語る「万華鏡」

(確率2/2の死)

確率2/2の死(かくりつにぶんのにのし)

項目名確率2/2の死
読みかくりつにぶんのにのし
分類ミステリ小説

作者
  • 島田荘司(おっぺ)
  • 公的データ
  • プロ野球のスター・プレーヤーの子供が誘拐された。身代金一千万円。警視庁捜査一課の吉敷竹史刑事は、姿を見せぬ誘拐犯の指示で赤電話から赤電話へ、転々と走り回る。が、六度目の電話を最後に、犯人は突然、身代金の受け取りを放棄し、子供を解放した。果たして犯人の目的は何か。鬼才が野心的着想で挑んだ長編推理小説。(おっぺ)
  • 感想文等
  • 軽い感じの吉敷もの。
     ふと思うのは、「ら抜き言葉殺人事件」だの、吉敷ものは後になればなるほど「内容が薄手だ」という感じになってしまったのだけれど、割りと面白く読めるこの「確率2/2の死」、最初から文庫で出て、それだから、「ああ、少し軽めに仕上がっているのかな」という感じで読めたのであって、もしもカッパノベルスでのお目見えだったら、「薄い。。。」と否定的に感じたかも知れない。
     逆に言えば、「ら抜き言葉。。。」のようなのも、文庫版でのお目見えシリーズだったら、案外面白く仕上げているなあ。。。と思ったのかも。

     再読して、心に残ったのは。。。
     夫との気持ちに齟齬が生じて、妻が放心しているときの。。。

     「ベランダに椅子を出し、まるで花火見物でもするように、腰を降ろした。去年の夏、夫と両国へ花火見物にいったときのことを思い出した。あの頃はよかったと思った。お金はなかったが、いまに較べれば、どんなに幸せだったことだろう。」

     いま読むと、とてもせつない。。。

     もう1つ。磯田夫人の臨終のシーン。どんな惨い殺人、死のシーンよりも、胸が痛んだ。人はこんなに簡単に死んでしまうのだ。
     磯田夫人の死因には、「裏」とも思われるものはない方が、個人的にはよかった。
     御手洗はヒーローだが、吉敷もヒーローではある。よい夫でもなく、瑕瑾ばかりの人間には違いないが、やはり。。。(おっぺ)
  • 小品だけど、佳品。
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