感想文等 | 「七人の侍」のガンマン版リメイクということで試しに観てみた。 だいたいオリジナルに沿って進んでいくけれど、「七人の侍」にあった泥臭い悲壮感がなくて、カラッとした英雄譚になっている。 なにより、オリジナルには色濃く出ていた「百姓がただ弱く、しかし心正しい連中だとでも思ったか!」という叫びが存在しない。だからラストの寂寥もない。同じようなセリフはあっても、含まれる意味合いが全く違うのだ。 そもそも「頼み人」たちがなんとも明るく脳天気なふうに描かれる。つまりは「百姓」という点でのテーマ部分はすっぽり飛ばしたわけだ。毒気が抜かれている、というあれである。 日本のアニメや特撮が輸出されたとき、編集され改変されて、重苦しいテーマやら何やらが完全に削除されて別物になっているのは知っていたが、おんなじようなことが起きていたわけね。オリジナルをズタズタに切り刻んで作り替えたのではなく、ちゃんとリメイクしている分、「罪」は弱いか。 単純にエンタテイメントとして楽しむことにして観れば、しっかり「薪割り侍」ならぬ「薪割りガンマン」は出てくるし、吹き替えで観ると、ロバート・ボーンはちゃんとナポレオン・ソロのカーク船長こと矢島正明だし、ユル・ブリンナーはなるほど「ウエストワールド」はコレから作っていたのかだし、面白かった。 キャラクター立てとしては、「負け犬」となったロバート・ボーンの述懐、「借りは自分にある」というセリフが印象に残った。他の仲間たちも、オリジナルの侍たちより寧ろ何らかの個性が割り振られていた感じだった。やはり、ヒーローものとしての造りになっているわけだ。 それだけに、ラストの「勝ったのは農民」のセリフはやはり取って付けで、浮きまくっている。どうせなら「シェーン」ふうに気障に構えてみた方がよかったのではないかなあ?(おっぺ)
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