軽井沢編 13弾です
ここ数日 少し強めの自身が続いていますね。
『東海地震とは関係がない』と学者さんが仰っていたそうですが・・・
何はともあれ台風で地盤が緩んでるところへ持ってきての地震ですからやっぱり警戒はすべきですよね。
『天災は忘れた頃にやってくる』と申しますし。
日頃の心構えが大事、ということで。
そして飲み会完結編です(笑)
どうぞご覧下さいませ~
のんびり進んできたこのお話もなんとか終わりが見えてきましたがもう少し続く予定ですのでよろしければもう暫くお付き合いくださいませ~(^^)
以下本文
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友達
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『苦労するわよ』と言われた原因は野明に纏わりついたまま今にも眠ってしまいそうになっていた。
体重が掛かって重い。
「遊馬、ね、起きて。重いんだってば」
小柄な野明では眠ってしまった遊馬をこの体制で支えることは出来ない。
背後から肩に抱きつかれた格好になった野明はひっくり返るのを堪えるだけで精一杯で座ってるスツールから下手に立ち上がるとバランスを崩して一緒に倒れかねない。
「ねぇってば。眠らないでよ。一度離してってば」
野明の抗議が聞こえているのかいないのか 遊馬は手を離す気配はない。
見かねた男性陣が加わってなんとか遊馬を野明から引き剥がすと空いていたソファに横たえた。
眠ってしまった遊馬を囲んで6人で大きなため息をつき、何となく勢いを欠いてしまった雰囲気に肩を竦めた。
申し訳ない気分で一杯になった野明が頭を下げる。
「あの、本当にすみませんでした、私がついてきちゃったから変な感じに・・・」
心底すまなさそうな顔で謝る野明に茜と都が「野明の所為じゃないって」と肩を叩く。
「そうだね、泉さんが気にすることじゃない」
「でも・・・」
野明はここに来る少し前から遊馬の様子が妙だと気づいてはいた。
コテージを出るのを渋ったり、自分を手元から離さなかったりととにかく何かに警戒した感じが拭えない。
その原因がよく分からなくて野明は当惑していた。
昨日 肌を合わせたことだけが原因というわけでもないだろうし・・・。
だとしたら 逆にもう少し余裕があってもいいとおもうんだけど、と野明は首を傾げた。
「確かに今日の篠原はちょっと変だね」
西野が困った顔をして遊馬を見遣る。
「そうだね、最近の篠原を知らないけどここまで他人に執着するタイプじゃなかったんだけどな」
粕谷も首を捻り水島も深く頷く。
皆の言う『最近の』遊馬しか知らない野明にしてもこんな遊馬を見たのは初めてだった。
そっと眠る遊馬を見ると眉根を寄せるようにして少し辛そうな顔をしている気がした。
近寄ってそっと額を撫でると気持ち表情が和らぐ。
「何か 悩みでもあるのかな・・・」
ぽつりと都が呟いた。
「だとしても、篠原は人に言わないだろうね。自分の事は特にさ」
西野の言葉に皆が一様に頷いた。
確かにその通りだろうと思い野明は少し情けない気分になった。
自分の悩みはすぐに察してさりげなくフォローしてくれる遊馬に自分は何もして上げられていない、そう思うと自分の無力さが悲しくなった。
「さぁて!」
水島が殊更に元気よく声を掛ける。
「しんみりしていても勿体ないし、気分を変えて飲まないか?」
雰囲気を変えるのは賛成と皆が頷く中 野明だけが複雑な気分だった。
『帰った方がいいよね』と思い、都を振り返るとぐいっと手首を掴まれた。
「今 帰ろう、とかおもったでしょ?」
「え・・? あ・・うん。やっぱり・・・」
言いよどむ野明の言葉を遮るように都はキッパリと言い放った。
「駄目よ!少なくとも10時ごろまでは付き合ってもらうからね!」
腕時計をグイと突き出し「あと2時間!」と宣言する。
「でも・・・」
「本当はトコトン付き合って貰いたいんだけど明日帰るんでしょ?だったら10時で勘弁してあげる。だからそれまでは付き合いなさい!」
腰に手を当てて偉そうにいう姿はどこか遊馬を彷彿とさせて野明は思わず噴出した。
「なによ?」と眉根を寄せながら笑う。
「仕方ないなぁ」
こういう態度には敵わないなと苦笑する野明の手を引いて都は皆の待つソファに向った。
席について暫くすると都と茜が野明を名前で呼ぶのにつられて男性陣も野明を名前で呼ぶようになっていた。
結構なペースでグラスを空けながら水島が訊く。
「野明ちゃんはお酒苦手なの?」
「そんな事無いですよ、寧ろ強いほうなんですけど・・・」
「そうなの?その割りに篠原が物凄く細かくオーダーに口出してたからさ」
「私 洋酒に弱かったみたいで・・・」
野明は困ったように笑った。
「洋酒?」
「日本酒とか焼酎、ビールは結構平気なんですよ。でもこの前遊馬と飲みに行った時にカクテル飲んで酔いつぶれちゃったみたいで・・・」
「みたいって・・・記憶に無いんだ?」
「無いの。それで遊馬大変だったみたいで。ここカクテルが中心でしょ?だから遊馬 ものすごく口出してたんだと・・・」
「大変って 野明酒癖悪いの?」都が素朴な疑問を投げかけた。
「どうなんだろう?」野明は首を傾げる。
「遊馬が言うには 少し絡んだ後にそのまま眠り込んだらしいんだけど・・・記憶にないんだよね」
「今のまるっきり 逆じゃない」
「あ・・・そうだね 本当だ」
野明はすやすやと眠る遊馬をみて苦笑した。
「野明さん 日本酒がいいなら用意できるよ?」
西野が声を掛けると野明は あわてて首を振った。
「いえ あの大丈夫です。気をつけて飲みますから。」
そう言って手を振ると 都と粕谷が「日本酒でるなら出してよ、こっちも飲む!」と手をあげた。
「ああ言ってるし、どう? 何種類かもってきて貰うから。」
「あの・・じゃ、宜しくお願いします」
そういうと西野がバーテンに声を掛けた。
程なく部屋の扉が開いて 数本の地酒が一升瓶で運ばれてきてテーブルの上にドンと置かれる。
程なく酒盛りが始まった。
野明は都と茜の間でコップを片手に安心してお酒を飲む。
やっぱり日本酒の方が落ち着くなと思った。
殆ど顔色を変えずに杯を重ねる野明に男性陣が舌をまいた。
「本当に強いね」
「実家が酒屋なんですよ」
「成る程ねぇ」
他愛もない話をしながらコップを傾けているとソファから軽い呻き声が聞こえてきて皆で一斉に振り返る。
頭に手を当てて軽く振りながら遊馬が半身を起こしているのが目に入った。
賑やかな声にうるさいな、と感じてうっすらと目をあける。
見慣れない天井が目に映り次いであまり覚えの無い感触のソファに疑問を持った。
身体を起こそうとすると若干クラリとした感覚がして額を押さえて軽く頭を振った。
寮の部屋でもなく、泊まっているコテージでもない風景に頭がついて来ない。
ゆっくり首をめぐらせると少し離れた席で自分の旧友に囲まれた野明がこちらを伺っているのが見えた。
「野明・・・」
名前を呼んで駆け寄ろうとしたが足元に力が入らずによろけたところを西野が支えた。
「大丈夫かい?」
「ん? ・・・ああ・・わりぃ」
「気分は?」
「頭痛いけど まあ平気だよ」
言って野明を見ると透明な液体の入ったコップを机に置き自分の方に駆け寄ってくるのが見えた。
「遊馬、大丈夫?」
「ああ・・・何とかな」
心配そうに覗き込む野明の顔を見て鎖骨の上についた赤い花に目が止まった。
慌てて顔を上げ周りを見渡して、野明に目を戻すとキョトンとした顔が目に入る。
「野明・・・これ」
赤い痣を指すと野明は頬を染めてついっと横を向いた。
「遊馬が悪いんだからね」
『誰にやられたのか』と訊こうとしたのに野明のこの態度を見ると・・・
「俺・・・か?」
顔に朱がのぼる。
「・・・覚えて、ないの・・・?」
野明は非難がましい目を遊馬に向けた。
「え・・・あ・・いや・・その 何となく覚えてる」
片手で顔を覆い顔を真っ赤にする遊馬につられて野明の頬まで赤く染まる。
「酔っ払い」
「わりぃ・・・えっと 怒ってるか?」
バツが悪そうに顔色を伺う遊馬をみて野明は『珍しいものみたなぁ』と思う。
けれどそこは顔に出さないようにして少し声を低めた。
「怒ってるよ。遊馬 自分が何したか覚えてないわけ?」
「えっと・・・他に何か・・したか?」
しどろもどろになる遊馬に野明は盛大にため息をついた。
「・・・覚えてないなら、もう いい」
ぷいと横を向くとそのまま踵を返してソファに戻ろうとする野明を慌てて引き止めた。
「ちょっとまてって。そんなに怒るって俺 本当に他に何をしたんだ?」
問いに答えない野明の代わりに 茜が遊馬に耳打ちする。
事の顛末を聞いた遊馬がこれ以上に無いくらい顔を赤くしたあと思い切り頭を抱えた。
「本当に?」
「何なら皆に聞いて回ればいいじゃない?」
「・・・できるか、そんなこと」
「皆の前でキスはされるわ、キスマークは付けられるわで男はそれを覚えてないとか言われた身になってみなさいよ?」
「・・・怒って当然だよなぁ・・・」
野明の様子を伺うと透明な液体をはいったコップを傾けている姿が目に入る。
一瞬で酔いが醒めた気がした。
「あ、あいつ何飲んで!」
日本酒が出ていていることを知らない遊馬は焦って駆け寄ると野明のコップを取り上げた。
「野明、飲み方に気を付けろって・・・」
言って机の上に並ぶ一升瓶に目が留まる。
「・・・なんで?」
「野明ちゃんがこっちの方が強いって言うので路線変更」
粕谷が事も無げにいい、都と野明がコクコクと頷いて遊馬の手からコップを回収した。
「あ・・・そう・・・っていうか粕谷、お前っ」
呼び方がいつの間にか名前になっているのに気づいた遊馬が文句を言おうとすると粕谷がへらりと笑った。
「今更 苗字っていうのもねぇ。お前が寝ちゃってから皆名前で呼んでたよ、ナイト気取る気だったんなら先に潰れちゃ意味が無いな」
肩を震わせて笑う粕谷に遊馬の全身から力が抜けた。
「・・・ああっ もう・・・それはいいや。ところで野明 ちょっといいか?」
そう言って皆から少し離れたソファに座り込むと手招きする。
遊馬の傍にしゃがみこむと野明は「何?」といって顔を覗いた。
遊馬は俯き加減に小さな声で野明に謝罪する。
「その・・さ。酔っ払って迷惑かけた、ごめん。」
「もういいよ、そのかわり、今度から気をつけてよね?」
「反省してるよ、本当 悪かった」
頭を下げる遊馬に野明はクスリと笑って小さな声で耳打ちする。
「あ~んな昔の話に妬いてくれるとは思わなかったなぁ、でもああいうは2人だけの時にしてね」
吃驚して遊馬が顔を上げたときには 野明はもう涼しい顔をしていて「皆のところへ戻ろう?」というと遊馬の手を引いた。
笑顔で仲間に溶け込む野明を見て遊馬は『こいつには敵わないな』と内心舌を巻いた。
遊馬が寝ていた時間は1時間程で時計は間もなく9時半を指そうとしていた。
7人でテーブルを囲みあれこれ話をしているとあっという間に時が経つ。
特に女性陣は時々きゃあ♪と歓声を上げつつ内緒話に花を咲かせることもあり、二課ではまず見られないその様子を遊馬は興味深げに見ていた。
「篠原は?」
「あ、何?」
西野に声を掛けられて上の空で話を聞いていた遊馬は返答に困った。
「いや、いいよ。篠原は本当に野明さんが気になるんだね」
笑いを噛殺すようにして言う西野に遊馬は苦笑する。
「否定はしないけどね」
再び野明たちに視線を向けて目を細める。
「あいつ あんな風にはしゃいでるの初めて見たからさ」
「そうなのか? 普通だろう、あの年の女の子だとさ」
「そうなんだろうけどさ、うちの職場は女性少ないから。その上全員上司だし」
「成る程ね。でも寮に居たりしないのかな、友達」
「いるみたいだけど勤務体制も特殊だからなぁ、職場以外で人と接するって余り無いんだよな」
「なら、良かったんじゃないの?思ったより上手くやってるじゃない、茜たちと」
「そうかもな」
女同士で話に花を咲かせる様は本当に普通の女の子で職場で見せる快活で元気のいい姿とは趣が違って見えた。
『四六時中一緒に居ても、こういうのは俺にみせない顔だよなぁ』とぼんやり考える。
「あいつも『普通の女の子』なんだなぁ」
しみじみ言う遊馬に西野は目を丸くしてから噴出すように笑った。
時計が10時を指し、都の腕時計のアラームが鳴った。
野明は少し名残惜しく感じたが明日のことを考えるとこの辺が時間の限界だということは良く分かっている。
それでも『帰る』の一言を切り出せない野明に都がポンと肩を叩いて「時間だね」と笑った。
少し寂しそうに頷く野明をぎゅっと抱きしめる。
「なぁに寂しい顔してんの?またいつでも遊びにくればいいでしょ?友達なんだから」
茜も言葉を添えた。
「なんなら篠原君抜きできなよ、気兼ねしなくていいしさ」
3人で抱き合ってクスクス笑っていると 遊馬が不貞腐れたような顔をして野明の後ろに立った。
「なぁに勝手なこといってんだよ」
「ほーら来たわよ、小舅が」
「誰が小舅だ!」
都と遊馬のやり取りに3人が噴出すように笑った。
「野明 帰るぞ!明日は東京に戻るんだからな」
不貞腐れた顔のまま野明に向って手招きする。
三人でもう一度ぎゅっと抱き合って「またね」と挨拶を交わした。
突然 都が思い出したように「ちょっとまって!」といって鞄を探る。
可愛い名刺いれを取り出すとカードを野明に手渡した。
「連絡先。絶対 連絡頂戴ね」
それをみて茜も同じようにカードを取り出して野明に差し出す。
2人からカードを受け取って野明はこういう自分用のカードが無いことを少し残念に思いながら手帳を切り取って2人に連絡先を手渡した。
「じゃ またね」
2人と挨拶を交わし遊馬に連れられて部屋の出口に向う。
「遊馬 私会計・・・」
「もう 払った」
「じゃ 後でね?」
「おう」
短い会話を交わしながら扉へ向かい、振り返って男性陣とも挨拶を交わすと部屋の外に出た。
エレベータに乗り込むとどこか名残惜しそうな顔をした野明に問う。
「名残惜しい?」
「そうだね、少し」
「残るか? 明日の運転は俺がするんだからまだ話足りないなら・・・」
意外な遊馬の言葉に野明は目を瞠り、すぐにクスリと笑った。
「いいの。少し名残惜しい位が丁度いいんだよ、また会いたいなって思えるでしょう?」
「今度は俺抜きで?」
拗ねたように言う遊馬がまるで子供のように見えて野明は思わず噴出した。
「さぁ どうしようかなぁ」
おどける様にいうと遊馬は大きなため息をついて「やっぱり会わせるんじゃなかった」と小声で呟いた。
野明はくすくすと笑いながら遊馬の腕を取ると額を肩口につける。
「・・・今は遊馬と2人で居たいな」
野明の頭の上から笑みを含んだ優しい遊馬の声が降る。
「今だけか?」
「当面 明日の夕方まで」
「ま、その先はその都度考えればいいことか」
野明は返事の代わりに絡ませた腕をしっかりと抱え込むとぴたりと遊馬に寄り添う。
その様子を横目にみて、遊馬はゆっくりとタクシー乗り場に足を運んだ。
「帰るぞ」という遊馬の声に野明は嬉し気に「うん」と返事を返しタクシーに乗り込んだ。
to be continue...
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追記
さてさて壊れた遊馬をどうやって修復しようかと考え込んで数時間・・・
実は12をUPした時点で落としどころは大体決まっていまして(^^;
13は半分もう終わっていたという(笑)
捻りってなぁに? というくらいベタなオチですみません。
そおた。さまにビンゴ賞差し上げないといけないかも(^^;
そろそと終わりが見えてきました。
あと少しです♪
お時間ありましたら是非是非一言なりとご意見ご感想などを戴けますと嬉しいです(笑)
皆様の温かいコメントに励まされて書いているようなものですので~♪
長い割りに進まない駄文ですが見捨てないでくださいねm(。。)m
では次回ものんびりマイペースに更新して行こうと思いますのでどうぞ宜しくお願いいたします。
ツッジー 2009年08月12日(水)23時10分 編集・削除
おーーーー(≧∇≦)第13弾きたねー(≧∇≦)
飲み会終了か・・・。
名残惜しいぐらいがちょうどいい
いい言葉だね!!!!
また会う楽しみが増えたんだもんね(≧∇≦)
さて、2人になった野明と遊馬は宿に帰ってどうするのかな(*≧m≦*)ププッ