語る「万華鏡」

(レタス・フライ)

レタス・フライ(れたすふらい)

項目名レタス・フライ
読みれたすふらい
分類ミステリ小説

作者
  • 森博嗣
  • 公的データ
  • 西之園萌絵が叔母らと訪れた白刀島の診療所をめぐる怪しい噂に迫る。(「刀之津診療所の怪」)長期の海外出張で訪れた某国の美術館で、“僕”が遭遇した不可思議な事件とは…?(「ラジオの似合う夜」)ショート・ショート五編を含む透明感に満ちあふれた九編収録。
  • 感想文等
  • 収録されたうち、長編シリーズの関連作なのは、最初の「ラジオの似合う夜」と最後の「刀之津診療所の怪」の計2編のようだ。
     最初の話は、おや、と思っているうちに、一人称の主人公の正体が知れる。
     全然、どこがいいのか解らない男だが、とにかく電話だけでも彼女と再会できたのは楽しかった。
     だが、1冊読み終わって、いつの間にか想い出し反芻しているのは、こちらではない。
     最後に収録された進行形の話関連のほうだ。
     これは、例によっての話と思わせながら、土壇場で主人公たちの逆転を見る。海月は勿論のように、萌絵も後衛に退き、背景だった人が立ち現れる。
     再会。しかも、ただの再会ではない。
     もはや彼は少年ではなく、彼女も少女ではない。
     どれほどの時が流れただろう。どれほどの事が通り過ぎただろう。
     それらが一気に押し寄せて来るような、最後の再会シーンであり、そして言葉……
     ――久しぶりだね……
     いつの間にか想いだし反芻している自分に気付き、驚くのだ。
     どれほどの時が流れただろう。
     どれほどの事が通り過ぎただろう……(おっぺ)
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