[ 三妖神物語 第二話 女神集う ] 文:マスタードラゴン 絵:T-Joke
プロローグ
天には星がきらめき、真円に達した月が銀の光を地上に投げかけていた。
二人の人物が、天に突き刺さんとするかの如くそそり立つ摩天楼群を眺めながら、町を見下ろす丘に立っていた。
町を眺めやり、背の高い方の人物が相棒に話し掛ける。
「ここが盟主の暮らしている世界か?」
その声には、困惑の色が濃く含まれていた。
「ええ、ミューズから連絡があったのがここですから。
間違い無いはずですよ」
そう答える小柄な方も、相手と同じくらい困惑している。
「とにかくこんなところで時間を潰していても始まらない。
ミューズと合流しよう」
相手は頷くと、相棒に片手を添える。
一陣の風が吹いた後、そこに二人の姿はなかった。