感想文等 | ずっと以前に読んだことはあったはずなのだが、今回再読してみて、あっと思ったのは、この話、ダークゾーンなのだ。。。 暗い情念――婚約者を殺された恨み――に取り憑かれたヒロインが、その暗い情念から脱けだして、光明を手にする話。。。なように予想して読み進んでいったのだが、そんな「宮部みゆきだからこうだろう」的な簡単な話にはならなかった。 そう、宮部みゆきは「必殺者」なのだった。「燔祭」〜「クロスファイア」でも見られるように、単純に「復讐は虚しい」云々で割り切れる正義の味方ではない。ハートフル、癒し、そういうレベルの語り手ではないのだ。 恨み、復讐、人が人を殺す、そういったことへの徹底した物語としては、貫井徳郎「殺人症候群」以上のものを今のところ知らない。刊行後、年に一度「殺人症候群」は読み返しているが、読み返せば読み返すほど、この小説の凄み、重み、悲しみをより一層感じさせられる。 だが、いつか宮部みゆきもまた、「クロスファイア」を超えた「仕置人」の小説を語るときが来るのかもしれない。 この短い小説を読んで、そんなことを思った。。。(おっぺ)
|