項目名 | 双樹に赤 鴉の暗 |
読み | そうじゅにあかからすのくろ |
分類 | ミステリ小説 |
作者 | |
公的データ | うだつの上がらないサラリーマン・唐沢は、揶揄われながらも二人との同居に幸せを感じ始める。 一方、上流坂署刑事・高遠は、貴金属店泥棒自殺事件の報告書を纏めるうち、得体の知れない蟠りを覚え…。 時は移ろい、事件は繰り返されようと、変わらぬ真実もある。 薬屋シリーズ第9弾。(おっぺ) |
感想文等 | もちろん、それは錯覚である。巧妙な時間差トリックに陥ったため、まるで「事件など無かった」かのように思わされてしまったのだ。しかし、実際は、事件が阻止されたのは「過去」であり、現在においては事件は丸々発生させられてしまった。ただ、主人公一派が関与することが無かっただけだった。 それにしても、不思議な小説だ。単発ものでは許されるはずのない構成、また単なる連作物でも許されるはずのないプロット、これは実は、京極夏彦のシリーズと全く同じ進展を持つものだ。 緩やかに一冊一冊、キャラクターたちの進展を描く。これはそういうタイプの小説であり、つまりはビルドゥングス・ロマンとか大河小説とかそういうものの一派だったようだ。(おっぺ) |