感想文等 | 読んでいきながら、そして読み終わりながら、「なんだ、全然『事件』というものは無かったな。。。」とか思った。 もちろん、それは錯覚である。巧妙な時間差トリックに陥ったため、まるで「事件など無かった」かのように思わされてしまったのだ。しかし、実際は、事件が阻止されたのは「過去」であり、現在においては事件は丸々発生させられてしまった。ただ、主人公一派が関与することが無かっただけだった。 それにしても、不思議な小説だ。単発ものでは許されるはずのない構成、また単なる連作物でも許されるはずのないプロット、これは実は、京極夏彦のシリーズと全く同じ進展を持つものだ。 緩やかに一冊一冊、キャラクターたちの進展を描く。これはそういうタイプの小説であり、つまりはビルドゥングス・ロマンとか大河小説とかそういうものの一派だったようだ。(おっぺ)
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