感想文等 | 軽い感じの吉敷もの。 ふと思うのは、「ら抜き言葉殺人事件」だの、吉敷ものは後になればなるほど「内容が薄手だ」という感じになってしまったのだけれど、割りと面白く読めるこの「確率2/2の死」、最初から文庫で出て、それだから、「ああ、少し軽めに仕上がっているのかな」という感じで読めたのであって、もしもカッパノベルスでのお目見えだったら、「薄い。。。」と否定的に感じたかも知れない。 逆に言えば、「ら抜き言葉。。。」のようなのも、文庫版でのお目見えシリーズだったら、案外面白く仕上げているなあ。。。と思ったのかも。
再読して、心に残ったのは。。。 夫との気持ちに齟齬が生じて、妻が放心しているときの。。。
「ベランダに椅子を出し、まるで花火見物でもするように、腰を降ろした。去年の夏、夫と両国へ花火見物にいったときのことを思い出した。あの頃はよかったと思った。お金はなかったが、いまに較べれば、どんなに幸せだったことだろう。」
いま読むと、とてもせつない。。。
もう1つ。磯田夫人の臨終のシーン。どんな惨い殺人、死のシーンよりも、胸が痛んだ。人はこんなに簡単に死んでしまうのだ。 磯田夫人の死因には、「裏」とも思われるものはない方が、個人的にはよかった。 御手洗はヒーローだが、吉敷もヒーローではある。よい夫でもなく、瑕瑾ばかりの人間には違いないが、やはり。。。(おっぺ)
小品だけど、佳品。
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