項目名 | 夢売ります手折り花 |
読み | ゆめうりますたおりばな |
分類 | 必殺シリーズ |
作者 | |
公的データ | |
感想文等 | 「仕事人IV」あたりから、あまり「映像美」というのは感じられなくなっていて、プロットやストーリー、キャラクター描写以外にも、「必殺」の魅力にはこの「映像美」もあると思っていたので、「商売人」での色遣いやらアングルやらにはなんだかやたら嬉しくなってしまう。 今回はそれのみならず、ゲストたる北岡菊のキャラクターも、型に嵌まった「恨みを晴らしたい、復讐に凝り固まった女」とは異なっていた。ほとんど別時代劇のれっきとしたヒロインなみに造形され、セリフが編み出されていた。 感情を抑え、寡黙に、しかし、相手に対して威圧となるセリフは端的に言い放つ。 最初の、「恨み。」という一言でキャラクターはかちりとはまり、そのあとも安逸に崩れることがなかった。 「許しもしないし助けもしない。」「殺されはしません。私が殺すんです。」など、キャラクターがしっかりしているから生きてくるセリフだろう。 他にも、この回では楽しめる部分が多かった。新シリーズ開幕時こそ、前作との橋渡しのように少しは触れられても、以降はまず語られることのない「昔話」。それがこの回では珍しく触れられていた。 正八の、「俺だって元絵草子屋だよ」というセリフは、前作「新必殺仕置人」がそのまま息づいたセリフであり、やはり嬉しくなってしまう。 正八メインの「煽り」というわけでもないだろうが、いきなりの「秀英尼いやいやいや〜」には、あまりの唐突さにウケてしまった(笑)。鮎川いづみも、何でも屋の加代よりおねむのほうが面白いと思っていたが、秀英尼も面白いとは知らなかった(笑)。 主水についても少し。 おせい・新次がアジトから立ち去り、ひとり残ってこぼすように、「てめえらに信用されたって一文の得にもならねえや」とぽつりと言う。なんとなくこのときの主水に寂寥を感じた。仕業人の頃の主水なら出てこなかったセリフだろう。「新仕置人」の日々を過ごしてきてしまった主水だから、こぼれてしまったセリフ……そんなふうに感じられた。 脚本家も監督も藤田まことも、そんなことは思っていなかったのだろうけれども。(おっぺ) |