「小室直樹文献目録」 新掲示板

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『評伝 小室直樹(上):学問と酒と猫を愛した過激な天才』(2018年・ミネルヴァ書房)
『評伝 小室直樹(下):現実はやがて私に追いつくであろう』(2018年・ミネルヴァ書房)
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[1533] 明けまして、おめでとうございます(^^♪ 投稿者:渡邊 投稿日:2025/01/01(Wed) 22:13  

管理人さんへ

明けまして、おめでとうございます(^^♪
本年も、小室直樹_博士の探求と実社会への還元をやっちゃいましょう。わいわい♫\(^o^)/♬


[1532] 一般文献 9点 追加 投稿者:管理人 投稿日:2025/01/01(Wed) 17:30  

明けましておめでとうございます。
ご無沙しておりました。お元気でお過しでしょうか。

小野寺さん、渡邉さん、小林さん、児島さん、情報ありがとうございました。

以下の一般文献9点、追加いたします。

(1)1975018
Structural Functional Analysis as a Theoretical Method for the Sociology of Law
http://www.interq.or.jp/sun/atsun/komuro/data/1975018.html

(2)1976008
「日本人の安全感覚は?」『日本の安全 上』
http://www.interq.or.jp/sun/atsun/komuro/data/1976008.html

(3)1979010
「日本の在日韓国人問題報道」『生活権をかちとろう』
http://www.interq.or.jp/sun/atsun/komuro/data/1979010.html

(4)2023005
米国の原爆投下は国際法違反!
http://www.interq.or.jp/sun/atsun/komuro/data/2023005.html

(5)2023006
「はじめに契約ありき」『近代とは何か』
http://www.interq.or.jp/sun/atsun/komuro/data/2023006.html

(6)2023007
『数学嫌いな人のための数学 新装版』
http://www.interq.or.jp/sun/atsun/komuro/data/2023007.html

(7)2023008
『野辺には朽ちじ』
http://www.interq.or.jp/sun/atsun/komuro/data/2023008.html

(8)2024001
『新装版 政治無知が日本を滅ぼす』
http://www.interq.or.jp/sun/atsun/komuro/data/2024001.html

(9)2024002
『新装版 国民のための戦争と平和』
http://www.interq.or.jp/sun/atsun/komuro/data/2024002.html


[1531] 石破新総裁 投稿者:小野寺 投稿日:2024/09/27(Fri) 15:50  

 自民党の新総裁に、石破茂さんが選出されました。
 村上さんに教えていただいた本によれば、石破さんは小室先生から影響をうけたそうです。小室先生の考え方が、どのくらい政策に反映されるか楽しみです。
 該当箇所を引用します。この本は関連文献になります。

保守政治家─わが政策、わが天命
石破茂著
2024年8月7日 講談社

p200
 小室直樹の著作からは大きな影響を受けました。異端の社会学者として知られる小室氏
ですが、その「そもそも論」的な切り口は他に例を見ないもので、戦後日本政策の根幹を
p201
なす分野、安全保障や政治、社会に対する分析は、いまなお参考にすべきものが数多くあ
ります。その後継者とも言うべき橋爪大三郎先生とは何回かお目にかかることもかない、
絶えずご示唆をいただいています。

p97
 小室直樹さんや渡部昇一さんからは田中無罪論が出てきました。刑事免責を付与して得
られた嘱託証人尋問調書は、反対尋問権を保障した憲法に反するという点にポイントがあ
りました。証拠として信用するにあたらない、ということですね。また内閣総理大臣に民
間航空会社の機種を決めるような職務権限があるかどうかという論点につき、消極的に解
すべきとの理論もありました。


[1530] Re:[1527] 市村眞一先生のご逝去 投稿者:小野寺 投稿日:2024/09/12(Thu) 17:59  

> また、市村先生のご著書最新巻が2023年に刊行されておりました。

 児島さん、情報ありがとうございます。
 確認しましたが、残念ながら小室先生についての記述がなく、関連文献にはならないと思われます。
 ただし、本としてはおもしろく、特に三島由紀夫については、小室先生に反論しているようにみえてしまうのは、私だけでしょうか。
 その部分を引用します。

『師恩友益』─一経済学者の交友の思い出
市村真一著 
藤原書店
2023年10月31日

三島由紀夫氏との一夕

 三島由紀夫さん(1925-70)とは、御生前ただ一度お会いしたことがある。それは昭和
43年(1968年)春、『論争ジャーナル』誌主催の 「現代の革新とは──皇室をめぐる問題」
をテーマにした座談会の席で、出席者は、三島さんに、石原慎太郎・村松剛・私の四人であっ
た。座談の内容は同誌が詳しく掲載した。当時は大学紛争が盛り上がった時期で、世間での政
治的見解は割れていたが、今読み返しても、私見に修正の必要はない。お三方も夫々率直に意
見を語られていて、今も同じお考えであろう。当時の反響はかなり大きかった。興味ある方は
御一見頂きたい。
 座談会の後、四人は近くの喫茶店で一時間くらい話した。その間に、三島さんが、座談で話
題になった所謂「人間宣言」に関連してこう話しかけられた。「市村先生、私の思いをしっか
---------------------------------[End of Page 0279]---------------------------------
り知って頂くには、私の『英霊の聲』を読んで下さい。それだけで十分です」と、訴えられた。
その書は、当時私はまだ読んでいなかったが後で読んで、その内容を知った。
 三島さんの憤死から40年たち、最近いろんな本も出て追悼の空気があるが、ここではあの
三島さんの行動と主張に関してどう考えるか、について記したい。
 三島さんと私は共に大正14年生れで、全く同様に天皇陛下を敬仰し、皇室を尊敬申し上げ
る。だが、私は『英霊の聲』を一読して、その内容には同意できなかった。その作品は、二・
二六事件で死刑になった方の英霊と特攻隊で戦死された勇士の英霊が、天皇陛下が「人間宣言」
をされたことに対し、「などてすめろぎは人間となりたまひし」と、恨みを訴える内容であり、
三島さん自身が言いたいことのように思えた。それは最後に論じる。
 この座談会の数日後、偶然『中央公論』の編集長の粕谷一希氏に出会い、三島さんとの話を
して「彼は長く生きておられない気がします」と言ったところ、粕谷氏は「彼は死にたがって
いますよ」と答えた。私は驚き同感を以て 「彼のしていることには出口がありません。あの考
えを貫けば、死ぬしかなくなることを恐れます」と、言った憶えがある。
 しばらくして、アメリカで学会に出席して居た時、市ヶ谷台上での憤死事件のニュースを聞
き、『ライフ』誌の報道を見て、やはり来たかと感じた。私は三島さんの誠意を疑わず、偉大
な作品や「楯の会」 の活動に敬意を抱き、『豊饒の海』などの作品から多くを学んだことを感
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謝している。だが、自分の思いが遂げられぬと知りつつ、彼が若い学生をいざなって憤死し、
しかも自衛隊に期待の実現を訴えた行動は、日本人の道として誤りだと考える。
 理想の実現に大切な事は、この人生で我々が最善と信じる道を自ら実践するだけでなく、世
人を説き動かし、共に同じ道を歩めるよう死ぬまで頑張り続けることである。
 昔の武士が切腹したのは、自分が何かを為すべき立場にいて、その任を果せなかった時に責
任をとったことが多い。自分の主張が世の中に通らぬから切腹してよいものか。終戦時、数多
くの武人が切腹した。陸軍大臣も切腹された。私の親戚のある海軍大佐は、離島を守備してい
たが、終戦の大詔を拝して後、米軍側と交渉して兵士達を無事に帰国させる約束を取り交し、
最後にお付の武官に「後を頼む」と言って、自らは敗戦の責任を感じて自決された。そういう
切腹は立派だと思う。
 だが、国が負けて日本国民が皆再建に努力している時、自分の意見が通らなければ、憤死す
るのではなく、輿論を変え自説が受容されるよう最善を尽すべきではないのか。
『論語』に 「篤信、守死、善道」 (訳:篤ク信ジ、死ストモ善道ヲ守ル)という言葉があるが、そ
れこそ人間がこの世において為すべき道である。まだやれる時に、やらずに死んではならない。
三島さんは日本にとって貴重な人だった。なぜ死に急がれたか。なお10年、20年、40年生
きて、日本のために働いてほしかった。残念に思う。
---------------------------------[End of Page 0281]---------------------------------
 次に『英霊の聲』につき記したい。天皇は現人神だと信じて命を捧げた英霊が、そう訴えた
いと思ったであろうと、三島さんが、あの作品に書かれた心情が解らぬではない。私も、そん
な青年将校を何人も知っていたし、級友に特攻隊の生き残りもいて、彼等と戦後何度もそんな
話をした。もし作品を単なる文芸作品と見るなら、それは、提起したテーマの深刻さ、能の修
羅物様式の活用、霊媒の死で終る結末等、実に見事な作品で、思想性の乏しかった三島作品に
転機を劃したと思われ、作家三島の名小品であろう。
 しかしそれを昭和21年元日渙発の昭和天皇の詔書への三島氏の本心からの反撥と見るな
らば、そこには重大な問題がある。
 私見を率直に述べる。問題は、昭和天皇が『新年ニ當リ誓ヲ新ニシテ國運ヲ開カント欲ス、
国民ハ朕ト心ヲ一ニシテ此ノ大業ヲ成就センコトヲ庶幾フ』に始まる詔書で、敗戦後初めて年
頭の決意を述べられた真意を拝察する事である。ジャーナリズムの主流は、詔書を「人間宣言」
と命名し、天皇を現御神と見る所見の否定が真意だと理解する。だが私は、そうは思わない。抑々
詔書渙発の当時、そんな呼称を用いた論者は、毎日新聞社の藤樫準二記者⁽¹⁾以外無く、詔書の中
に、陛下を人間と宣言した文字もない⁽²⁾。私には、詔書は、むしろ占領軍側にあったであろうそ
うした意図への陛下の反論であったと思う。
 これは単なる私の推測ではない。占領直後、日本政府は総司令部と非常な緊張関係にありな
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がら、詔書の一次案を英語で書き和訳して検討する等、総司令部と意見交換したやりとりの実
状は、今ではかなり判明しており、相互とも敵対的ではない。重要なのは、昭和52年
(1977)に記者の質問に答えて、昭和天皇ご自身が、詔書渙発の意図は、「戦後の民主政治は、
五ヵ条の御誓文以来の国是の継承なる点を強調し、天皇と国民の協力を強化して推進する事で、
天皇の神性の否定などは二の次だった」と明言された事である。
 根本には神道指令に続く占領政策の意図があった⁽³⁾。米国は、日本将兵の勇戦力闘に驚嘆し、
それと神道や尊皇愛国の精神との関係を戦死者の遺書や捕虜の尋問から知り、一面敬意を感じ
つつも、それを畏怖し、その精神の惰弱化が占領政策の一重点であった。既に昭和20年12
月15日、占領軍はハーグ条約(国際法)違反を承知の上で「神道指令」を日本政府に発したが、
更に天皇への忠誠心の減殺・戦争裁判の開始・公職追放・憲法改正等の手筈を練っていた。こ
の意図は幣原内閣には判っていたが、他方で極左勢力・ソ連・中国の天皇制廃止論を抑えるた
め、総司令部と妥協しつつ折衝していた。
 この状況を考えると、三島さんは昭和天皇に対して非現実的な無理を言っている、と私は思
う。敗戦国の天皇のお立場では、陛下も言いたくとも自由に仰せになれぬ、と国民は諒解して
いた⁽⁴⁾。我々は、陛下の苦衷をお察しすべきで、英霊がそうお察しもせず陛下をお恨みする、と
は思えない。たとえ劇作の中とはいえ、三島さんはどの人が、英霊にそこまで言わせてよいの
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か。彼等の心中を忖度することあまりに単純で一本調子過ぎる、と私は感じる。更に言えば、
大御心は、英霊と同時に、現世の日本国民や世界全体を考えて居られたと思う。詔書全体を通
読すれば、それは伝わって来る。
 最後に、この作品にもう一つ大切な論点がある。それは、三島さんが二・二六事件の英霊と
特攻隊の英霊とを殆ど同列に扱っておられる点である。それは正しくない。特攻隊はよい、だ
が二・二六事件は、重大なる政治的擾乱事件であった。従って、首謀者は、その政治思想と行
動に対して全面的に責任を問われて当然である。たとえ青年将校の心情に掬すべきものあると
も、法に従って処断されたのは法治国として適切であった。もっとも、回顧すれば、1920
年代30年代は欧亜の主要国に騒動・戦乱が相継ぎ、各国とも被害甚大だった。学者の一人と
して、その原因対策の究明不足への責任を痛感する。
 しかし己の主義主張が容易に実現されなくても、たやすく諦めたり、力や命を賭けてその実
現を強要せず、犠牲少なく、実現する方策を粘り強く練らねばならない。三島さんも、もっと
長生きしてお國のために尽くして欲しかった。今後、若い人は勉強し、力を養い、体を鍛え、
精神を磨き、最後まで頑張って、善道を世に残す事が大切なのである。
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 追記 上記は20年位前、京都の崎門祭の会合での発言だが、同日京都産業大学所功教授も、
  同じ問題につき発言された。教授の諒承を得て追記する。
  所教授「三島さんが亡くなった時、私も非常なショックを受け、一瞬まさに義挙と思った。
   けれども、あの直後に皇學館大学で田中卓先生がいかに考えるべきか〞を話され、多
   感な学生の動揺も鎮まった。その話は、先生の評論集『祖国再建』に詳しい(下巻「三
   島事件と国史研究会・『論争ジャーナル』」)。また田中先生の恩師である平泉澄博士につ
   いて、最近ある人が某誌に書かれたことは、確認したが、事実ではない。三島事件が起っ
   たのは11月25日で、4日後の29日に平泉博士の東京品川のお宅で『少年日本史』
   出版のお祝会があったのである。その会では、三島さんの話は出なかった。会合の後で、
   どなたかの質問に博士が答えられ、それを名越時正先生が記録された。その覚書の中で、
   博士は、「今回の三島由紀夫の事件は、やはり遺憾に思う。事を急ぎすぎ、人を巻き込ん
   でやったことは、まことに遺憾に思う」 と、先ず述べられた。「ただし三島さんが皇室に
   寄せる熱情を私どもは学ばねばならん」と言っておられる。心情に共鳴するところはあっ
   ても、行動は道を間違っておる。まことに残念であった、とのご見解であった。」


(1)藤樫準二著『陛下の人間宣言』(同和書院、1964年)参照。
(2)問題の箇所は「朕卜爾等国民トノ関係ハ、終始相互ノ信頼卜敬愛トニ倚リテ結バレ、単ナル神
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話卜伝説トニ依リテ生ゼルモノニ非ズ。天皇ヲ以テ現御神トシ、且日本国民ヲ以テ他ノ民族ニ優
越セル民族ニシテ、延テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ストノ架空ナル観念ニ基クモノニモ非ズ。」
(3)神道指令で戦後の神社界の様相は一変した。それについては、神社本庁研修所編『わかりやす
い神道の歴史』(神社新報社、2005年)参照。神道指令については、大原康男『神道指令の研
究』(原書房、1993年)参照。また所功編『五ヵ条の御誓文関係資料集成』(原書房、2001
年)参照。
(4)総司令部の個人・内閣・侍従達の米側の要求への対応の状況記録は、侍従次長が書き残した。
木下道雄著『新編宮中見聞録 − 昭和天皇にお仕えして』(日本教文社、1998年)その他参照。
---------------------------------[End of Page 0286]---------------------------------



[1529] Re:[1528] ■【新装版】国民のための戦争と平和(仮) 投稿者:渡邉政志 投稿日:2024/08/30(Fri) 22:29  

> 2024/10/17、単行本(ソフトカバー)で発売予定らしいです。

もう一冊、発売されるみたいですね。

『新装版 政治無知が日本を滅ぼす(仮)』単行本(ソフトカバー)
※発売日:2024/10/17


[1528] ■【新装版】国民のための戦争と平和(仮) 投稿者:渡邉政志 投稿日:2024/08/30(Fri) 17:37  

2024/10/17、単行本(ソフトカバー)で発売予定らしいです。


[1527] 市村眞一先生のご逝去 投稿者:児島高徳 投稿日:2024/08/13(Tue) 21:45  

村上さん、みなさま

小室先生の恩師の一人であります市村眞一先生が、過日、老衰のため逝去されていたそうです。

また、市村先生のご著書最新巻が2023年に刊行されておりました。
内容から、もしかすると関連文献になるかも…と思いましたので、以下、リンクいたします。
https://amzn.asia/d/1kuaOUL

https://www.sankei.com/article/20240713-FIKO2SPVVFPMHCK46TX66YLJGM/


[1526] Re:[1524] 無連帯 投稿者:小林正樹 投稿日:2024/07/29(Mon) 16:06  

小野寺さん 久しぶりの書き込みありがとうございます。

私もちょうど考えていたことだったので。

アノミーについては、『親子関係は親分と子分だ』より2年前に出版された『あなたも息子に殺される』の以下P168からの説明が私には秀逸で、今もここが印象に残っています。
特に、3つに特徴を分けて説明されていて、非常に分かり易かった記憶です。
この3つの組合せが、『危機の構造』の類別を
単純アノミー 急性アノミー 複合アノミーと原子アノミー 完全アノミー
を補完する説明になっていると思っています。そして、戦前戦後と変わらぬ行動様式(同型)という構造的アノミーの克服こそ、『危機の構造』の大テーマであると。

P186-
四章 2アノミーの分析が最重要
アノミーにおける三つの特徴
 さて、以上、堀越学園高校生殺人事件を例にとって科学的接近を進めてきた。ここでは説明をする紙幅はないので結論だけ述べるが、 その他の家庭内暴力、校内暴力、通り魔等々、現代のすべての少年非行問題の性格は、構造的同型であり、アノミーの所産である点において一致している。となれば、誰しも、すべてはアノミーの分析から始まらなければならないことに気づくはずだ。それ故、以下、堀越学園事件を中心に、これらに見られるアノミーの特徴を整理しておこう。これは分析を次の段階へ深めて行くためにも、必要なことである。

では、それは何か。大別すると、(1)完全なる無規範性(2)無目的性 (3)盲目的予定調和説の三つに要約できるのだが、まず(1)の検討から入ろう。
「完全なる無規範性」と言うと、それはアノミーの所産であるから当たり前だ。いや、非行や犯罪は、そもそも無規範なものだ、とりわけここであげるほど、こんなことは特徴にも何もならない、という反論があるかもしれない。が、ここに無規範性とは、かかる意味ではない。実は、ひとくちに無規範性と言っても、全く違った二つの用法があるのだ。その一つは、規範があっても、それが守られないと言う意味であり、もう一つは、そもそも規範なんか無いと言う意味である。
 つまり、この場合は初めから無かったか、有っても、アノミーが進んで融解してしまったか。そのいずれであるにせよ、規範の存在しない状態を言う。
 この二つは、現象としては大変に似ているようでありながら、その意味を全く異にするから、厳重に区別して考える必要がある。このことを理解するために、アメリカにおける類似の事件、父親の息子殺し事件と対比して考察することにしたい(以下の議論は『わが子、リッチー―父が息子を殺すとき」トーマス・オンプソン著、三浦朱門、山崎泰広訳、 集英社刊を参照)。

この後、2)無目的性 (3)盲目的予定調和説の解説が続く


[1525] Re:[1524] 無連帯 投稿者:小野寺 投稿日:2024/07/27(Sat) 05:53  

> 1984002親子関係は親分と子分だ

 この本は、他にも小室先生の普段言っている説の出どころを説明しているところがあります。
 あまり宣伝されてない本かもしれませんが、久しぶりに読むと、他の本の不足を補うことができる貴重な本だなと思いました。

p215を引用します。

 大日本帝国を支えたのが、明治教育であるとはだれもが異論のないところだが、その目的は、と
こにあったか。国民の社会化など徹頭徹尾眼中になかった。ただひたすら、列強(ヨーロッパの
強い国)に押しつけられた不平等条約の改正と高度国防国家の建設、すすんでは近代資本制国家
として自立することにあった。富国強兵である。教育だけでなく、外国を模倣してつくられた国
家の制度も法律もすべて、これらの目的に絞られていた。
 こう考えるのが、丸山真男教授、川島武宜教授などの説である。

そして、次ページでは、独自の表現で、明治教育そして戦後に続く問題を展開していきます。

p216を引用します。

 そのため、教育に必要とされたのが、軍人と官僚と技術者の養成であり、天皇制絶対主義の教
化であって、明治教育はこれ以外に何の目的もなかった。まことに徹底したイデオロギー教育で
あり、恐るべき機能主義的教育であった。それが戦後どうかわったか。

それから、この教育論で重視する権威の失墜については、おもしろいエピソードも披露しています。

p184を引用します。

 アメリカ占領軍が日本におしつけた教育理念。デューイの教育論とかいうやつで、いまじゃも
う、古色蒼然たる旧理論になってしまったが、その頃は、なにはかとなく、新しい教育理念と
して、もてはやされたものではあった。
 では、デューイの教育論のエッセンスは何か。
 ひとことでいってしまうと、それは、ルソーの『エミール』の誤読。
 ルソーの『エミール』は、たしかに教育学の古典であることは否定しないが、誤読されるとこ
れは、たいへんな弊害を生む。
 デューイは、こんなふうに誤読した。
 教育にとってたいせつなことは、生徒の内なるものを発育させることにある。そのために、権
威による干渉はなるべく避けるべきである。
 いまなら、バカもやすみやすみいえ、といえるところだが、当時の日本人で、こういえる者な
んか一人もいなかった。
 これが悲劇のことはじめだ。


[1524] 無連帯 投稿者:小野寺 投稿日:2024/07/15(Mon) 11:35  

小室先生はよく、アノミーとは「無規範」というより「無連帯」と訳すべきだ、と言っていましたが、明確な根拠はここにありました。

1984002親子関係は親分と子分だ
p66〜67を引用します。

ちなみに"アノミー"とは、一般的に「無規範」と訳さ
れるが、むしろ、「無連帯」と訳したほうが原意に近いだろう。というのは、かつて社会学の始
[End of Page 0066]
祖デュルケムは、それを次のように使ったからである。
「連帯の中にいなければ、人間は人間としての生活を営めない。連帯こそ人間生活の基礎だ。連
帯からはずされると、人間は身の置き場がなくなってしまい、混乱の極に達する。それがアノミー
だ」と。



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