語る「万華鏡」

(「クリスマスローズ咲く頃」に書き足す)

クリスマスローズ咲く頃(くりすますろーずさくころ)

項目名クリスマスローズ咲く頃
読みくりすますろーずさくころ
分類コミック

作者
  • 三原順(おっぺ)
  • 公的データ
  • はみだしっ子」part17(おっぺ)
  • 感想文等
  • この、「つれて行って」への第一歩であるエピソードが、続く「番外編」扱いされている「サーニンのメモノート」と並んでとても好きだ。。。

     昔、サウンドドラマにして遊んでいたのだけれど、今聴き返しても、この2つに特に力が入っている。今でも再演したくなってしまうほど。

     ところで。

     今、文庫版を読み返すと、あちこちセリフに誤植(変更や訂正じゃないと思う)があるんだけれど。。。
     そもそもこのタイトル、「クリスマスローズ咲く頃」ですよね?
     「クリスマスローズの咲く頃」になってるんですけど。。。私の単なる記憶違い? それとも、「の」の入る方が正しくて、訂正になったのかな?(おっぺ)
  • あ・ふーる、あ・ほー。。。アンジーの。
     「品行方正なイメージを崩しとけばね、あとが楽なんだよ!」(笑)。建前だけでそれなりに付き合っていればいい関係の人相手なら、品行方正を貫いたり、あるいはわざと自堕落に振る舞ったりもできるけれど(^^;。
     だから、アンジージャックたちに「あ・ふーる、あ・ほー」で臨んだのは、アンジーが「永住」の覚悟を決めたからだっただろうと思ったんですが。。。
     「フー姉さま、オレは養子の話、受けるつもりだよ」
     だからつまり、それはフーちゃんとの「約束」でもあったので。。。(おっぺ)
  • ここからいよいよ、四人の「新しい生活」が始まる。
     ページ数の関係か、開幕しばらくで、唐突のように視点はアンジー中心となり、特にサーニンマックスはほとんど置き去りのようで、のちに「サーニンのメモノート」と「ブルーカラー」に補填されなければならなかった。が、これはこれで逆にそれぞれについてページをしっかり割けたと言えるかもしれない。
     この「クリスマスローズ咲く頃」で、はみだしっ子たちに拮抗する、拮抗できる、重要なメンバーが登場する。この回そのものではまだその「真実」は発露できず、結局「ロングアゴー」も発現してくるのだが……
     これはよく思い、書きもするのだが、先に「ロングアゴー」に出会い、読んでいた場合、果たしてこの「クリスマスローズ咲く頃」以降の作品はどう読み感じられていたのだろう。
     ジャックロナルド、彼らは、作者のうちではどうであったかはともかく、本編中ではあまりその「真実」を発現させてはいないようではあるのだが……
     それでもジャックは、「つれて行って」の中で、はみだしっ子たちとまるで同位置のように、枠囲みのモノローグを披瀝しさえする。ロナルドも彼の視点とモノローグで綴られる「ミスター・グレンマイヤーの休日」という番外編と、さらに「楽屋裏」のうちに「ロングアゴー」のひとつを持ち出しさえしている。
     この「楽屋裏」での「パムのつわり」のくだりからすれば、作者の中で、少なくともかなり緊密な「ジャックたち側の設定」が存在していたことは確かだろう。
     「クリスマスローズ咲く頃」中では、まだジャックは、グレアムの視野の中で、「信じるに足らないおとな」として姿を示してしまっている。まだしもロナルドのほうが「理解ある」向きに見えるかもしれない。ジャックのひとつの「真実」のためには、次の「番外編」たる「サーニンのメモノート」を待たなければならないのだ。
     そして、この「クリスマスローズ咲く頃」は、アンジーの物語だ。アンジーと、そしてグレアムの。
     クレーマー一家に入り、しばらくして自分が「いい子」を演じているかと感じたアンジーは、一転、「バカ息子」要素を拡張、露出させにかかる。
     「サーニンのメモノート」ではグレアムは言っている。「アンジー! しまいにみんなにそれが地だと思われるよ、確かに地ではあるけど…いや…その、つまり一事が全部そうだと」
     「クリスマスローズ咲く頃」でアンジーは答えている。「一度素行に関するイメージを地におとしとくとね後が楽なの! いいかい? 1日40本タバコを吸うガキが1日10本に減らしゃほめられるだろう。吸っても誉められる! ねらいはそこなのさ!」
     笑って「バカ息子」ぶりを振りまくアンジーだが、また「サーニンのメモノート」でサーニンは述懐する。
     「アンジーが斥候みたいだと言ったのはグレアムだった」
     「1人まっ先にトットトットと走って行って」
     「おーい大丈夫だよ! おいで! おいで! ここまで安全だよ!」
     だから、サーニンマックスもだんだんと自然に振る舞えるようになっていった……
     そんな「バカ息子」ぶりが剥がれた時、アンジーは家を飛び出して行かずにはいられない。町を彷徨い酒場で陽気にくだを巻き、酔って自分自身と言い争うアンジーの姿は鮮烈で、いつまでも心に残る。
     どんなに成長しても、アンジーはやはり誰よりもつきやすいままなのだと……
     誰よりも強く、勇ましく、けれど、やはりつきやすいままだ。アンジーは……(おっぺ)
  • 作者
  • 作家・監督等
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