風子のいる店 / 岩明均 自分が愛してやまない作家の内の1人、岩明均の初期の連載作品。 岩明均といえば、まず『寄生獣』(漫画史上に残る傑作)が有名だけども、この作品も地味ながらいろんな意味で相当なもんです。 物語りは、作品タイトルそのまま。 風子という女子高生が、喫茶店でアルバイトとして働く様子を淡々と綴っている。 タイトルを読んで、一見アットホームな内容を想像してしまうかもしれないけど、実際のところはびっくりするほど殺伐としている。 なんていうか、静かに壊れているかんじ。 対人恐怖症、自殺、イジメ、強姦などなど、エピソードに絡んでくるモチーフからしておかしい。 それらは、日常の中にあたりまえのように入り込んでくる。 でも、物語りは淡々と進む。 登場人物も違和感だらけ。 諦めなのか、愛なのか、それら悪意にまみれた理不尽な出来事に対して、みんながみんなやたら無頓着。 だもんで、1話1話の結末はとても歯切れが悪いものになっている。 ハッピーエンドはなし。根本的な解決もなし。 万事ほったらかし。(のようにかんじる。) だから、もっそリアル。 なんだか「悪意は決してなくならないんだよ」(性悪説)といったような、なんともやりきれないメッセージが込められているような。 --- 地味&無個性な絵とあいまって、ありえないくらい憂鬱な漫画に仕上がってます。(この人の絵、大好きだけどもね。) とりあえず「喫茶店でアルバイトをする女子高生」で語られるべき物語りではないなあ。 『寄生獣』を読んだ後に読むと、岩明均氏の天然っぷりがよりいっそうひきたって、いいかんじです。 全4巻。 → |
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2003.04.28.Mon |