うわっ、べろんべろんに酔っぱらってる。
「し〜ほ〜。お前な〜、あかりにまで飲ませるなよ」
「何よ〜(ヒック)。いいじゃない、少しくらい」
「少しじゃねぇだろ、これは。ったく、雅史も雅史だ。お前が付いていながら何やってるんだよ」
「ごめん、浩之。でも、僕じゃ志保を押さえる事なんか出来ないよ」
それもそうか。
「誰もあたしを・・・(ヒック)・・・押さえる事なんて・・・(ヒック)・・・出来ないのよ〜〜〜!」
「黙ってろ。酔っぱらい」
「あんですって〜!! あたしのどこが・・・(ヒック)・・・酔ってるっていうのよ」
「全部だ、全部!!」
「ほ〜〜〜。そこまで言うなら、酔ってない証拠を見せてあげるわ」
そう言うと、雅史の方に近づいて・・・キスした。しかも、ディープ。
・・・・・・・・・って、オイ!
「何やってるんだお前は! 思いっ切り酔っぱらいの行動じゃねぇか!!」
あ〜ぁ。雅史の奴、完全に硬直してるよ。かわいそうに。
そんな事を考えていたら、それまでおとなしくしていたあかりが急に抱き付いてきた。
「ねぇ、ひろゆひひゃん」
「どした?」
「わたしもする」
「するって、キスをか!?」
「うん」
「ちょっと待て! そんな、急に言われても・・・」
「う〜〜〜〜〜〜、するの〜〜〜!」
ハァ〜〜〜、まったく。
酔っぱらっちまって、まあ。
「わかったよ。しょうがねぇなぁ」
そして、俺たちは唇を合わせた。
「ふぅ。ひろゆひひゃん、大好き。えへへ〜〜〜」
「甘いわね、あかり・・・(ヒック)・・・その程度で満足してるようじゃまだまだね」
なんだよ、この酔っぱらいは。もう余計な事を言うなよ。
「今から、あたしと雅史で『官能と愛欲の世界』を見せてあげるわ〜〜〜!!」
「ちょ、ちょ、ちょっと、志保! ぼ、僕の意見は!?」
無駄だ雅史。酔っぱらいに何を言っても聞きやしねぇよ。野良志保に噛まれたと思って諦めろ。
「ひろゆひひゃ〜〜〜ん」
げっ。すっげー、イヤな予感。
「わたしも『かんのうとあいよくのせかい』する〜〜〜」
「ま、待て、あかり。意味分かってて言ってるか? 第一、お前、喋りが全部平仮名になってるぞ。・・・って、どうしてそんな事が分かるんだ、俺は!?」
や、やばい。俺もだいぶパニックを起こしてるらしい。
しかし・・・あかりの潤んだ目や縋り付くような態度を見てると。
だ、だめだ! 相手は酔っぱらいなんだぞ。ここは理性だ。
理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ねぇ、ひろゆひひゃん。すきにして」
ブチッ!
理性が、理性がなんぼのもんじゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!
こうして、一匹の野獣が野に放たれたのでありました。めでたしめでたし。