語る「万華鏡」

(夢館)

夢館(ゆめやかた)

項目名夢館
読みゆめやかた
分類恋愛小説

作者
  • 佐々木丸美
  • 公的データ
  • 北の涯に建つ謎の館。誰も足を踏み入れぬ冷い地下室に私を閉じこめた重い石の扉。あの人を愛した罰で私は殺されるのだろうか。見えざる悪魔は第三の生贄に私を選んだのだろうか。私は必死に幻の電話のダイヤルを回しつづける。既視感覚に導かれて会いえた二人を襲う不可思議な事件を通して、精神世界の神秘と恐怖を描き出す超常ミステリー。
  • 感想文等
  • セックスするっていうのは、汚い自分を見せること。
    佐々木丸美さんの性のシーンは官能的。
    ・官能的でした。
  • 夢館」は、辛うじて犯人捜しの部分を残しながら、孤児シリーズのスタイルを踏襲し、決定的な融合を為し、そして壮大な“伝説”シリーズにつながった館シリーズ一旦の終結作になる。(同時に孤児シリーズの集約作でもあるのだから、それまでの作品の集大成というべきか)
     スタイル上では孤児シリーズだが、そしてシリーズ上では館シリーズだが、ここでもまた佐々木丸美は平気で型破りなことをやっている。
     1つは、館シリーズとしての前作「水に描かれた館」からの時代設定を大きく先へ進めて、シリーズのヒロインだった涼子を交代させて、「崖の館」「水に描かれた館」で影の大黒柱としての存在だった千波を、しかも「水に描かれた館」のファンタジー・ロマンをエスカレートさせた形で生まれ変わらせ、ヒロインとして登場させているという点。
     そしてもう1つは、その千波のキャラクターが、「崖の館」「水に描かれた館」で顕されていた彼女とは全く違う形で登場してきているという点。これらは普通のシリーズものではおよそ考えられない型だ。(しかも、こののち「伝説」シリーズでは再び時間が戻って、ストレートな「水に描かれた館」の時間軸に戻ってくる)
     のちの「風花の里」「影の姉妹」らも含めて考えれば、まさしく大河SFめいた壮大さすら窺える。しかし――そしてなおかつ、あくまで底にあるのはひたむきな恋、いたいけな愛、人類がどう世界がどうというテーマではなく、最後の最後まで、ヒロインの抱いた「恋愛」ただ1つに収束されるのだ。(おっぺ)
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