感想文等 | そしてまた、この「そして門の鍵」も、シドニーの登場、またアルフィーも、ということで、これ以降の四人の運命の大きな転換点ではあるのだが、個人的な印象は薄い。これは、長さが足りない、もっと長編でなければならないだけのエピソードだった、ということではないかと思う。 シドニーというキャラクターの置かれた状況は特異だが、中途半端に終わってしまった感じで、あまり深くには感情移入できないのだ。 そのせいか、いつまでたっても、アルフィーとシドニーのキャラと名前がよくごっちゃになる(笑)。アルフィーについては完全にそうなのだが、シドニーにしても、キャラクターと設定はあるが、それ以上の背景や人物像がほとんど描かれずに終わり、たとえばエイダの父のミスタ・ムアと同じ立ち位置にとどまってしまったように思う。 「つれて行って」の頃になってもアルフィーとシドニーの影は四人組の内外に存在し、特にグレアムはシドニーのことを、彼の言葉を思い出す。「抵抗だけが、ボクの中での唯一の真実」…… このシドニーの姿があと今少し描かれていて欲しかった。それは……たぶん、「ムーン・ライティング」のトマスの前哨戦のような気もしたりするのだ。 エイダの再登場、グレアムと父との対峙、そしてアンジーと母との対峙など、物語の展開としては外せないエピソードには違いないのだが。(おっぺ)
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