１６００００ＨＩＴ記念贈呈兼「マルチの話」１０回記念ＳＳ
 
 
 
 
 

　　　Ｔｏ　Ｈｅａｒｔ　ＳＳ　　　　　　　　　　　　　　　　　　マルチの話
 
 
 
　　　　　　　　　
　　　　　３人に乾杯
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　くのうなおき
 
 
 
 
　　　　　　　はじめに
 
 
 
　さーて、「マルチの話」も、とうとう１０回目よー、そして、その記念すべき回
の主役はこの、あ・た・し、志保ちゃんで～す♪あ、そうそう、ちなみに今回の
話は前回の「またまた恥ずかしいです～」の一ヶ月後、あたしがヒロの家に
ようやくまた出入りできるようになった頃になるわよ。
　それじゃあ、いってみよ～♪
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
　「・・・・・・『了承してね』・・・・・は・・・・・？」（汗）
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
　ヒロの家への出入り禁止がようやく解かれ、あたしはまた藤田家に
お邪魔することができるようになった。まったく、ヒロもあかりも厳しすぎ
よ～、ほんの冗談でやったのに・・・・。しかし、この一ヶ月半、ヒロの家に
行けなかったのはつらかったわ～、あかりの料理をただで食べれるか
否かが、一月の志保ちゃん財政に大きく響いてくるんだからね！
 
・・・・・・なんていうのは冗談で、この３人の所に来れなかったのは
本当、辛かったわ。
 
 
 
 
 
　今、あたしの目の前で三つの死体・・・じゃなくて酔いつぶれた
３人がいる、ヒロとあかりとマルチだ。
 
　「志保ちゃん復帰祝い」という事で、お酒の入ったドンチャン騒ぎ
をしたんだけど、まあ、あかりはともかく、ヒロ！あんたまで酔いつぶれ
てどうすんのよ！まったく・・・・花見とかパーティーなんかあるときには
必ずって言って良いほど「酒はでねえのか？」なんていっているくせに
まったくだらしがないいんだから。えっ？お酒は２０歳になってから？
志保ちゃん全然わかんな～い♪
　しかし、びっくりしたのはマルチよねぇ～、まさか、付き合い程度位
ならお酒も飲めるなんて、まったくこの子を作った連中って何考えてんの
かしら、それでもコップ一杯でダウンだからしょうがないわよね。
 
 
　まあ、それにしても、このロボットちゃんときたらホント可愛い顔して、
幸せそうに眠っちゃって～、思わずキスしたくなっちゃうじゃないのよぉ～
・・・・・・・、ちょっと！別にあたしは怪しい趣味はないからね！これは
お母さんが娘を想うような感じなのよ、えっ、まだ母親になってない？
うっさいわね！！
 
 
　話を戻すわ・・・・、あたしはマルチの幸せそうな寝顔をじっと見ている。
一体この子はどんな夢をみているんだろう？きっとヒロとあかりの夢なんだろう
けど・・・・、あたしも夢にでているのかな？
 
 
 
　そうだったら、とっても嬉しいんだけどね・・・・・・。
 
 
 
　あたしはマルチの髪を梳くように頭を撫でた、こういうように撫でると彼女は
とっても幸せそうな顔をするのだ、といっても今は眠っているんだけどね。
　それでもあたしの中を何か優しい気持ちが流れ込んでくるのを感じる。
　ヒロもあかりは、いつもこんな気持ちを味わっているんだろうな・・・・・。
 
 
 
 
 
 
 
　あたしは、あかりの方に顔を向ける、あかりは真っ先に酔いつぶれて、マルチ
の膝の上に頭を乗せて眠っていた。あははははっ、いつもと逆じゃないのよ、
今日ばかりは、あかりちゃんはマルチママの娘ってわけね♪
しかし、この子もマルチに負けず劣らず幸せな顔をして眠っているわねえ
まあ、どんな夢を見ているかはバレバレなんだけどね、高校の時からちっとも
変わっちゃいないんだから、ま、強いて違いをあげるなら、夢にでる人物が
一人追加された事かな。
 
　「・・・・・・・・・・あん・・・・・・駄目だよぉ浩之ちゃん・・・・・・、マルチちゃんが起きちゃうよぉ・・・・・・・」
 
 
　なんちゅう夢をみてるんじゃ、こやつは！しかもうれしそうな顔をしおって！
あたしはあかりの頭をぺしっと叩く、それでもあかりは起きる事なく幸せな
顔で眠っている。
　ちなみにあかりの夢にいつもでてくるのは、寝言でいった二人ってわけ、
たまには親友のあたしも出して欲しいもんよね。
 
　　「もう・・・志保ったら・・・・、またマルチちゃんに変な事教えてる・・・・・」
 
 
　　　ずって～ん！！
 
 
　あ、あたた・・・・・・、この子人の考えが読めるの？でも・・・・・、夢のなかであたしに何させてんのよ！！
もう一度、あかりの頭をぺしっと叩いた。
 
 
　もう、頼むからあの事は勘弁してよぉ・・・・・・・、二度とマルチに変な事
は教えないから～。
 
 
 
 
 
　
　「う～ん・・・・・・」
 
 
　ヒロの唸り声に、あたしはヒロに視線を移す。
　あかりとマルチから少し離れた所にヒロは眠っていた、そこはさっきまで、二人で
飲み合戦をしていた場所だ。
　眠っているヒロの横にはくまのぬいぐるみがあった、これはマルチの物で名前は
「くまさん」という。しかし、マルチまでくま好きになっちゃうとはねえ・・・・・・。
ヒロにそれを言ったらヒロの奴、顔を真っ赤にして「い、いいんじゃねえの・・・・・」
と言っていたけど、何か意味ありげよねえ・・・・・・、今度とっちめてやる。
　それにしてもヒロの「くまさん」ショーは傑作だったわねえ、もうすっかりなりきっちゃって
、あんた良いパパになれるわよ♪マルチもとっても喜んでたし、でもあかり、あんたねぇ
・・・、「わたしも『くま』持って来れば良かった。」って羨ましそうに言ってるんじゃない！
まったく甘えん坊が二人もいてヒロも大変よね。
　でも！いままでさんざんヒロがあかりに甘えていたんだから、今までの分、しっかり
甘えさせてあげるのよ、もちろんマルチにもね！！
 
 
 
　「あかり、マルチ・・・・・・・くまさんでおじゃる・・・・・・・・」
 
 
 
　あははっ、夢の中でも「くまさんショー」やってるわよこの男。
 
　「うるせえ・・・・・、笑うな・・・・・・志保」
 
 
　起きてるでしょ！！あんた！！
　あたしは、ヒロの頭をぽかりと殴りつける、それでもヒロは
起きない、なんかくやしいわねぇ・・・・・・・・・。
 
 
 
 
　
　あたしは元いたソファーに座り、３人を眺める。
３人が３人とも幸せそうな顔をして眠っている。
　あたしは、この幸せな３人を見たくて、この家に来る。
３人の幸せな笑顔を見ていれば、あたしも優しい気持ちに
なれる、どんな辛いことがあっても負けない気がする。
 
　それは、３人の優しさがあたしに流れ込んでくるから
なのかな？
 
　あたしもヒロ達のような家庭を作れると良いな。
 
 
 
 
 
 
　ねえ、ヒロ、あかり、マルチ、あたしはね、あんた達が大好き
だから、優しいあんた達の家庭が大好きだから、ここに来るんだよ。
　あんた達の幸せな笑顔を見たいからここに来るんだよ。
 
　あたしの他に、ここに来るみんなもそれは同じ気持ちだと思う。
 
 
 
 
 
 
 
 
　だからね、・・・・・・・・・・・・・・・・・出入り禁止はもう勘弁してよぉ～・・・・・・・・・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
　あたしは、立ち上がってヒロの傍に寄って、ヒロの両肩を抱えるように
ヒロを引きずった。
　まったく、重いわねえ・・・・・・。
　苦闘の末、ヒロを何とかあかりとマルチの傍によせる、やっぱり
こいつらはこうじゃなくちゃね。
 
　あたしは、ワインをグラスに注いで、それを３人の前にかざす。
 
 
 
　ちょっと気障かもしれないけど、あたしの想いを込めて。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
　　これからの３人に乾杯
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
　　・・・・・・・・・この志保ちゃんが願かけてあげたんだからね、あんたら絶対不幸になるんじゃないわよ！！
 
 
 
 
 
 
 
 
　　　　　　　　　　　終