項目名 | 殺人症候群 |
読み | さつじんしょうこうぐん |
分類 | ミステリ小説 |
作者 | |
公的データ | 「失踪症候群」「誘拐症候群」に続く、「症候群」シリーズ最終巻。(おっぺ) Jane.(sweeta-dx) |
感想文等 | けれど、この完結編は、前評判の「スパイ大作戦対必殺仕事人」「ハングマン対必殺」とかいう、あまりにもネタ的なものとは裏腹に、非常に面白かった。いや、紛れもなくスパイ大作戦対必殺仕事人だったのだけど(笑)、この作者の貫井徳郎がちゃんと本当に必殺者だった点が、この作品を必殺まがい物ではなく、しっかり「作品」として成立させていたんだろうと思う。 一般ミステリファン(こんな言い方があるかどうかは知らぬ)にも、この作品は貫井徳郎作品としては割とメジャーで(TT)、『金で恨みを晴らす、まるで必殺仕事人みたいだけど、実はすごく重いテーマのミステリ』というふうに、必殺が実はすごく重いテーマとして観られるテレビ番組だ(だった)と思ってもらえてないと解る好評ぶりで(T.T)(T.T)。 まあ、その辺の、前期必殺者としての愚痴はさておき、ミステリとして見たときも、さすがは貫井徳郎という仕掛けが施されていて、充分に堪能いたしました。 実は、半年前に読んだものを今再読しかけているのですが、まんまと引っかかったネタについて今度は「うーん、うーん、なるほど、さすがだ」と再確認しながら読んでいるところ。 時々、後期必殺で散見された「名セリフ」がわざとらしく模写されているのはご愛敬。 特に前2作を読んでいなくても、これだけで楽しめるとは思いますです。(おっぺ) もう勘弁してくれ、というところもあるくらいだ。。。 勘弁してほしいので、その辺りについては触れない。 ミステリとしての部分について追加するなら、もっとも「騙し」のテクニックが発揮された或る人物の「正体」については、物凄く今さらながら、実は意外でもなんでもないはずだったのだと気付いた。なぜって、中村○水は仕○人に決まっていたのだから。。。 3年目になってやっと「あー」と思ったんだから、バカみたいだね(笑)。(おっぺ) 「必殺仕置人」が「悪の上前をはねる極悪」と山崎努らが自分たちを規定して始まりながら、「なんだかまともな人間になった気がする」などと気持ち良く思ってしまった直後崩壊し、続く「暗闇仕留人」では石坂浩二が難病の妻のために中村主水のスカウトにのって仕置人になりながら、途中それがために逆に妻を失い、最後には「俺たちのやってきたことで少しでも世の中良くなったか?」などと考え始めてしまい、「俺たちにやられた奴にだって家族や好きなやつがいたかもしれないんだ」と思いながら逆に殺されていく、、、そんなことを繰り返しながら、シリーズが重なるごとにテーマが重層的に増えていった。。。たぶんそれがいきなり限界になって、「新必殺仕事人」あたりからポキッと折れてバラエティ化してしまったのだと思うのですが。 ↑ 上に書いたようなテーマの流れを、「殺人症候群」のストーリー、プロットと比べ合わせてもらえると、「あー」と感じられるものがあるかと(笑) ちなみに、倉持が接触してきたとき、仕置屋の女性が「お金を貰わなければただの人殺しよ」と言って「なんだそりゃ、金を貰えばただの人殺しじゃなくなるのか、どういう理屈だ」と倉持に笑われていますが、この「金を貰わなければただの人殺しだ」というのが、やはり新必殺仕事人から出てきた三味線屋勇次の得意なセリフなわけです(笑)。 倉持のキャラクターは、例えば山崎努の演じた初代仕置人の「念仏の鉄」などに近い部分があるので、このシーンは、後期仕事人の変に正義の味方ぶった言動に対する、初期仕置人からの揶揄のような感じはします。(おっぺ) Jane.(sweeta-dx) |