| 項目名 | 扉は閉ざされたまま |
| 読み | とびらはとざされたまま |
| 分類 | ミステリ小説 |
| 作者 | |
| 公的データ | 完璧に騙せたはずだった ただひとりの女性をのぞいては 緊迫した攻防をシャープに描く“同窓会”ミステリー 照明は、点けたままでいいのだろうか? 暗くなっていく時間帯に、入浴時に部屋の照明を消すだろうか。 消さない、というのが伏見の結論だった。 照明のスイッチには手を触れずに、再びドアノブを握った。ゆっくりと引いた。 どん、と音がしてドアが閉まる。 よし。 伏見は一人うなずいた。 久しぶりに開かれる大学の同窓会。成城の高級ペンションに七人の旧友が集まった。〈あそこなら完璧な密室をつくることができる〉当日、伏見亮輔は客室で事故を装って後輩の新山を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした。何かの事故か? 部屋の外で安否を気遣う友人たち。自殺説さえ浮上し、犯行は計画通り成功したかにみえた。しかし、参加者のひとり碓氷優佳だけは疑問を抱く。緻密な偽装工作の齟齬をひとつひとつ解いていく優佳。開かない扉を前に、ふたりの息詰まる頭脳戦が始まった……。 |
| 感想文等 | 本格ミステリの世界にはよくあるシーンです。「そうではない」話を書こうと思いました。閉ざされた扉を前にして、探偵と犯人が静かな戦いを繰り広げる。この本に書かれているのは、そんな物語です。対決の立会人はわずかに四人。あなたが、五人目です。(石持浅海) 倒叙+名探偵なら、これは確かに頭脳戦だ。コロンボでも古畑でも、これが純粋にはまり込んだときは確かに傑作になる。名犯人と名探偵が鎬を削る、互いに相手の力量を評価しながら、それを上回ろうと脳髄を絞る。「犯人の正体」を隠さず、そればかりか、犯人の心理の隅々まで明らかにできる倒叙形式は特に有効になる場合も多い。 読み始めてしばらくして、さらに魅力的に感じたのは、探偵役のキャラクター。カバー裏のアウトラインを読んだ時には、怜悧な頭脳を持つ神津恭介型の女性探偵のように思えたのだが、そうではなかった。 そして、犯人と名探偵との過去の因縁も…… シンプルであり、決して重厚な傑作ではないかもしれない。しかし、かなり楽しんで読み進め、読み終わることができた。動機について納得できにくい部分はあるだろうし、冒頭の密室づくりには首をかしげた。けれど、久方振りに楽しく読んで行くことができただけで満足だ。 この作者の作品は初めてだったので、読まずじまいだった旧作も機会があれば手に取ってみたいと思う。(おっぺ) |