感想文等 | この長編の最大の関心処はやはりなんといっても、あの「ヘッドハンター」についに最終の決着がつけられる……という部分だろう。 それが何より大きいので、第二部に用意された趣向もさすがに若干褪せ気味に映ってしまう(とはいえ、しっかり読み返してしまったが)。第三部幕切れについては予想通りというところ。 「ヘッドハンター」以降、「グール」「カットスロート」「髑髏島の惨劇」「暗黒大陸の悪霊」……と読み進んで、本編自体の興味とは別に、「ヘッドハンター」で最強のヒロインとなったキャサリン・スパンの動向が全読者の関心の的だったはずだ。「ヘッドハンター」以外では名前のみ、せいぜいワンシーンの出番で、けれど彼女が出て来る度に、「あ、いるいる」と一種の興奮を読者はおぼえてきたに違いない。 解説では、「グール」以来ジンク・チャンドラーが主役の立ち位置だったので、久しぶりにロバート・ディクラークが主役なのが嬉しいみたいにも書いてあったが、大方の読者はそれよりも「待ってたぞ、キャサリン」気分のほうが大きかったのではないか。 本作ではいよいよ再度のキャサリン・スパンの智略と剛腕が堪能できるわけだ。 キャサリンと戦って敗れ、死んだはずのヘッドハンターの復活と、そのヘッドハンターをも上回る「真犯人」……。「ヘッドハンター」の真の最終章として(長いけど)、期待を込めて読むべきパートなのだ。(おっぺ)
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