語る「万華鏡」

(必殺仕事人2009新春スペシャル)

必殺仕事人2009新春スペシャル(ひっさつしごとにんにせんきゅうしんしゅんすぺしゃる)

項目名必殺仕事人2009新春スペシャル
読みひっさつしごとにんにせんきゅうしんしゅんすぺしゃる
分類必殺シリーズ

作者
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  • 公的データ
  • 脚本:寺田敏雄  監督:石原興

    南町奉行所見廻り同心・渡辺小五郎(東山紀之)、絵師でもある経師屋の涼次(岡昌宏)、役儀任免で南町奉行所自身番となった中村主水(藤田まこと)らは、表稼業をこなしながらも、仕事人として闇にまぎれて悪人たちを討つ日々を送っていた。ただ一人、からくり屋の源太(大倉忠義)だけは、仕事人として人を殺めたことを後悔して葛藤しながら、作太郎(前田航基)とともにめし処「その」を営んでいた。
    江戸の街では、なぜか薬の値が高騰する事態が起こる。主水が自身番を勤める長屋横丁でも、与平(前田吟)ら貧しい老人たちが薬の高騰にあえいでいた。そこに、薬を安売りする薬種問屋恵比寿屋が現れる。店の主・恵比寿屋善兵衛(雷太)は救世主としてあがめられるが、その裏で善兵衛は、舶来モノの安い薬が江戸に入るのを差し止めていたのだった。
    そんな中、素浪人・権藤伊左衛門(沢村一樹)が江戸にやってくる。彼は小五郎の剣術道場時代の同士で、自慢の剣の腕で世直しをして名を上げようともくろんでいた。
  • 感想文等
  • 「2007」が放映されてから、も1年半が経つのか……と、その方が少しびっくりかもしれない。
    その間、2007チームは何をやっていたのだろうかと思うと、一応あらすじを見ると仕事人をやっていたようだ。からくり屋の源太だけは足を洗っていた……にしては、経師屋の涼次は割りと近しくしているし、作品内での経過時間はさほどのものではないのかもしれない。もっとも、主水が書庫番になったのが2007でのことなので、配置換えとなれば少なくとも半年は経っているだろう。

    この2009を見るのに先駆けて2007のお復習いをしよう……という気にはなれなかったので、オープニング等が2007でどうだったか、同じだったのか異なっていたのかは分からない。しかし今回見てみて、「何だこれは?」と(笑)。そういえば「激突!」のオープニングでも、徳光和夫の喋りで気が脱けたなあ……でもまあ、肝心なのは中味なので、中味さえ素晴らしければきっと「このオープニングは味があるなあ」になるに違いないのである。

    中味。
    やっぱり、映像が明るいというかムードがないというか、光と影を縦横無尽に使う必殺最大の武器が封印されているような感は否めない。
    ドラマ……は、恐れていたほど悪くはない。けれど、新鮮ではやはりなかった。期待するのは、「今度の必殺はどんな?」なのに、やはり「今度の必殺もこんな」ではあった。先の読めないものがない。いや、あった。櫛がいきなり死んでしまうというのは意表をつかれるものだったはずだ。個人的には、2007で彼女が出てきたとき、「また忍者かあ……」とがっかりしたおぼえがあるので(仕事人Vで組紐屋が抜け忍だという設定で語られたとき以来、忍者の仕事人というのが跋扈跳梁し始め、非常によろしくない悪習が出来たと思っている。だから、涼次が抜け忍で、それを追っかけてきた昔馴染みのくのいちというのには非常に気勢を削がれたものだったのだ)、特に未練はない。むしろ、ちゃんと彼女のドラマの中での死に場所を得られて、よかったじゃないかとさえ思う。順○助のドジに巻きこまれて爆死した、という形でなくてよかったよかった(--;

    さすがにスペシャルだけあって、被害者も悪人もちゃんとした役者陣がを揃えている。しかし、ゴリさんの演技は随分わざとらしい感じで、かなり違和感があった。津川雅彦風に狙ってやっているのかと思ったが、そこでの域にはなっていないし。
    そして今ひとつ残念なのは、沢村一樹の立ち位置が今ひとつ明確でなかったことだ。登場時点からすでにしてただの巧言令色だったので、その後のスタンスに意外性も悲しさも発生し得なかった。その点では、櫛の死に今ひとつテーマ性が欠けたかもしれない。ここについては、ファースト「必殺仕事人」の某回が数段優っている。
    渡辺・権藤・櫛・涼次という繋がりが出来ているわけだが、むしろ渡辺と権藤の繋がりなど消してしまって、もっと櫛のドラマを作り、そこから涼次の情念をもっと燃え立たせてもよかったかと思う。

    涼次の必殺技が代わる理由がそのままドラマと絡んでいるのはよかったと思う。レントゲンの復活も、一応悪くもない。……が、このレントゲン――まんま仮面ライダー555ファイズ)です、これは。
    いや、ファイズを見ていたとき、このレントゲンが出てきて「わ」とか思ってたんだけど(笑)、まさか本家本元の必殺の方で仮面ライダーのレントゲンをパクる形になるとは。パクッてるワケじゃないんだろうけど、先にファイズをみた人間からするとそう見えちゃうのよ、これは。特に、ファイズの第7・8話で、「これは……仕置人だ」と感じてしまった者としてはなおさら。

    一方、源太の技が、使う道具は同じでも、ただただ又しても三味線屋組紐屋に回帰してしまっているのみなのは無念。
    主水はやはりスローバラードですか、そうですか。

    主水は「仕事人V」あたりからかなり老いてきていたのだけれど、もうすっかり鹿蔵さんです。だから元締めをやればいいと思うんだけど。鹿蔵をやれとはいわない。主水主水であって鹿蔵でもでもないんだから、主水のままで元締めでいいではないか。もういいかげん現役はやめようよ。そのうち、周りの仕事人が同情のあまりにこっそり代わりに殺していてくれて、主水はただ死体にぶすりと(しかも障子越し)突き刺して「閻魔が(以下省略)」と決めゼリフを……哀しい。

    音楽……は、やはり使い回しばかりで、ああ、やっぱり新しい物を作ろうというんじゃないんだね、と思わされてしまうとのが哀しかった。旧来からの必殺ファンたちから囂々たる非難を浴びながら、けれど、だって、面白いんだから見ようよ、と思わせるようなものが欲しかった。しかし、そのためには……

    やはり、現役仕事人中村主水がいてはならないのだ。

    むしろ思う。「主水死す」が満足いくものでなかったから主水が再生したのであれば、2007で死なせてやって欲しかった。そして、2009は新生必殺にしてほしかった。
    この中村主水にどんなドラマを用意してやれるというのだろう。元締めにもならず、「恐ろしい男」でもなく、すでに「昼行灯」と軽侮されることさえ失った男に。

    それとも。

    そんな男にこそ用意された舞台が待っているのだろうか。
    さもなくば……(おっぺ)
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