語る「万華鏡」

(リセット)

リセット(りせっと)

項目名リセット
読みりせっと
分類SF小説

作者
  • 北村薫(おっぺ)
  • 公的データ
  • スキップ』 『ターン』に続く、「時と人」シリーズの第3弾。
    太平洋戦争末期、神戸に住む女学生の水原真澄は、時局の厳しさを横目で見ながら、友人たちと青春を謳歌していた。真澄には、結城修一というほのかな恋心を抱いている少年がいる。幼い記憶にある、30数年に1度しか見られないという獅子座流星群をいつかふたりで眺めてみたいと真澄は心に期していたが、度重なる戦火がふたりを引き裂いてしまう。やがて終戦を迎え、東京オリンピック開催が近づく昭和30年代前半。小学5年生の村上和彦は、自前で小学生に絵本や児童書を貸し与える女性と知り合う。彼女こそは水原真澄だった。折りしも獅子座流星群の到来まで、あと4年と迫っていた…。(おっぺ)
  • 感想文等
  • スキップ」が面白く、そして「ターン」が更によかったので、次の「リセット」にもかなりの期待を寄せていたのだけれど、実は私には今ひとつの出来という感じに終わってしまった。それは、今回再読してみても、変わらない。
     1つには、この「リセット」が、前2作と違って、おおむね「回想の語り」に終始してしまった。。。こともあるだろう。「スキップ」「ターン」は、常に現在進行形で、主人公が直面している、立ち向かっている「時間」が、『今』そのままで、読者であるこちらにも迫っていた。
     「リセット」は、それに対して「結果報告」に似た薄幕を感じさせてしまった気がする。

     そして、それと非常に関連するものなのだが、「スキップ」「ターン」は、主人公が「今」直面した困難に立ち向かい、乗り越えようとする物語だったのに対し、「リセット」はそうした困難はなく、むしろ「障害」「困難」のない「幸せな奇蹟」の物語だった。。。これが、私のようなタイプの読者には今ひとつになってしまった理由だろうと思う。。。

    本来、私は「再会」の物語には弱い。だから、この「リセット」も再会ストーリーであるというだけで、私の多大な支持を得る物語だったはずなのだけど、、、

    でも、「流星群」と再会、というモチーフが、映画「星空のむこうの国」とダブってしまったせいなのかもしれない。(おっぺ)
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