うくらいだ。」
そう言って 肩口の痣に唇を寄せると 野明の肩がピクリと跳ねた。
「これは 俺達の絆だからな」 
「絆?」野明が聞きかえす。
「そう、二課でコンビを組んで今まで、一身同体で歩んできた年月の中で少しづつ刻んできた痕。野明と俺が歩んできた時間の刻印だ」
そう言ってもう一度 その痣に唇を強く押し当てる。
「ちょっと・・やだ。遊馬」
唇の触れる肩口が熱く、背筋にゾクリとする感覚が走る。
思わずその手と唇から逃れようと身を捩ると、遊馬は更に力を込めて野明を抱き寄せ暫しの沈黙の後、耳元で静かに囁いた。
「お前が、野明が欲しいんだ・・・」
全身に広がるゾクっとした感覚と 心臓をキュッと鷲づかみにされるような感覚に野明は思わず固く目を閉じた。

END

===============
追記

この先に行くと思い切り反転しないといけない展開になりそうなのでここまで!ということで(笑)
もし反転をかける内容になるなら もっと自信がつかないと・・・MEME様のイラストに申し訳がたたないので寸止めで(笑)
展開と文章の荒さは そのまま書き出しのテンションの高さなので大目に見てくださると・・・嬉しいです(^^;

お付き合いくださってありがとうございました。
MEME様 ありがとうございます~!!

妄想炸裂中(笑)

執拗なアタックの末 MEME様から 美麗イラスト「美しいアザ」を 強奪させていただき胸キュンキュン状態です(笑)
書きかけの軽井沢そっちのけで MEME様の絵に妄想炸裂中です(^m^)
とはいえ ASAKI様の素晴らしいお話を拝読してのた打ち回るほど胸キュンした後では。。。出せないなぁ(笑)
心にしまって キュンキュンすることにします(((( *≧∇)ノノノ

MEME様~ 有難うございます!

鋭意作成中~

昨日 思いっきり皆様にどうやってお話かいてますか~と 弱音を吐き、たくさんの方々にアドバイスを頂戴して元気を貰って浮上してきました(笑)
終着点が今ひとつ決まっていないのですが ちょこちょこ書き出し中です(笑)
やっぱり 私の文章って長いんですよね~
そこは精進しないといけないのですが・・・まず書けそうなとこから行ってみようかなと(^^)
この分だと一回で終わるのは結構無理なので最初に宣言!
数回に分けた連載状態になりそうです。
どうか見捨てないでお付き合いくださいませね(^^;
ここでやるぞ!と宣言することで自分を追い込んでみました(笑)
がんばれ、私!
(でも 二人の仲が進むのか・・・は全く自信がない・・・)

ただいま考え中~♪ 

本日の更新は ツッジー様に以前戴いたままUPが大幅に遅れていた「無数の光達」のみでした~
とにかく 絵を描くのに文章がステキで絵にすると 違うの~!!こうじゃなぁい!! の連続でなかなか出来上がらず・・・
やっと ここまでが今の私の表現よねぇということで頑張りました。
でも脳内の絵はもっとムードがあったんですよぅ・・・
他にも もう一本戴いているお話があるのですがこちらは更にどう描いても文章につりあわなくて没の連続です(T∇T)
思い入れが強いと余計に感じるそのギャップ・・・
イメージ通りに描ける画力が欲しいとつくづく思います。
というわけで ツッジー様もう暫くお待ちくださいね、きっと来週中にはどうにか・・・頑張りたいです。

そして軽井沢・・・・ただいま考え中です。
どうしよう。。。ネタが 浮かばないなぁ(笑)
小説をお書きになる方って皆さんどうやって書き始めるんでしょう?
私は そもそも日咲様のガールズ・トークが羨ましくて、それを書きたさに一本目に手を出したのですが・・・・
結果として短編連作の様に強引な糸で繋がってしまった作品群はどれも 一度この場面を書こうと決めてそこまで引っぱっていく感じで繋いできたんですよね。
なので自分の中で核になるものが見つからないと筆がピタリと止まるということに気付きました。
また その場面までたどり着いてしまうと 最後を考えてないので終われなくなって右往左往するんですね。
で結果として何となく幕が引ききれない状態に・・・
小説書いてる人はやっぱりちゃんと最後を決めて書き始めているんでしょうか?
誰か 相談に乗ってくださいな~(T∇T)