感想文等 | 影太郎がいい。
さて、必殺仕事人Vの第4弾・風雲竜虎編。 政・竜登場のファーストV(変な表現だ)が自分としては最も印象が薄いというのは前に書いたけれど、第2弾「激闘編」は政が花屋から鍛冶屋に転職したことよりも「助っ人仕事人」の参や壱の印象が強かった。第3弾「旋風編」は新加入の夜鶴の銀平のあまりの空気ぶりに政が目立つかと思いきや、それほどのこともなく、むしろ戻ってきた順之助の「せっかく殺し担当に復帰できたのに、それかい」という悲しみが胸にあふれた。 あっという間に「旋風編」が終わって(いきなり終わってタイトルが「風雲竜虎編」に変わっていて本当にびっくりした。このときの驚きばかりはaoiさんには味わってはいただけない(笑))、OP・ED・仕置のテーマまで含めてそのまんまの「風雲竜虎編」が始まった。唯一、銀平と順之助の代わりに三浦友和が加入するというマイナーチェンジで。
三浦友和かぁ・・・というのが正直な印象であり。だって、三浦友和というのはどうしても山口百恵の相手役という位置づけでしか記憶にもなくて。どんな俳優ということもピンとも来なかったのだ。 むしろ、OPで、「旋風編」では順之助と一緒にボーッと突っ立ってるだけという感じだった便利屋お玉が、今回は悲壮感を漂わせながら「ぶった斬り」を見せている。そっちの方が何となく「おや?」と思わせるくらいの・・・
そして始まった本編。 主水の政に対する「銀平のことはもう忘れろ」。(順之助のことは? という微かな疑問(笑)) ファーストVで竜と一緒に登場したときの生意気な若い新人仕事人という感じは、すでに政にはない。「激闘編」や「裏か表か」を通過して、いつの間にか寡黙さを身につけ、雰囲気も暗くなっている。「旋風編」第1話でもそういう登場の仕方ではあったが、これはスカイライダーからさほど間をおかないファーストVの時期とは演じる村上弘明の成長も当然あったことだろう。
そして、お玉が連れ帰った三浦友和演じる、かげろうの影太郎。まだ、この第1話ではそれほどの魅力は顕れてはいない。けれど、「私」という一人称、変に暗さや影をひけらかさないキャラクターは続く第2話で確かに「この仕事人は違うやつだ」と思わせてくれた。秀や勇次のコピーの時代がついに終わったのだ。
ファーストVの主役は新加入の政・竜ではなかった。では主水かといえば、そんな感じでもなく、IVのメンバーを秀から政、勇次から竜に変えただけのルーティンワークなストーリーが続いていた。「しっかりしろい」「このお金で、仕事人に」。 「激闘編」では参や壱というキャラクターに恵まれながら、彼らが「助っ人」という位置でしかなかったため、正選手たる政や竜より目立つわけにはいかず、けれど政や竜がやっぱりあまり目立たなかったためジレンマが発生した。(だから、正面から中村主水を主役に据えた映画「裏か表か」は凄まじいまでの充実感を持ち得た) 「旋風編」は、新人・夜鶴の銀平の空気ぶりと、復活・西順之助の相変わらずぶりと、じゃあ主水ががんばるのか、政が主役なのか、いや、それもない、という凄まじいまでの位置づけだった。 だが、「風雲竜虎編」は違う。確かに、かげろうの影太郎という男が主役になり得た。いくつかのエピソードにそれがはっきりと描かれている。これが、仕事人第1シーズンの左門おでん屋編以降、欠落しつつある貴重な部分だったのだ。そのシリーズに、人生を描ききるべき「主役」がいる、ということが。
残念ながら、この「風雲竜虎編」は「旋風編」のあまりの不出来さに途中からタイトル変更する形で突如出現したものだった。そのため、結局は回数的にも短命に終わってしまった。スタート時点に比べて、次第に脚本的にも単調になっていったのも否定できない。
けれど、もし、もう少し長く続け、次シリーズの継続登板といった色気を出さずに影太郎の人生を描ききっていれば。 「風雲竜虎編」は、最後に主水シリーズを輝ききらせることができたのかもしれない。
続く「剣劇人」でのゲスト主水の疲れた様子を見るとき、そんなことを思ったりするのだ・・・(おっぺ)
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