感想文等 | 初めて「怪奇大作戦」がビデオ・パッケージ化された時、最初に収録されたのが、「呪いの壺」と、この「京都買います」だった。 「壁ぬけ男」とか「人喰い蛾」とか、放映開始当初のいかにも「怪奇」という感じのものではなく、むしろ濃厚なドラマが詰まったこれらがまずソフト化されたというのが、「怪奇」ファンが何を好んだのか、送り手側も解っていたということかもしれない。私などは最初、どうしてこんな地味なエピソードを、なんて思っていた(笑)。 「京都買います」は、ヒロインたち犯人側の動機や心情もあるが、個人的にひとえに岸田森の演技を堪能する最良エピソードだと思う。ゲストヒロインを追いながら「待って下さい」と声を掛ける。ヒロインは行ってしまおうとする。「待って下さい」。行ってしまおうとする。「待って下さい」。この部分の、「待って下さい」しかないこの部分の、なんと濃密なことか。 特撮や時代劇や現代劇や、いろいろなジャンルで常に観ているこちらを驚かせたり感動させたりしてくれた俳優が岸田森だった――こういう役者はこれから先どれほど現れてくれるだろう?(おっぺ)
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