語る「万華鏡」

(愛情無用)

愛情無用(あいじょうむよう)

項目名愛情無用
読みあいじょうむよう
分類必殺シリーズ

作者
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  • 公的データ
  • 新必殺仕置人」第40話。(おっぺ)
  • 感想文等
  • 何を隠そう、この「愛情無用」こそが、私をこの「必殺」へのめり込ませた元凶というものなのだ。
     これを見るまでは、たとえば「必殺商売人」は単にアダルトな時代劇として観ていただけだし、「翔べ!必殺うらごろし」や再放送の「暗闇仕留人」は面白いレベルの時代劇、「必殺仕置屋稼業」はかなり面白いレベルの時代劇……のように捉えていた。「新必殺仕置人」そのものにしても、相当に面白い時代劇、とは思っていたのだが、どこか一歩引いていた。録画してコレクションしておこうとまでは思っていなかった。というより、そういう気持ちを抑えていた。――だって、「時代劇」なんだから。
     所詮「時代劇」でしかないんだから、わざわざ録画してまで観たり、ましてや保存しておくなんて、格好悪い。そんなふうに大学生の私は思っていたようだ。
     だが、いつもように学校から帰って、その日の「新仕置人」を見始めた……
     死神が現れ、正八が現れ……
     これまでの話と少しく食い違う部分があるように見える。正八死神を知らなかったのか? だが、そんなことはどうでもいい。いつも冷徹で、殺人機械のようだった死神の見せる感情、その心弱さ、淋しさ、哀しさに、いつか気持ちが物語に引き入れられていた。歌う正八死神の表情、そして舟のエピソード。荒波の中、ついに沈まなかった、死神を乗せた舟――。
     正八は個人行動を取り、仲間たちは仲間外れだ。死神裏切り者として仕置の的になり、が競り落としてしまう。
     そしてこの回の仕置シーンは、まるで第1話「問答無用」に戻ったような仕置人同士の殺し合いであり……
    「逃げろ、死神!」
     仲間たちには解らない。なぜ正八死神を助けたいのか。いったい、どういう関わりがあったのか。
     しかし、死神はすでに自ら死んでいて……
     死神の後追い心中に失笑し、己代松は自分のぬれぎぬが晴れたことにほっとし、主水は我関せずで……正八は叫ぶ。
    「見て、この舟!絶対沈まなかった舟なんだぞ!」
     仲間たちは去って行くだけだ。
    「半端じゃねえんだ!」
     そして正八は泣くことしかできない……。
     なんという感的な物語。ハードボイルドな、ドライな「必殺」を愛する人には愉快でない造りなのかもしれない。
     けれど、私にとっては「新必殺仕置人」は『感必殺』なのだ。「問答無用」に始まり、「質草無用」「約束無用」「夢想無用」……など、ただただ『感』のボルテージに、その叫びに、その涙に、打たれてきてしまった……のだから。
     だから、この「愛情無用」は感必殺の頂点の一つであり、これの軍門に下って、以降は必殺ファンなるものになってしまっても、それは仕方のないことだったのだ。
     どうしようもなく……。
     そして「新必殺仕置人」はそのまま最終回「解散無用」へと雪崩込む――。(おっぺ)
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