感想文等 | 「青ルパン」を思い返したとき、いつも一番心にしんみりときて、〈これのないルパンは物足りないんだ……〉と感じていたもの、それがこの「さらば愛しき魔女」のワンシーン。 あまりに印象強かったので、ずっとラストシーンだと思い込んでいたのだが、見返してみると、このあと敵の首魁を倒したり、不二子とドタバタを見せたり、エンディングは中村家コントのような締め括りだった――たぶん、自分の中で、あのワンシーン以降はいわば「残務処理」でしかなく、記憶に残っていなかったのだろう。 そのワンシーンというのは、この回のゲストヒロイン・リンダが斃れていくのを、上空から凝然と見つめるルパンの顔なのだ。 「この花を、〈第三の太陽〉を守って、ルパン。私は、この花がないと生きていけない体なの」 キラー・イン・キラーズなるギャングが狙う、高エネルギーを産みだす花〈第三の太陽〉を前に、そう語っていたリンダ。作中では、リンダが助手をしていた博士の研究により、手違いから「リンダは魔女になってしまった」というだけで、「この花が無いと生きていけない」ことの具体的な説明はない。 あまりに危険すぎるからと、〈第三の太陽〉は博士の意志で燃やされ、滅んで行く。 それを見つめながら、リンダもまた斃れていく。 〈第三の太陽〉が燃える……私の命も燃える…… そんなリンダをルパンは戦慄の表情で見つめる。 (花だ……リンダが散って行く……) このシーンのルパンの表情が、他に代替のきかないまでに心に残っている。(おっぺ)
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