大友、今、信本敬子の３人で飲んでいるときに作られた話、「ワールド アパートメント ホラー」の実写映画で、大友克洋の商業実写映画の監督第１作目となります。1991年４月５日公開。97分。今 敏の単行本「ワールド アパートメント ホラー」収録のタイトル作であるマンガ版の連載は '91年３月からですので、映画の制作が先になります。映画のクレジットでは、原案が今 敏となっていますが、前述の３人の共同原案というのが正確なところかもしれません。

作品は、オンボロアパートを舞台として、日本に住みつくアジア人不法就労者と、それを立ち退かせようとするヤクザのやり取りに、アジアの精霊が絡んでくるという、全体として70年代後期の大友短篇作品を思わせる内容です。なお、実写版と漫画版では、前半部はほぼ同じですが、後半がかなり違っています。同じ原案からスタートしても、メディア（の制約）が違うといろいろ変わってくるという例でしょう。

劇場で販売されたパンフレット（上画像) には、大友克洋のロング・インタビュー (6p) が収録されています。この作品の制作過程についてや、アジアについての認識、マンガと映画の制作における違いなど、興味深い内容が語られています。また、出演者、制作スタッフの他、阿部寛、加藤昌也などの映画へのコメントも収録されています。

右画像は販売（レンタル用）ヴィデオ販促用非売品テレカ。大友テレカとしては珍しい、一コママンガ的自画像イラストです。レンタル店で３本以上まとめて注文すると付属しました (その他プレゼントなどがあったかどうかは不明)。このイラストは現在のところこのテレカ以外では見ることができないものです。

• 97mins
• SONY MUSIC ENTERTAINMENT
• SRVF-1442
• VHS
• 定価 14,300円

劇場公開終了後は、パッケージ・ヴィデオとして販売されました。LD (このサイトでは未掲載) も発売されました。

ところで、VIDEO と LD のパッケージ・デザインは大きく異なっています。大友克洋の希望は LD のようなアルファベットのタイトルのみのデザインだったのですが、VIDEO 業界ではそのようなものは認められず、泣く泣く上記画像のデザインにされてしまったとのことです。
　ただし、正式に発売されたヴィデオのパッケージが出来上がる前、一度希望通りのパッケージが印刷されました。結局これは全て廃棄処分されてしまうのですが、某所に１枚だけ現存しています。また、発売に先駆けてレンタル店に配布されたサンプル版のパッケージは、表面のみ当初のデザインが使われていました。

• 97mins + 特典映像
• SME Visual Works Inc.
• SVWB 5009
• DVD (リージョン２)
• 定価 4,500円

上記の VHS と未掲載の LD は両方とも一度廃盤になりましたが、廉価版の VHS（値段が違うだけで、パッケージもほぼ同じもの）が現在も発売中です。また、2001年８月22日には DVD も発売されました。ジャケットは VHS のものを踏襲。特典映像として LD BOX「SPECIAL COLLECTION AKIRA」にも収録されていた劇場公開時予告編が収録されています。