項目名 | ガラスの麒麟 |
読み | がらすのきりん |
分類 | ミステリ小説 |
作者 | |
公的データ | 「あたし殺されたの。もっと生きていたかったのに」通り魔に襲われた17歳の女子高生が遺した童話とは……。少女たちの不安定な心をこまやかに描く待望の連作ミステリー 「見てて」ぽつりと直子は言った。「今からテレビであたしのこと言うわ」 「何だって?」テレビはいつの間にかニュースに変わっていた。明るいグレーの背広に身を固めたニュースキャスターが、生真面目な口調で何か言っている。 〈……昨夜、女子高校生が何者かに襲われて死亡するという事件がありました。亡くなったのは同市内にある私立花沢女子短期大学付属高等学校に通う安藤麻衣子さんで……〉 「知り合いか?」 「知り合いって言うのかしら」直子は唇だけでかすかに笑った。…… 「あたしが安藤麻衣子なんだけどな」――(『ガラスの麒麟』より)(本岡家@おっぺ) |
感想文等 | 表題作を読み終えたときは、「日本推理作家協会賞」受賞というほどの作かなあ。。。と正直思った。 一体、この受賞というのが、この表題作だけに与えられたものなのか、それとも、この連作長編(そう、実は掲載された雑誌もバラバラのようだったので、鈍くも最後まで確信もできなかったのだが、何を隠そうれっきとした長編なのだ)に与えられたものなのかはわからない。ハードカバーなので、受賞というのはこの一冊にまとまってからのことではないようなのだけど。。。 まあ、そういう枠組みはどうでもいい。「受賞」していようがいまいが、作品が読み手に与える価値になんの変わりもない。 表題作のあと幾重にも幾層にもなりながら、とうとう最後の書き下ろし章にいたって。。。 涙がにじんでしまったのは、たった1つの科白のせいで。 そして、その科白は、たとえば半村良「妖星伝」などと比べられれば、なんと甘い、なんと。。。と苦笑されるだけのものでしかないのかもしれない。。。 けれど、そんなふうに達観はできないのだ。。。 生きている人間は。。。 そして。 その科白にかなうためには、かなうだけの生き方をしなければならない。。。 たとえ、これからも何度も裏切ってしまおうとも。。。 せめて、百分の一でも千分の一でも。。。 けれど、そんなふうに限定してしまうのは甘えなのだけど。。。 限定抜きにしてしまえる自信もない。。。 そして、全て最初から放棄することも。。。 。。。。。。 (本岡家@おっぺ) 私も読み終わりました。 > 加納朋子でも涙ぐんでしまうとは予想しなかった。。。(笑) 私は加納さんの本ははじめてだけど、本岡家さんの感覚はわかるような 気がします。 まどろっこしい文章で涙ぐんでしまうとは思わなかった・・・ > > 涙がにじんでしまったのは、たった1つの科白のせいで。 ただ、たぶん本岡家さんの涙腺を触った科白と私のそれとは違うでしょう。 私は、ぺんぎんの話がたまらなく哀しかった。 鏡に映し出された自分の姿を仲間だと思うぺんぎん。 いつか、自分と同じ動きをする仲間に気付くことがあるのだろうか・・・ それともいつか、違うぺんぎんがやってきた時に、自分と違う動きをする それに違和感、または恐怖心を抱くのだろうか・・・・(きんぎょ) |