語る「万華鏡」

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とり残されて(とりのこされて)

項目名とり残されて
読みとりのこされて
分類SF小説

作者
  • 宮部みゆき(おっぺ)
  • 公的データ
  • 婚約者を交通事故で喪った教員の「私」は、勤め先の小学校で、「あそぼ」とささやく子供の幻に出会う。そんな折、校内プールに女性の死体が…。(おっぺ)
  • 感想文等
  • ずっと以前に読んだことはあったはずなのだが、今回再読してみて、あっと思ったのは、この話、ダークゾーンなのだ。。。
     暗い情念――婚約者を殺された恨み――に取り憑かれたヒロインが、その暗い情念から脱けだして、光明を手にする話。。。なように予想して読み進んでいったのだが、そんな「宮部みゆきだからこうだろう」的な簡単な話にはならなかった。
     そう、宮部みゆきは「必殺者」なのだった。「燔祭」〜「クロスファイア」でも見られるように、単純に「復讐は虚しい」云々で割り切れる正義の味方ではない。ハートフル、癒し、そういうレベルの語り手ではないのだ。
     恨み、復讐、人が人を殺す、そういったことへの徹底した物語としては、貫井徳郎殺人症候群」以上のものを今のところ知らない。刊行後、年に一度「殺人症候群」は読み返しているが、読み返せば読み返すほど、この小説の凄み、重み、悲しみをより一層感じさせられる。
     だが、いつか宮部みゆきもまた、「クロスファイア」を超えた「仕置人」の小説を語るときが来るのかもしれない。
     この短い小説を読んで、そんなことを思った。。。(おっぺ)
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