語る「万華鏡」

(わたしは地球人)

わたしは地球人(わたしはちきゅうじん)

項目名わたしは地球人
読みわたしはちきゅうじん
分類特撮

作者
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  • 公的データ
  • 1999 ウルトラセブン最終章6部作
    中国の奥地で、一万五千年前の遺跡が発掘された。ウルトラ警備隊はその遺跡から出土したオーパーツの輸送を命令される。出土現場にはウルトラセブンに「真実を確かめろ」と語りかける女性の姿があった…。地球防衛軍が隠し続けてきた「ノンマルト事件」の全てが、カジ謀が強固にフレンドシップ計画を推進した理由が、今明らかになる!
  • 感想文等
  • ずっと前に製作されていた、新作の「ウルトラセブン」を観る機会があり、6部作となっていたのだけれど、最初のうちは「やはり、ビデオ録りはいかんなあ」などと思いながら見ていたのだが、最後の2作。キングジョーの復活する話では、このキングジョーの特撮には喜んでしまった。そして、最終巻。
     この最終巻は、昔の、つまりオリジナルのセブンでも問題作のひとつと言われているはずの「ノンマルトの使者」の続編的な話だった。
     「ノンマルトの使者」っていうのはどういう話なのかというと。。。

     まず、「ウルトラセブン」というのは要するに、ウルトラマンの一族であるところのウルトラセブンが(断じてウルトラマンセブンという名前ではないのである)、モロボシダンという名前の地球人に変身して、地球防衛軍極東支部の中のエリート集団ウルトラ警備隊の隊員として身をやつし(?)、地球を狙う異星人や地底人などと戦うという特撮ヒーロー物語。けれど、前作の「ウルトラマン」が一部を除いて概ね勧善懲悪で爽快なスーパーヒーロー物語だったのに比べ(一部、というのは「故郷は地球」のようなものを指す)、「ウルトラセブン」は、怪獣退治でなく宇宙からの侵略者たちを相手にしていたせいか、いやにドラマティックでハードな設定や物語が多くなっていた。
     「超兵器R1号」というエピソードは、地球防衛軍が、開発した超兵器を『生物がいないと調査済みの』太陽系外惑星に向けて撃ち込み、その惑星を消滅させたところ、実はそこに棲息していた生物が怪獣化して復讐のために地球に飛来、防衛軍はこれを、さらに強力化した新超兵器で殺してしまおうとする、という物語。
     ウルトラセブン変身したモロボシダン隊員はこの状況に危惧を抱き、新超兵器の開発をやめるように願い出て、仲間から叱責される。
     「ダン! 忘れるな、地球は狙われてるんだ! どんな強大な敵が来るかもしれないんだ!」
     「そのために、超兵器が必要なんですね!?」
     「当たり前じゃないか!」
     「宇宙人は、超兵器に対抗して、もっと恐ろしい兵器を造りますよ!」
     「我々は、それより強力な新兵器を造ればいいじゃないか!」
     「それは。。。」
     絶句したモロボシダンは、ここで、後にまで残ったセリフを言う。
     「それは。。。血を吐きながら続ける、哀しいマラソンですよ。。。」
     一応、このエピソードでは、最後にダンの気持ちが通じ、超兵器の開発は中止されるのだが、ほのぼのしたBGMが流れるエンディング、なぜか画面には、檻に入れられたハムスターが映り、檻の中で糸車の上に乗って永遠に走り続けている。暗喩か?

     さて、そして前述の「ノンマルトの使者」なのだが、これは、ウルトラ警備隊の前に、謎の少年が現れ、いきなり地球人の断罪を始めるという物語。
     「海底開発をやめてよ! 海底は、ノンマルトのものなんだ」
     「その、ノンマルトってなんだい?」
     「本当の地球人さ!」
     「本当の地球人?」
     「地球には、もともとノンマルトが住んでいたんだ。だけど、人間たちに、海底に追いやられてしまったんだ。人間は、今じゃ、自分たちが地球人だったをしているけど、本当は、侵略者なんだ!」
     「人間が、地球の侵略者ですって? まさか(笑)」
     「本当さ! 人間はずるい! いつだって自分勝手なんだ。ノンマルトを海底に追いやって、地上だけで足りなくなると、今度は海底にまで。ノンマルトは断然戦うよ!」
     そして、少年の予言通り、海底開発は妨害を受け、ついにウルトラ警備隊ノンマルトたちの戦いが始まる。
     海底に乗り込んだキリヤマ隊長以下ウルトラ警備隊員たちは、海底に都市を見る。
     キリヤマ「ノンマルトの海底都市?!」
     キリヤマ「我々人間より先に、地球人がいたなんて。。。そんな馬鹿な! やっぱり攻撃だ!」
     そして、ウルトラ警備隊の活躍で、ノンマルトは壊滅した。。。
     キリヤマ「我々の勝利だ! 海底も、我々人間のものだ!」
     (こう書くと、なんだか、ウルトラ警備隊のキリヤマ隊長って、悪逆非道な感じがするでしょうが、他のエピソード等観てみると、いやいや、非常に「いい人」なのです。キリヤマ隊長主役編の「明日を捜せ」なんて、人情刑事モノみたいです。)
     このエピソード、結局、本当にノンマルトが地球の先住民族だったのかどうかとかは不明なまま終わっていたのだが、今回の新作セブンでは、とうとうそれに決着をつけていたわけだ。

     異星人を超兵器か何かで撃退しよういう計画を立て、どんどん軍事化が進んでいる地球防衛軍。この辺り、「超兵器R1号」の後日談的なところも見える。そして、ノンマルト問題に決着をつけようとする等身大の(ウルトラマンはだいたい巨大化して怪獣と戦っているが、セブンは人間と同じ大きさのことも非常に多い)セブンに向かって、なんと防衛軍が一斉射撃するのだ。
     そもそもウルトラセブンという名前は、当然のように本当の名前ではない。本名は不明。ウルトラセブンという名前は、ウルトラ警備隊7番目の隊員、のような意味合いで自然に付いていたらしい。それほど、セブンは地球防衛軍の、少なくともウルトラ警備隊の「仲間」だった。そのセブンに向かって、地球人、地球防衛軍が、それも「撃て!」と一斉射撃している画面は、ほとんど悪夢的なものだった。
     かてて加えて、どうやらキリヤマ隊長は、ノンマルト事件の真相、即ち、ノンマルトの主張が真実だったということを知る生き証人だったがために、防衛軍の工作員によって暗殺されてしまっていたらしい。。。なんだかとんでもない展開である。
     普通だと、「親しんでいた子供の頃の世界をぶっ壊して!」と憤るところなのかもしれないが、また、もしこれがウルトラマンならそうだったのかもしれないが、なにしろモノがセブンだけに、なんだか随分すんなりと受け入れてしまった。。。
     セブンなら、そうもあろうか。。。という感じだ。
     それにしても、つらい話を観てしまったものだ。。。(^。^;)(おっぺ)
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