「おっす、セリオ〜」
ん? 反応が無い。
「セリオ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「セ〜リオ」
「・・・・・・・・・・・・」
「セリオちゃ〜〜〜ん」
「・・・・・・・・・・・・(ヒック)」
あ、あれ? もしかして?
「・・・・・・・・・・・・(ヒック)」
酔ってる?
「セリオ! おい、分かるか!? 浩之だ!!」
「・・・・・・・・・・・・(ヒック)」
ダメだこりゃ。完璧に酔っぱらっちまってる。まさに『忘我、ここに極まれり』って感じだ。
待てよ。セリオがこんな状態になっちまうって事はマルチも!?
そんな事を考えてたら・・・
「あ! 浩之さん」
うしろから声を掛けられた。
「よ、よう! マルチ」
良かった。いつものマルチみたいだ。
「なんだ。どっか行ってたのか?」
「はい。みなさんにお酌してきました〜」
「へ〜。偉いなマルチは。ご苦労さん」
「いえ、そんな〜。でも、丁度良かったですぅ。浩之さんにもお酌しようと思いまして、捜していたんですよ〜」
「そうか。まあ、お酌は後回しでいいや。それよりもセリオだ。こいつ、酔っぱらっちまったみたいでさ。だから・・・」
「『お酌は後回しでいい』ですって」
「えっ?」
な、なんだ!? なんか、やばい雰囲気だぞ。
「わたしの・・・」
「わたしの?」
「わたしのお酒が飲めないって言うんですか!?」
「・・・はい?」
「わ・た・し・の・お・さ・け・が飲めないんですかぁ〜〜〜!!」
どわ〜〜〜っ! なんだなんだなんだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?
マルチの目が据わっている。
ま、まさか、こいつも!?
「飲め」
「い、いや、あの、だから・・・」
「さっさと飲まんか〜〜〜い!!」
か、絡み酒かよ〜〜〜!!
こんな所まで人間そっくりにしなくてもいいのに。
「さあ飲め、やれ飲め、ほら飲め〜〜〜!!」
「う、うわ〜〜〜! た、助けてくれ、セリオ!!」
「・・・・・・・・・・・・(ヒック)」
ダメだ。実はセリオって、むちゃくちゃ酒に弱いのかもしれない。
「こら〜〜〜! 逃げるな〜〜〜!! わたしの酒を飲め〜〜〜〜〜〜!!」
だ、誰か、助けてくれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
「・・・・・・・・・・・・(ヒック)」