感想文等 | 第46話「怨技非情竹光刺し」は久しぶりのハードな物語。 また、これまた久しぶりというか珍しくというか、タイトルと内容が一応リンクしている(^^; この「仕事人」左門おでん屋編では、各回のタイトルが無理やりすぎて、全然内容とリンクしない憾みがある。それはまあ、「仕留人」や「新仕置人」でも無理無理回はあったと思うが、いくらなんでもちょっと、ねえ、という感じだ(笑)。
怨技非情竹光刺し。まさしくこのタイトルだけで、内容がまざまざと思い出せる。
オープニングから仕事のシーンだ。やり遂げたあと、しかし、奉行所の追っ手がかかり、主水の韜晦も完全には功を奏さず、秀が追いつめられていく。 そんな秀が選択したのは、武家屋敷へ逃げ込むという道だった。
発見され、観念した秀が自ら命を絶とうとしたとき、屋敷の当主がそれを咎め立てる。「若い者が無駄に命を落とすな!」
秀は見逃され、難を逃れる・・・
だが後日、この当主は、非道・悪行を重ねる主君に意見をし、「見事に腹かっさばいてみせれば、あらためよう」という言葉に従う覚悟を決める。 事後を息子に託し、白装束を身につけ、切腹の準備をして城に赴き、主君から与えられた白刃を鞘から抜く……と、それは白刃でもなんでもなかった。先が尖ってこそいるが、ただの竹光だったのだ。さすがに唖然とし、動きが止まってしまう 「どうした、臆したか?」 素知らぬ顔で言う主君。周囲の家臣たちも知らぬ顔だ。 「命を賭して意見すると言ったのは戯れ言か」と罵られ、再度覚悟を決めるよりない。 「殿……きっと、約束しましたぞ」 そして彼は……竹光を自らの腹部に深々と突き立て、えぐるのだ。 苦痛に喘ぎ、しかし、鋭利な刃物でないために、致命傷にはならない。 「か、介錯を……介錯を……」 そばに控えている介錯役に頼むが、内心はともかくやはり素知らぬ顔なのだ。 見かねた息子が飛びだし、その瞬間、無礼者ということで斬り倒される。この無礼により、切腹による意見具申も取りあげられることはなくなった。
非情な竹光刺しは、ただ、怨みを残す……
秀は主水はもちろん、仕事人としては後進に当たる左門からしても、精神的に未熟でしかない。自分の気持ちのままに行動しようとして、他の仕事人たちを危険にさらす。 「なぜ八丁堀の言うことを聞かなかった。俺たちがどうなってもいいのか!」と左門から殴り倒されるのだ。
怨みを残す「被害人」と、若い秀の有り様と、そんないかにも「仕事人」第1シリーズらしい物語が、ここには久しぶりにあるのだ。(おっぺ)
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