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OTOMO KATSUHIRO Movies

映画「迷宮物語:工事中止命令」

Manie-Manie VIDEO
  • 1987年10月10日発売
  • 50mins
  • 東宝/角川書店
  • TA1494
  • VHS
  • 定価 10,000円

もともとは1986年に公開された劇場アニメ「時空の旅人」(原作:眉村卓、原題「とらわれたスクールバス」) と2本立てで劇場公開するために制作が始まった、眉村卓原作の短篇作品をオムニバス形式にしたアニメーションでした (企画のスタートは '84夏)。しかし、実際に制作が始まってみると、どんどん時間がかかってしまい、当初の公開には全く間に合わなくなり、結局「劇場用作品の予算をかけたオリジナル・ヴィデオ作品」として発売されました。ただ、発売直前に催された「東京国際ファンタスティック映画祭 '87」でもお披露目上映されました。上に示したパッケージ・ヴィデオは、87年に発売されたものです。後に LD も発売されました。
 サブ・タイトルの「Manie-Manie」とは、フランス語で「精神に分裂をきたしている者」を意味する言葉だそうです。また、英語圏では「Neo-Tokyo」というタイトルで流通しています。これは、「AKIRA」を先に受け入れていたので、大友克洋の別作品をプロモートするのに安易に付けられてしまったものだと思われます。そのため、「工事中止命令」と「AKIRA」が時空的に繋がっているものだという誤解を生んでしまっています。わかっているひとたちは、「Labyrinth Story」などと呼んでいるようです。

収録されているのは、りんたろう監督によるシュールな作品「ラビリンス・ラビリントス」、川尻善治監督によるハードボイルド作品「走る男」(ただし、当初は押井守が監督の予定だった!)、そして大友克洋が監督を務めた破壊の物語「工事中止命令」の3作品。各作品約15分で、全て眉村卓の短編小説を原作としています。原作は「ポケットのXYZ」という短編集に収録されていたものですが、このアニメ作品の制作に伴い、りん/川尻/大友克洋による脚本の変更を採り入れたリライト版の短編集「迷宮物語」が発表されました (右画像:1986.08.25発行、角川文庫)。表紙は森本晃司。本文には福島敦子、森本晃司、なかむらたかし、川尻善昭の口絵、イラストも収録。なお、「Newtype '86年8月号」の「角川 OVA 第一弾「迷宮物語」詳報」にこのリライト版と本文イラストの一部が収録されています。

Mayumura Taku/ Manie-Manie
Manie-Manie Pamphlet '89
'89公開時のパンフ (A4、400円、'89/4/15発行)

大友担当の「工事中止命令」は、原作に忠実に作られたものにもかかわらず、原作が大友克洋でないことを忘れさせてしまうくらい大友作品になっています。破壊と混沌、不条理なストーリーは、まさに大友克洋に打ってつけだったといえるでしょう。大友克洋は監督の他、脚本、キャラクター・デザインを手がけています。なお、この作品の作画監督はなかむらたかし。原画は森本晃司、なかむらたかし、大友克洋、桜井邦彦。美術監督は椋尾篁。後の大友アニメ人脈は、こういうところから作られていったのでしょう。

Manie-Manie movie flyer A Manie-Manie movie flyer B

左上画像は、'89年になって遂に一般劇場公開された時のパンフレット。同時上映だった楠桂の「妖魔」とのリバーシブルになっていて、「迷宮物語」の部分は9ページ。各短編のあらすじのほか、構成プロデューサーの丸山正雄、各短編の監督であるりんたろう、川尻善昭、大友克洋のコメントが掲載されています。
 右画像は「迷宮物語」のチラシ2種。左は迷宮物語の単体チラシで、右は公開前のテアトル池袋アニメシアターのチラシ。大友克洋のコメント等は掲載されていません。また、どちらもあまり流通しておらず、入手は難しいかもしれません。

ヴィデオ、 LD は共に廃盤。アニメに強い中古店やネット・オークション等で入手可能だと思います。→2008年に角川エンタテインメントよりDVDが発売されました。

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