感想文等 | 子供の頃見ていた時は、第1話の「壁ぬけ男」はともかく、やはり印象強いのは「怪奇」さが激しい「人喰い蛾」とか「吸血地獄」になる。 大人になってからは、また違った面白さが見えて、ちゃんと堪能できるというのが、この「怪奇大作戦」をはじめ、幾点かの日本特撮物の魅力だろう。 「死神の子守唄」は、「そして誰もいなくなった」ばりに、数え歌(ここでは子守唄になる)に沿って殺人が行われるが、眼目はこの童謡殺人にはない。冷凍光線による殺人のエフェクトもさしてインパクトはない。 ヒロインと絡むのは勝呂誉演じる三沢だが、このヒロインにも三沢にもさほど見せ場があるわけでもない。 インパクトはやはり、岸田森なのだ。 ヒロインの兄で犯人役の草野大悟と岸田森との対峙、これが「死神の子守唄」のメインディッシュだ。 草野を追う場面での岸田のセリフ、「……待て」。この「待て」がためらいや哀しみや怒りや、それら総てを滲ませて掠れ震えている。このたったひとことで、こちらの心も震えた。 岸田森の芝居を思い切り堪能するには、「怪奇大作戦」に限る。本気でそんなことを思ったりもするのだ。(おっぺ)
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