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『続 少しだけハッピーフライト』 (リンク小説:with 日咲さま)

『続 少しだけハッピーフライト』

桃花源の日咲様との夢のようなコラボ企画です!
頂いた小説の続きを相互リンクで掲載させていただけることになりました。
気合をいれて絵もつけてみました(^^)
日咲様のご好意で私のサイトに前半を掲載させていただけることになっていまして後半は 「桃花源」様にて拝読できます
では 以下から本文です。どうぞお楽しみ下さい(^^)
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機体を前から後ろへと走る二列の狭い通路はいずれも席を立った乗客らで渋滞している。
荷物を下ろしたり、連れを待って足をとめる者のせいでなかなか進めないでいる乗客らの隙間を遊馬は野明の手を引きながら、器用に体を斜めにすり抜けていく。
人を押しのけるわけでもなく、無理やり突き進むのでもなく、すいすいと導いてくれる。
こういうとき、野明は遊馬の要領の良さにただ感心してしまう。
自分にはないスマートさとでもいうべきか。
未来の夫となる人物が頼もしく思え、ついにやけそうになるのをこらえる。
大の大人が手をつないで狭いところを歩くのもどうかと思うのだが、これだけスムーズに通過するのなら誰も咎めはしないだろう。
今日はきっとものすごく浮かれているのだろうと野明は自覚していた。
やはり、あらためて実家への婚約の報告をすませたことはとても大きな意味がある。
行きの飛行機の中ではただの恋人だったのが、今はもう正式な婚約者だと胸を張って言える立場になった。
何も変わらないようで、野明の中では小さくも明確な違いがあった。
今回の実家への帰省はいつもと比べて少しだけハッピーフライトであったのだ。
そんな幸せ気分の旅も機体を降りればそこで終了してしまいそうで、野明はちょっと名残惜しい気持ちで飛行機の出口と連絡通路へのつなぎ目を跨いだ。
連絡通路まで出てしまうと、急に人ごみから解消される。
向こうにデジタル時計の掲示が見えた。
すでに23時を回っている。
皆、到着ゲートへと足早に突き進んでいく。
さして急ぐ必要のない野明と遊馬は、とくに歩調を速めるでもなく、そのまま人の流れに乗って歩いていく。

「ねぇ、ところで帰りはどうするの?」

到着ロビーまで来たところで、野明ははたとそんな疑問に気づいた。
そういえば、到着時間がこんなにも遅くなるのはわかっていたはずなのに帰りの交通手段のことなど考えてもいなかったのだ。

「おまえ、今更そんなこというか?」

遊馬はあっけにとられたかのように言った。
なによう、と野明は見返したものの、それ以上の反論が出てこない。
タクシーを使えば家には帰れるのだけれども、それじゃちと高くつくなどと、しょうもないことを考えてはいた。
到着ゲートを通過しロビーに出ると、手続きカウンターの多くが業務を終えていて、ひっきりなしに人が出入りするあの空港特有の喧騒のようなものはすでになく、広いフロアを行き交う人はまばらだ。
いつもは満席状態のベンチも今は誰一人座っていない。
座る理由もないので、二人はベンチを素通りし、だだっ広いロビーを長く横切るように歩いている。

「遊馬、モノレールこっちだよ?」

手を引かれて歩いていた野明が、足をとめる。
遊馬もまた立ち止まる。

「タクシーでいいだろ」

「えーっ。でも両方の家まで使ったらすごく高くつくよ…

「んなゼイタクはしねぇよ。一ヶ所で一緒に降りればいいだろ」

「あ、そっか」

それがどういう意味か理解して、ちょっとだけ野明の頬が赤くなる。
いつからだろう、夜遅くなるとどちらかの家に一緒に帰ることがごく当たり前になっていた。
近いうちに帰る家はひとつになるのだと思うとなんだか照れくさい。

「今夜はどっちにするの?アタシんち、それとも遊馬…ここから近いのは、えと…」

互いの家はそう遠くもないのだが、ここから向かうとなると方向が違う。
単純に距離ではなく利用するルートによってもタクシー代金は左右されるので、少しでも安く済むようにと野明は考えをめぐらす。
真剣な顔をしている野明を見てくすりと遊馬が笑う。

「なんだよ。主婦になるには大事なことなんだからね」

「いい心がけだなぁ~」

タクシー乗り場にはさきほど同じ便から下りたであろう客が数名列をなしていたが、いたが皆次々と回ってくるタクシーに乗り込んでは去っていく。
ふたりも足をとめる間もなく自動で開いた後部座席のドアの中へと乗り込んだ。
すぐに運転手が問う。

「どちらまで?」

「羽田シティホテル」

一言だけ遊馬が言った。

「かしこまりました」

この時間帯に乗る客がよく利用するホテルなのだろう、運転手は聞き返すこともなくすぐに発車した。
窓の外は真っ暗で、車内は静かだ。
客といえども声高に話すのは少し躊躇らわれた。
野明は小さな声で遊馬に尋ねる。
「ねぇ、ホテルに泊まるの?」

「ああ」

ぼそりと遊馬が答えた。
ずっしりと座席に腰を下ろし、視線を窓の外へ向けた。
先に発車したタクシーが前方に数台走っているほかには道路を通行する車両はない。
ふたりの乗ったタクシーもそのテールランプを追うようにスピードを上げる。

「そんなの聞いてないって」

野明は少し不機嫌そうに遊馬の横面をにらんで脇腹を小突いた。

「言ってなかったか?」

「言ってないっ!」

しれっとした遊馬の態度につい、声が大きくなる。
運転手が何を言うわけでもないのだが、無線の入る音が聞こえて野明はつい言葉をとめる。
窓越しの暗闇に道路に設置されている外灯がオレンジの帯のように流れていく。
その奥に遊馬の言ったホテルの名前が書かれた看板が確認できた。
野明はホテルの名前を耳にした時はどこか知らなかったのだが、聞くまでもなくそれが空港のすぐ傍にあるのだとわかった。
タクシー代を計算する必要もなかったわけだと、ひとり納得した。
深夜になろうかという時間である、貸切状態の道路を快調にひた走ると目的地にはほんの数分のうちに到着してしまった。

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追記

描かせていただいた挿絵はこちら(^^)

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続きは 日咲様サイト 桃花源<にてお楽しみ下さい・・・

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