語る「万華鏡」

(「今、甦る死」の一部削除)

今、甦る死(いまよみがえるし)

項目名今、甦る死
読みいまよみがえるし
分類ミステリドラマ

作者
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  • 公的データ
  • 古畑任三郎ファイナル第1夜。
    鬼切村には、堀部一族が運営するパン工場「堀部パン」がある。ある日、伍平の甥であり、副社長を務める堀部大吉 ( 千葉哲也 )、専務である大吉の弟・堀部音弥 ( 藤原也 ) の元に、伍平の死が告げられる。通夜の最中、経営難に苦しむ工場のため、裏山を売ってレジャーランド建設を正式に決定することを音弥に告げる大吉。しかし音弥は、伍平と同様に裏山の開発には強く反対していた。
    そんな音弥の元にやってきたのは鬼切村土資料館館長・天馬恭介 ( 石坂浩二 ) だった。彼は、堀部兄弟の小学校時代の恩師でもある。裏山の売買に関して相談するふたり。音弥は、村の自然を愛する天馬のため、どんなことをしてでも開発を止めることを誓う。
    あくる日、天馬の仕事を手伝っていた音弥は、一冊のノートを見つける。それは、小学校時代に書いた自由研究のノートだった。テーマは「僕の考えた完全犯罪のすべて」。その中には、様々な説明図と完全犯罪の方法が書き連ねてあった。音弥の頭の中で何かが動き始める。そしてその夜、堀部家の二階では大吉が遺体となって発見される――。
    事件現場検証が始まった。そこへ 1 台のタクシーが到着する。登場するのは、ご存知・古畑任三郎 ( 田村正和 )。この事件には、「これほど完璧な殺人計画を私は知らない」と古畑に言わしめたほど、巧妙なトリックが仕掛けられていた。
  • 感想文等
  • 舞台となる場所は石坂浩二に合わせてのネーミングかな、手毬唄だし(笑)。
     それにしても失敗した。今回の古畑は実は「さ○ば提督」だったのだが、最初に「新年に古畑」報を見たときに、すでにそこで「石坂浩二が犯人」というのを知識として得てしまっていたのだ。だから逆に、この藤原某はなんだろうと思ってしまったのだが(笑)、 コロンボの「さ○ば提督」で味わえたサプライズをもっと身近な気分で味わえるチャンスだったのに残念すぎる。
     そういえば「さ○ば提督」も、放映前からマスコミの「初めてのフーダニットなんたらかんたら」というネタバレが先行したらしい。なんて勿体ないんだろう……
     観ながら、感じたことをつらつら書き留めていたのだけど、まず「犯人」のあまりな子供過ぎぶりに驚いた。これでは知的対決の快感は薄いんじゃないかなと思ったわけで、新刑事コロンボでも「殺人講義」なんかがそうだったかな。けれど、こんなに刑事の前でもうれしそうな犯人は異色だった。やっぱりコロンボの「死の方程式」でも、やけに躁病的な犯人が出てきたけれど――また、自分の才覚に自惚れながら、いざ現実に直面すると実は役立たずとされてしまう、いわば「二流」の犯人としては「秒読みの殺人」の犯人像が想起される。さすがに「ファイナルシーズン」(三日連続というスタイルだけど)だけあって、元ネタたるもののありったけを投入してきた感じか。(考えすぎか(笑))
     先に「真犯人」を知識として持ってしまっていたので、観ていて「あやつり? それほどもの天才犯人か?」などと思ってしまった。昔の教え子だからと思い通りにできるなら、先生はみんな苦労しない(笑)。「カーテン」の〈X〉だってあくまでプロバビリティで、こちらの犯人はもっと切羽詰まっていたはずだ。
     コロンボが「さ○ば提督」で辿った経路を古畑と部下たちも辿ったわけだけれども、そういう先行作はあっても、いよいよ音弥が死んでからの展開は、やはり醍醐味があった。つくづく、余分な知識は持たずに観たかった(泣)。これが、「古畑任三郎」での最初で最後の倒叙になるのかな?
     冒頭のノートのくだりでは「裏Yの悲劇」などと感じたり、音弥の若さから「青の炎」を思い起こしたり、いろいろだったけど――鑑識はいないのか鑑識は(^^;)
     でも、槍の穂先はよかった。処分できない理由も。こういう部分が、ミステリ読みの心をくすぐる。(おっぺ)
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