公的データ | 夜のうす明かりに、おぼろげに浮かぶ無気味な洋館。自称探偵小説作家の井手江南に伴われ、エマ子は恐る恐る中へ入った。強い香の匂いにまじって、異様な臭気が鼻をつく。そして問題の部屋のドアが開かれた瞬間、彼女は恐怖の悲鳴を上げた。部屋の隅に燃えさかる暖炉の中には、黒煙をあげてくすぶり続ける一本の女の腕が! ここ数か月間、日夜恐ろしい悪夢に悩み続けてきたエマ子は、それが実際の事件として眼前にくり広げられたと知って戦慄した……。 御存知、名探偵由利先生と敏腕事件記者三津木俊助が、鮮やかな推理を展開する傑作長編
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