語る「万華鏡」

(愛の奇蹟)

愛の奇蹟(あいのきせき)

項目名愛の奇蹟
読みあいのきせき
分類コミック

作者
  • 楳図かずお(おっぺ)
  • 公的データ
  • 小学館文庫―イアラ短編シリーズの表題作の1つ。(おっぺ)
  • 感想文等
  • 今日は図書館で泣けた(笑) 泣かなかったけど、目頭が(笑)
     楳図かずおの「イアラ」というのがあるんだけど、その長編「イアラ」に短編十数編がセットになってるやつが、巨大な巨大な一巻本になって、今日図書館に行ったらいきなり「でん!」と存在してた(笑) 「(!o!)オオ!」と思って読んだ(笑)

     楳図かずおって、「漂流教室」の、あの恐怖マンガの人ね。当然「イアラ」もマンガ。別に楳図マニアじゃないんだけど、これは昔子どもの頃読んで、ちょっと印象に残ってたのでした。というのは、この作品集は恐怖マンガじゃなくて、普通の短編小説をマンガで描いた、という感じで。
     長編の「イアラ」自体はあまりそんなでもなかったんだけど、短編たちはすごく記憶に残ってるのがいくつかチラホラ。。。

     特に、ぜひもう一度読みたかったのが、「愛の奇跡」って短編で。。。

     すごく印象に残ってて。ベタな他愛ない話だってことは、子どもの頃にもわかってたんだけど。。。それでも、印象に残ってて。

    「奇跡は……それを信じるものにだけ起きる……」
    という出だしで。

     ストーリーは単純。幻の絶版中だから、あまり正確ではないけれど、少し再現してみましょう。

     恋人同士がいて、まだ若い青年少女の夫婦になって。
     毎日、ご近所から「ママゴトみたいね(^^)」と言われるような、可愛らしい夫婦生活をしていて。
     毎日、おさな妻は、ごはんの用意をしてコーヒーを入れて、彼の帰りを待っている。。。
     ところがある日。
     彼は雪山で、彼女に摘んでいってあげようと花を採りに行って、「あっ!」と転落。
     帰らなかった。。。
     「可哀想に。。。」と言われながら、彼女は泣き、それでも、毎日、彼がいた頃と同じように、ごはんを作り、コーヒーを入れて、彼の帰りを待っていた。。。
     何日も、何ヶ月も。。。
     そのうち、最初は「可哀想に」と言っていたご近所の人たちも、彼女のことを「気味が悪い。。。」と言うように。。。
     そして、何年も、何十年も。。。
     彼女は同じようにごはんを作り、コーヒーを入れて。。。
     ある日、彼女はを見ていて、自分のにしわが寄ってきているのに気づき。。
     「こわい……!」と、自分が年をとっていくことを恐怖する。
     それでも、やはりごはんを作り、コーヒーを入れて。。。
     彼女はすでに可愛らしいおさな妻ではなく、白髪でしわの寄ったおばあさんに。。。
     そんなある日。。。
     雪山で、カチンカチンに凍った若者の姿が発見。。。
     遭難死体だ。。。と掘り出され、運ばれるさいちゅう。。。
     蘇生!
     「死体が生きかえった!」と混乱の中、彼は逃げ出す。「帰らなければ……」と、混乱した記憶の中、どこに、なぜ帰らなければならないのかもよく分からなくなりながら、「帰らなければ……」とさまよう。
     町は、彼の生きていた頃とはまるで変わり、知った場所も人たちもいない。。。
     それでも彼は、「帰らなければ……」と思いながらさまよう。。。
     そして。
     ある日、彼は、見知らぬ世界の中、ただ1つ、見知った、全く変わりのない場所を見つける。
     そこは彼の家。周囲が近代化され、変わり果てた中、ただ1つ何も変わることなくそのままにあった、彼の妻の住む彼の家。
     それを見た途端、彼の記憶は甦る。そうだ、俺はここに帰らなければならなかったのだ! 妻の加枝がここで待っているのだ! 加枝のところに帰らなければならなかったのだ!
     「加枝!」
     彼は家の古びた戸口に行く。
     ごはんの匂い、コーヒーの匂い、何一つ変わらない。彼の家で、彼の加枝が待っているのだ。
     「加枝!」
     加枝「あっ!」
     加枝「帰って来た! やっぱり、あの人は帰ってきた!」
     白髪でシワまみれの加枝は立ち上がり、戸口に行く。
     加枝「あっ!」
     戸口から覗けた彼の若い姿。
     加枝はよろける。あの人は若い昔のままの姿で帰ってきた。
     私は。。。
     こんな私の姿を見られたくない。
     「加枝!どうしたんだ、開けてくれ!」
     「か、加枝ではありません!」
     「加枝、何を言うんだ!その声は加枝だ。やはりそこにいたんだ!」
     「加枝!」
     加枝は必死に戸を押さえる。
     「加枝!」
     彼は戸を押しあける。
     「加枝!」
     「加枝!」
     。。。。。。。。。
     そこには。。。
     愛らしい少女のままの加枝がいる。
     「加枝!」
     そして。。。
     最初の言葉が再び繰り返される。
     「奇跡は……それを信じるものにのみ起きる……」
     。。。

     こうして文章にするとアレかもしれないけど、絵の力もあって、僕は(笑)
     ラストも読めちゃうし、ありきたりなんだけど(笑) 感情の盛り上がりがすごいから、泣けちゃう(笑)
     何か僕の琴線に触れるものがあるらしいです(笑)(おっぺ)
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