項目名 | 館島 |
読み | やかたじま |
分類 | ミステリ小説 |
作者 | |
公的データ | |
感想文等 | それでも頑張って(笑)読み進めたのも、「完全犯罪に猫は何匹必要か?」に一種の感嘆を覚えていたからだろう。タイトルから来る「これは何か思いきり仕掛けているだろう」という期待感もあった。 正直、物語やキャラクターには全く入り込めないまま「謎解き」へと進み、ここでカタルシスは確かに感じられた。個人的には「斜め屋敷」よりこちらの方が、突拍子もなさという点で、面白くはあったかもしれない。 斜め屋敷でも十角館でもない、「名前のない館」という簡単な伏線と、単語ひとつで「館」の本質がわかる瞬間の楽しさ。意外なれど明快、という一番うれしい形……ではあった。ではあったのだが、やはりとにかく読んでいて物語が楽しくないし、キャラクターに記憶も残らないし、この「館の正体」一本ネタで終わってしまった感じ。 要は「館には仕掛けがありますよ」というだけのネタを、「ネジ」という単語に収斂させることで、あっという面白さに変えているのだが、小説としての部分がもっと面白かったらなあとは思う。おふざけ小説にしないとネタを成立させられなかったとつっこまれてしまうよ?→佐野洋「推理日記」の「スカイジャック」の項を参照しよう。講談社文庫。電子書籍にもなってます。(おっぺ) |