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■ドイツ語音名
はじめに‥‥
このページは、ドイツ語の専門家であるねこひささんのご協力によって実現しました。
私は以前からドイツ語音名の正しい発音を知りたいと思っていたのですが、手近な教本や音楽辞典では答えを見つけることができませんでした。
たいていの本には幹音の読み方は載っていても、派生音にふれているものは少なく、ましてやダブルシャープ・ダブルフラットとなるとどの本にも発音・読み方は書かれていなかったのです。
そんな訳で恥ずかしながら私は長い間ドイツ語音名は、「見ればどの音かはわかるけど、口に出していうのはちょっと‥」という状態のままだったのですが、この度ねこひささんに教えていただきやっとスッキリしたのでした。
ドイツ語音名をすでに知っていらっしゃる方も一読の価値あり。すごいです。
では、ごゆっくりどうぞ!
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ドイツ語音名
◆ドイツ語音名早見表 (by shiratama)
イタリア語 |
ドイツ語 |
幹音 |
♭♭ |
♭ |
幹音 |
# |
## |
do |
ド |
Ceses |
ツェスェス |
Ces |
ツェス |
C |
ツェー |
Cis |
ツィス |
Cisis |
ツィスィス |
re |
レ |
Deses |
デスェス |
Des |
デス |
D |
デー |
Dis |
ディス |
Disis |
ディスィス |
mi |
ミ |
Eses |
エスェス |
Es |
エス |
E |
エー |
Eis |
エーイス |
Eisis |
エーイスィス |
fa |
ファ |
Feses |
フェスェス |
Fes |
フェス |
F |
エフ |
Fis |
フィス |
Fisis |
フィスィス |
sol |
ソル |
Geses |
ゲスェス |
Ges |
ゲス |
G |
ゲー |
Gis |
ギィス |
Gisis |
ギィスィス |
la |
ラ |
Ases |
アスェス |
As |
アス |
A |
アー |
Ais |
アーイス |
Aisis |
アーイスィス |
si |
スィ |
Heses |
ヘスェス |
B |
ベー |
H |
ハー |
His |
ヒス |
Hisis |
ヒスィス |
do |
ド |
Ceses |
ツェスェス |
Ces |
ツェス |
C |
ツェー |
Cis |
ツィス |
Cisis |
ツィスィス |
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発音の大原則:力点 (アクセント) は「最初の母音」に置かれる
1 幹音:
一般呼称 | ドイツ語音名 | 発音 |
ド | C | ツェー |
レ | D | デー |
ミ | E | エー |
ファ | F | エフ |
ソ | G | ゲー |
ラ | A | アー |
シ | H | ハー |
ド | C | ツェー |
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2 派生音:
「エアヘーウンクスツァイヒェン」独語:Kreuz「クロイツ」ともいう。なお oe 部分は本来は o の上に二個の点々=ウムラウト
一般呼称 | ドイツ語音名 | 発音 |
ドのシャープ | Cis | ツィス |
レのシャープ | Dis | ディス |
ミのシャープ | Eis | エーイス |
ファのシャープ | Fis | フィス |
ソのシャープ | Gis | ギィス |
ラのシャープ | Ais | アーイス |
シのシャープ | His | ヒス |
ドのシャープ | Cis | ツィス |
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「エアヘーウンクスツァイヒェン フュア アイネン ガンツェン トーン」独語:Doppelkreuz「ドッペルクロイツ」ともいう。なお oe, ue 部分は本来はウムラウト
一般呼称 | ドイツ語音名 | 発音 |
ドのダブルシャープ | Cisis | ツィスィス |
レのダブルシャープ | Disis | ディスィス |
ミのダブルシャープ | Eisis | エーイスィス |
ファのダブルシャープ | Fisis | フィスィス |
ソのダブルシャープ | Gisis | ギィスィス |
ラのダブルシャープ | Aisis | アーイスィス |
シのダブルシャープ | Hisis | ヒスィス |
ドのダブルシャープ | Cisis | ツィスィス |
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「エアニードゥリグンクスツァイヒェン」独語
一般呼称 | ドイツ語音名 | 発音 |
ドのフラット | Ces | ツェス |
レのフラット | Des | デス |
ミのフラット | Es * | エス |
ファのフラット | Fes | フェス |
ソのフラット | Ges | ゲス |
ラのフラット | As ** | アス |
シのフラット | B | ベー |
ドのフラット | Ces | ツェス |
注:
* : 本来なら Ees となるところだが、他の音名との衝突がないことから、最初(あるいは後)の e が落ちたと考えられる。
** : 本来なら Aes となるところだが ae の連続はウムラウトとも取られ得るので、これでは Es と紛らわしくなってしまう。そこで As となったと考えられる。
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2-4 flat (英) Erniedrigungszeichen fuer einen ganzen Ton (独)
一般呼称 | ドイツ語音名 | 発音 |
ドのダブルフラット | Ceses | ツェスェス |
レのダブルフラット | Deses | デスェス |
ミのダブルフラット | Eses | エスェス |
ファのダブルフラット | Feses | フェスェス |
ソのダブルフラット | Geses | ゲスェス |
ラのダブルフラット | Ases*** | アスェス |
シのダブルフラット | Heses **** | ヘスェス |
ドのダブルフラット | Ceses | ツェスェス |
注:
*** : ラのダブルフラット= Ases (アスェス) は Asas (アスァス) とも呼ばれるようである。
**** : シのダブルフラット= Heses (ヘスェス) は Bes (ベス) とも呼ばれるようである。
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3 記憶術:
i 音は (舌が前上方硬口蓋の方向へ持ち上げられ、唇が横に開かれることで) 「鋭い」印象を与えることから幹音を半音高める嬰記号に対応付けられる。一方 e 音は i 音で見られた音の緊張が弛緩するので「緩やか」な印象となり、こちらは幹音を半音低める変記号に対応付けられることとなる。is, es の s 音は、母音を固定するのに用いられた(恐らく)任意の音。
因みに、i 音が(ニックネームを除いた本名である)人名の最後に用いられると「男」が、e 音ならば「女」が連想される。従って「長嶋茂雄」がドイツ人(詳しくは知りませんが、こうした「音が内包する性差イメージ」は、英語・フランス語・ロシア語等々といったインドヨーロッパ語族まで広げて主張し得るかもしれません)と親しくなりファーストネームで呼び合う間柄になった場合、「これからは "Shige" と呼んでくれ」といっておいても、(そのドイツ人が相手方言語音を忠実に保持するという意識を持ち合わせていない限り)、いつの間にか「"Shigi"」と呼ばれていることになる。 |
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4 補足:
◆「臨時記号」
Versetzungszeichen (フェアゼッツンクスツァイヒェン) または
Akzidentien (アクツィデンツィエン)
◆「本位記号」
Aufloesungszeichen (アウフレーズンクスツァイヒェン, oe は
本来はウムラウト) 」
◆「変記号」、「重変記号」
それぞれb (ベー)、Doppel-b (ドッペル・ベー)、ともいいます。「フラット」
記号の形が「小文字の b」に似ているからです。
◆「ト音記号」
Violinschluessel (ヴィオリーンシュリュッセル, ue は本来はウムラウト。「ヴァイオリン鍵の意:
ト音記号、高音部記号」) といいます。 |
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