項目名 | 白昼の死角(テレビ版) |
読み | はくちゅうのしかく |
分類 | サスペンスドラマ |
作者 | |
公的データ | |
感想文等 | 主人公の鶴岡七郎は天才的な犯罪者なので、同じ高木主人公の天才型名探偵神津恭介と対決したなら、などと妄想もできた。 高校時分には映画化され、それは観ることはなかったが、「横溝正史シリーズ」に続いてテレビシリーズ化された時にはしっかりと観た。やはり原作にはかなわないと思ったし、木島や、特に九鬼のイメージがあまりにも違いすぎて、「うーん」という感じだったが、なにより、結末の描き方に不満があった。 テレビ放映版では、鶴岡はどうやら最期に悔いを残して斃れていったらしい。隅田をはじめ、仲間は一人残らず失われてしまった。それも痛ましい死ばかりで、安らいだ終わりを迎えた者は一人もいない。それを想いながら、テレビ版鶴岡は涙を流し、そして斃れていった…… テレビで、犯罪者の勝利と凱歌で終わるわけにもいかなかったのだろう。また、これはこれで余韻のあるエンディングと言えるかもしれない。 しかし、原作の鶴岡七郎は、ついに死病にすら打ち勝って、さらなる人生を生き続けているのだ。 原作でも、テレビ版と同様、鶴岡は全ての仲間を悲惨に失っている。だが、その中でもさらにふてぶてしく再生し続けた。鶴岡七郎は、そんな人物なのだ。 テレビ版で、これは原作と甲乙つけがたい、と思ったのは、隅田光一の最後の場面。原作では、よく唄っていた「リンゴの唄」を口ずさんでいるのだが、テレビ版では、もっと狂的に、人生は劇場だと叫びながら散っていく。この場面はインパクトがある好シーンだったと、今あらためて観ても、そう思う……。(おっぺ) |