公的データ | 春まだ寒い二月ごろ、不気味な怪盗夜光怪人の噂が東京中に広まった。つば広の帽子にダブダブのマントを着込み、全く表情のない顔をしたその怪人物は、全身からホタル火のような妖しい光を放っていた。 銀座の展示会で七色の真珠の首飾り『人魚の涙』を強奪した夜光怪人は、次に、今度は鎌倉に住む元伯爵、古宮春彦氏秘蔵のダイヤの首飾りを狙っていた。古宮氏の依頼で、本職顔負けの名探偵、新日報社の三津木俊助記者が警備にあたった。しかし、彼は、夜光怪人に裏をかかれ失敗してしまった。 そして遂に、金田一耕助が、事件の解決に乗り出したのである……。
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