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OTOMO KATSUHIRO Comics

気分はもう戦争(原作/矢作俊彦)

Kibun Wa Mou Sensou
Kibun Wa Mou Sensou Obi

童夢」が「日本SF大賞」を受賞した記念に、1984年初頭に付けられた2色刷の帯。同時期「童夢」にはオレンジ色の帯が付けられていた。帯裏には「気分はもう戦争」の雑誌コードと定価が記載されており、専用の帯だったことが分かる。「ハイウェイ・スター」、「さよならにっぽん」にも専用帯があったかは不明。

コピー

第三次世界大戦!?中ソ国境で紛争勃発!ハチマキ、メガネ、ボウイが滅茶苦茶な義勇で参戦。(「ショート・ピース」(双葉社)巻末に記載)

収録作品

タイトル 頁数 初出/再録
気分はもう戦争【AROUND THE LINE (前編)】 22 週刊漫画アクション '80/4/10
気分はもう戦争【AROUND THE LINE (後編)】 20 週刊漫画アクション '80/4/17
気分はもう戦争【POP-EYED SALESMAN】 20 週刊漫画アクション '80/5/15
気分はもう戦争【MONKEY BUSINESS】 30 週刊漫画アクション '80/6/12
気分はもう戦争【海に真紅の流れ星】 22 週刊漫画アクション '80/7/10
気分はもう戦争【MONKEY SUITS】 22 週刊漫画アクション '80/8/7
気分はもう戦争【翼よ あの灯はどこだろう】 22 週刊漫画アクション '80/9/11
気分はもう戦争【中ソ戦争をより一層お楽しみいただく為に】 * 単行本未収録 16 週刊漫画アクション '80/10/9
気分はもう戦争【TAKE 6 TRAIN (前編)】 20 週刊漫画アクション '80/12/18
気分はもう戦争【TAKE 6 TRAIN (後編)】 22 週刊漫画アクション '80/12/25
気分はもう戦争【MONKEY A GO GO】 20 週刊漫画アクション '81/3/19
気分はもう戦争【番外編 太平洋の地獄】 14 週刊漫画アクション '81/4/23
気分はもう戦争【MONKEY SHINE】 20 週刊漫画アクション '81/5/28
気分はもう戦争【MONKEY'S ARROWANCE】 20 週刊漫画アクション '81/7/16
気分はもう戦争【最終回 (その1) さらば愛しき国々よ】 16 週刊漫画アクション '81/8/13
気分はもう戦争【ホントの最終回】 19 週刊漫画アクション '81/11/19

コメント

ハードボイルド作家・矢作俊彦の原作で、大友克洋初の(完結した)長編。架空の戦争を舞台に義勇軍として戦っていく3人組みのエピソードに、戦争に振り回されてゆく人々を描いた短いエピソードを交え、戦争終結までを描いています。シリアスなようですが、ギャグです。シリアスに見せかけたギャグ。架空の戦争の構築という点で、優れているのはもちろんですが、こういう内容でこれだけ笑えるというのも希じゃないでしょうか。

雑誌連載の順番と、単行本での収録順およびサブ・タイトルは若干異なっていますが、基本的に連載された内容は全て収録されています。第7回と第8回の間にあった【中ソ戦争をより一層お楽しみいただく為に】は、それまでの総集編のような内容でした。現在手元に【最終回】(最後から2番目の連載)を除く全話のスクラップがあるので、雑誌掲載時と単行本の違いを比較してみました。以下頁番号は単行本のもの。

連載第1回目 22p(単行本第1話前編)【AROUND THE LINE (前編)】
1. 扉を含む最初の4頁が2色(指定)だったが、単行本ではモノクロに。2. p3「と、まあ〜」は追加。3. p18 5コマ目リライト。4. p30 4コマ目背景追加。5. p4〜最後まで、ベタ、トーン、細かい背景の追加多数。
連載第2回目 20p(単行本第1話後編)【AROUND THE LINE (後編)】
1. 扉リライト。2. p34 背景多数追加。3. p39 4コマ目リライト。4. p43 背景多数追加。5. p46〜p47 単行本化にあたり追加。
連載第3回目 20p(単行本第2話 22p)【POP-EYED SALESMAN】
1. 扉の文字変更 (雑誌ではもっと「週刊アクション」に似た構成だった)。2. p54 ニュース変更。
連載第4回目 30p(単行本第3話)【MONKEY BUSINESS】
1. 扉の文字一部削除 (大友、矢作の作者名があった部分は、単行本では何も書かれていない)。2. 扉を含む最初の4頁が2色だった。3. p101 2〜4コマ目および p102 1〜2コマ目は単行本で差し替えもしくは新たに追加されたもので、p102〜p103 の構成が変更されている。
連載第5回目 22p(単行本第4話)【海に真紅の流れ星】
1. p108 4コマ目リライト。2. p115 1コマ目のネーム変更 (「1ヶ月‥‥‥」が「もう少し‥‥‥」へ)。3. p125 4コマ目ネーム変更 (「狙撃兵を‥‥‥」から「ライフルを‥‥‥」へ)。
連載第6回目 22p(単行本第5話 23p)【MONKEY SUITS】
1. 連載時、‘はちまき’のTシャツの「44」文字が完全に忘れられていて、単行本で当該の全コマに文字が追加された。2. p135 6コマ目老人の絵追加。3. p140 1頁追加。
連載第7回目 22p(単行本第8話 23p)【翼よ あの灯はどこだろう】
1. p235 1頁追加。
連載第8回目 16p(単行本未収録)【中ソ戦争をより一層お楽しみいただく為に】
既出のコマ、ページ、およびいくつかの新たに描かれたコマによる、ここまでの総集編。扉は自己パロディ。既出のコマも、ネームを変えて使われていたりする。
連載第9回目 20p(単行本第6話前編)【TAKE 6 TRAIN (前編)】
1. p168 1コマ目、p169 6コマ目共にリライト。2. p170 3コマ目は前後をつなぐようなコマへ差し替え。
連載第10回目 22p(単行本第6話後編)【TAKE 6 TRAIN (後編)】
1. 単行本では前後編を分けていないため、この回の扉は削除。2. p173〜174 連載時1頁だったものを、単行本では2ページに膨らませてある。もともとのコマはほとんど再利用されているが、構成が変わっている。
連載第11回目 20p(単行本第7話)【MONKEY A GO GO】
1. 扉を含む最初の4ページは2色原稿のように見えるが、連載時もモノクロだった。しかし、うしろのページとの色合いが大きく異なることから、2色頁の割り当てがキャンセルになり、無理矢理モノクロで収録されたものと思われる。なお、単行本では少し白っぽく直されている。2. p206 8コマ目ネーム変更 (「毛沢東は死んだし あんたを ハメた 汪東興も 一年近く前 花舞台から 消えた」が「中国は 日米と 国交を結んだ あんたを ハメた 汪東興は とっくに 桧舞台から 消えた」へ変更)。3. p212 3コマ目 はちまきのセリフは連載時、地に手書きだったのを、単行本ではフキダシに活字へ変更。4. 4コマ目 「不可‥‥」が活字だったのを描き文字へ変更
連載第12回目 14p(単行本第10話)【番外編 太平洋の地獄】
1. p266 7コマ目ネーム変更 (「‥‥いてんだから」が「‥‥痛ェんだから」へ)。2. p267 5コマ目ネーム変更 (「オマンコだ」が「文明だ」へ)。
連載第13回目 20p(単行本第9話)【MONKEY SHINE】
この回、背景へのトーン追加多数とクライマックス・シーンへの描き足しあり。
連載第14回目 20p(単行本第11話)【MONKEY'S ARROWANCE】
p288〜229 連載時1頁だったものを、2頁に拡大。流用されたコマは p288 7コマ目および p289 2〜5コマ目。
連載第15回目 16p(単行本第12話)【最終回 (その1) さらば愛しき国々よ】
扉の飛行機と矢作氏のサングラスへ、トーン追加。以後全てのコマで、矢作氏のサングラスへトーンが追加されている。p294・3コマ目〜295・4コマ目まで、全て差し替え。連載時は大体同内容の画ながら、かなり荒い感じだった。p296・1、3コマ目、ディテール追加。p297・1,4,5コマ目、地面、背景の追加。p298・2コマ目、地面の描き足し。4コマ目、トーンの追加と「ひとつ八百円ね やいたての 八百ごちゅう円ね」から「〜二千円〜」にネーム変更。p299・3コマ目、描き足し。p300〜301、背景のトーン追加。p302〜303、背景のトーン追加および電話ボックスのディテール追加、p302・8コマ目、アパートのディテール追加。p304は1ページ挿入。p305〜309、真っ白だった大友克洋のシャツに横縞追加。矢作のジャケットのかけアミも追加。また、大友克洋の部屋内部のディテールも全面的に追加。p309・5コマ目、背景を前面追加。p310は1ページ挿入。
連載第16回目 19p(単行本第13話 25p)【ホントの最終回】(単行本では【気分はもう次の戦争】)
1. p312, p314〜316, p319 単行本書き下ろし。2. p320 3コマ目ネーム変更。3. p326 1、5コマ目‘はちまき’のセリフの言い回し変更(より凶暴に(笑))。4. p328 絵のディテールの追加多数。5. p332 1コマ目ネーム変更 (「ちきしょー 覚えてろー」から「忘れるな!君らは所詮日本人だ」へ)。6. p332 3コマ目ネーム変更 (「今回が最終回なんだよ」から「日本車の板バネなんかで作るからだよ!」へ)。7. p333 3コマ目ネーム変更 (「うん…どんなことがあっても」から「ああ…覚悟はできてるよ」へ)。7. p334 単行本書き下ろし。

こうしてみると、かなりの変更があったことがわかります。特に、ネームの微妙な変更は、かなりの効果を上げているように感じます。

カヴァー・イラストは、高荷義之によるもの。この単行本で初めて、大友克洋以外がカヴァーを描きました。その経緯については「ロマンアルバム増刊・高荷義之アニメ・イラスト集」に寄せた大友克洋のコメントで若干触れられています。また、装丁デザインは大友克洋自身によるものです。タイトルが表紙から裏表紙へまたがっているという、これまた業界泣かせのデザインとなっています(ごく稀に目録などで「気分はもう」という書名になっていることがあったりします (笑))。

2000年、角川書店よりサイズを大きくしてカラーも増やした新装版が発売されましたが、こちらの旧版も引き続き販売されていますので、問題なく入手できます。この本を含む双葉社から出版されていた単行本は全て増刷を行わないこととなり、2007年の第58刷をもって絶版となりました。また、前述の角川書店版も絶版です。(2012.6.5追記)

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