隣で、カートリッジの交換の音がする。
視線を向けると、そこには自信満々な目をしたドックさんがいる。
絶体絶命的な、状況なのに。
俺たち二人しかいないのに。
相手は拳銃密輸組織なのに。
「何で、そんなに・・・」
微かに震える、俺の手と声。
「怖い怖いと考えれば、絶対に体は動かない。絶対大丈夫、そう思えば、自然と体は動く。もうすぐ、ハトも来る。それまで、コウ・・・、粘るぞ」
ガチンっとカートリッジを入れ、遊底をスライドさせる。
S&WM659の銀と黒のツートンカラーが、目の前にある。
俺も、大きく息を吐いた。
落ち着かせる様に。
続きを読む