アシモフ短編集[火星人の方法]読了。
http://www.amazon.co.jp/dp/4150104921
個人的には[銀河帝国の興亡.第1巻]に
比肩しうる短編だと思う。
(正直、銀河帝国シリーズは第1巻以降は蛇足だと思う)
本書は短編が2本でショートショートが2本の計4本。
ショートショートはラファティっぽい一発ネタですが、
表題作[火星人の方法]と[まぬけの餌]は非常に完成度が高い。
[まぬけの餌]は良くも悪くもアシモフにしか書けない内容だけど、
[火星人の方法]は、アシモフ自身が
脱アシモフしかけたような節を覚えました。
あらすじは、宇宙進出における支出を不当と扱う地球が
露骨な水輸出制限をしはじめ、それに困った火星が
『地球人ではなく火星人』として考え水問題に立ち向かう、
というお話。
アシモフならではの判りやすい説明と
ストーリィライン、アイテム配置に加え、
クラーク的な楽観主義と人間臭さ――反骨心と
フロンティアスピリッツが、良い感じに昇華してると思う。
んまー、あたりまえのコト言うようで何ですが。
やっぱ、ビッグ3は読んどくべきなんだなあ。
【ねえ、なんでそんな蛇足つけたの?】
ビッグスリーは誰彼もそれぞれ一長一短あり、
昔のSFファンでは[クラーク派][アシモフ派]という
カテゴライズを各々が適度に名乗っておりましたが。
(ハインラインは例外。あれは、なあ…
少なからず、ハインラインが話題に出ると、
オレが知ってるSFファンの5割は苦虫を噛み潰した顔になる)
直接口に出さないけどみんな思ってた
『クラークとアシモフが合作すればいいのに』
――というのを露骨にやったのがブル☆スタ+ギブスンの
[ディファレンスエンジン]というワケ。
上記が前置き。
角川版ディファレンスエンジン文庫版上下を
古本屋で発見即サルベージしてきました。
以前、ハヤカワ復刊版を読んだ際、
http://cgi.members.interq.or.jp/world/fol/diarypro/spec.cgi?no=87
上巻の[解説]でネタバレやっててブちギれた覚えありましたが、
角川の文庫版では上巻に、その問題のダメ解説は無かったです。
てっきり、当初の角川文庫版にあのダメ解説があり、
版権の都合で除去できず復刊したのかとおもいきや。
あのウンコ解説――映画シックスセンスの途中で
関係ない第三者がフィルムに細工して
ネタバレ解説いれるような最低の行為――は、
ハヤカワ復刊版でのオリジナル要素みたいです。
ねえ、なんでそれ入れたの? 死ぬの?
あー、あー、あぁ…
なんつーか、オレの知らないところで、
早川書房っつーかハヤカワSFも、
なんつーか……だなあ。
大体、ディファレンスエンジンなんてシロモノは
自覚有る人間がその自覚を確かめるための試金石であり、
コレを手にしようと思う時点でディファレンスエンジンを
読みきるだけの力量があるのは当然であり、
サイエンスなフィクションの洗礼を何度も受けていない
パンピな読者にサルでも判るようしてやる必要は
無いと思うんですよ。
というか、サイバーパンク運動が終結した直接の原因を
読者が体感するのを奪うってのはどーなんだ? あ"?
ってゆーか、今、SFファンと名乗ってる人間が
ディファレンスエンジンを読みきれないと思って
あのクソ解説をつけたのなら、
まったくもって大きなお世話っつーか
ソレこそSFファンのレベルを押し下げる、
いわば、今後ハヤカワSFの購読層を大幅に失う行為と
編集の時点で気づけよバカヤロウ!!
もういい。