語る「万華鏡」

(博士の愛した数式)

博士の愛した数式(はかせのあいしたすうしき)

項目名博士の愛した数式
読みはかせのあいしたすうしき
分類文芸小説

作者
  • 小川洋子(プリシラ)
  • 公的データ
  • 80分の記憶しか持たない天才数学者と、彼の家婦として雇われた私と その息子のルート。阪神タイガースの試合中継のラジオ放送に耳を傾けながら、数学の魅力について語り合う3人が過ごした時間を静かにつづる知的ストリー。(プリシラ)
  • 感想文等
  • これまた、小川 洋子さんの作品の中では3本の指に入れられるMy favorite story。
    数学の世界を、ここまで美しく繊細に表現した作品を 私は知らない。(しばしば、ミステリー作品などで使われるが)
    何故、私が小川 洋子さんの小説が好きなのかと言うと、ストリー展開は いたってシンプルだしドキドキハラハラ度は決して高くはない。巻き起こる事件も登場人物の設定もむしろ控え目なのだ。
    しかし、この小説で著されている事件の数々は(事件と呼ぶにはあまりにもささいな出来事ばかりだが…)作者の表現によって、読者の心に刻み込まれる物語となる。
    刻まれた物語は、そのときの光や影、においや温度までもがリアルによみがえらすことができる。初めて野球の試合を見に行ったシーンや、ルートの11歳の誕生日のシーンなど、まるでその場で、私が隣で3人眺めていたかのように…。
    文章じたい強烈な印象はなく、どちらかと言うと冷たささえも感じるが、それは ほてった体に風をあてるような…渇いたのどを清涼飲料水で潤すようなそんな感覚
    に近い。長く連なる数式を レース模様に喩えるあたり!そんなところに、小川 洋子作品の魅力を感じる。(プリシラ)
  • この「記憶ができない」という症状については、確か北川歩実「透明な一日」で初めて出遭ったんじゃないか、と思う。
    それから、荒木飛呂彦ジョジョの奇妙な冒険」第6部『ストーンオーシャン』の中のエピソードが先行してで、映画「メメント」。
    けれど、これらの中で一番印象的だったのが、この「博士の愛した数式」でだったと思う。
    とても静かな小説だった。。。ようだ。数学の話だったせいか、森博嗣の小説をしばしば思い出してしまったのだが、もちろん、内容的なものとしては全く関係はない。。。けれど、この静かさは共通しているような気も。。。する。
    長い、長い時間を、人生が駆けて行く。それを描くのが、小説というものだろう。(おっぺ)
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