感想文等 | 「羅生門」ってタイトルだけど、内容は殆ど「藪の中」。同じ芥川龍之介の作品なのだけれど、なぜ「藪の中」を「羅生門」というタイトルで映画にしたのか、なぜ「藪の中」ではないのか、そしてなぜ「羅生門」が出てこなければならないのか。。。その辺りのことが、「藪の中」のミステリ以上になんだかとても気にかかる。 原作は短編変格ミステリだと思うのだけど、一種のリドル・ストーリー。「女か虎か」の類ですね。文学的な「人間の心の動きの不可解さ」とか「女性の性」とか「男のエゴ」とか、その辺りのことはさておき(さておくのである)、リドル・ストーリー・ミステリとしてなかなか面白かった記憶がある。この映画では、それに様々なプラスアルファがなされていて、今ひとつリドル・ミステリ部分が薄れている気もするのだけれど、たぶんそういう観方をしてはいけないんだろう(笑)。 ただ、この映画のタイトルが「羅生門」で、つまりは「羅生門」のテーマを「藪の中」にカップリングしたということであるのなら(ストーリー面で「羅生門」が特には見受けられないのだから)、この映画に「羅生門」のテーマ、「人間の(男の、と限定されない)エゴ」があるのかもしれない。しかし、この映画のエンディングは「希望」ではないのか、、、それとも、ここに何か、特に明示されていない「どんでん返し」があるのだろうか。(おっぺ)
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