語る「万華鏡」

(奥様はネットワーカ)

奥様はネットワーカ(おくさまはねっとわーか)

項目名奥様はネットワーカ
読みおくさまはねっとわーか
分類ミステリ小説

作者
  • 森博嗣(おっぺ)
  • 公的データ
  • スージィこと内野智佳は、某国立大学工学部化学工学科の秘書。彼女の勤める大学周辺で暴行害事件が多発する。智佳の周辺でも不気味な出来事が続き、友人のルナも被害に遭ってしまうが…。大学の工学部を舞台に、それぞれに秘密を抱えた6人の視点で連続殺人事件を追う、ちょっとフーガな新感覚ミステリィ。 (おっぺ)
  • 感想文等
  • 気軽な気持ちで読み始めて(だって何しろ殆どイラスト小説みたいに見えたので)、突然あっ、これはトリックがあるんじゃないのか、とドキリとしたのは89ページめ(講談社ノベルズ版ね)。固有名詞抜きで「妻」と書いてある、その書き方が、あれっという感触を持ち上がらせたのだ。
     だとすると――もし「」が「スージー」じゃないとしたら……と考え始めると、パタパタと筋道は通っていく。倉知淳の「星降り山荘の殺人」のときと同じ。
     なあるほど、だからスージーのところだけ一人称なんだ……アンフェアにならないように。三人称では、サエグサを「夫」と書くわけにはいかないから。
     あとは読み進めながら、この感触に合致する書き方か、それとも……を読んでいくことになる。。。
     と、いうわけで、森博嗣の作品では珍しく、作者のたくらみを先に感知できた。「今はもうない」以来、次々仕掛けられる大技小技の叙述トリックには、殆どことごとく出し抜かれてきたのだけど。
     この可愛らしいイラストがなければ、もっと早く感づけていたかも――ということは、森博嗣としてもやはりこれは「小品」だったかもしれない。
     でも、面白かったけど(笑)(おっぺ)
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