軽井沢編 第7弾です
吐くほど甘い・・・
まさにそんな状態で(^^;
読み返すのすら恐ろしくて誤字脱字があったらこっそり指摘してください☆
やっぱり時間は進みません(笑)
何故サックリすすまないのか。きっと私が纏めるの下手なんですよね、精進します~
さて とても焦れったい2人ではありますがそれでもいいよという方は是非どうぞ(^^)
長くて完結に程遠いですが宜しくお付き合いくださいませ~
以下本文
===============
撤回
===============
車は草津方面に向かって走り出した。
野明はきゅんとする感じが止らなくて『遊馬の方をちらりと見ては視線を逸らす』を繰り返していた。
遊馬はそれに気づいてはいたものの何と声を掛けたら良いのか思い厭ねて結局黙ったまま車を走らせた。
20分弱で車が目的地についたとき、遊馬は野明に「ついたぞ」と声を掛けて先に車を降りた。
助手席側にまわると野明が降りて来てきて遊馬は野明の手を引いて建物の方に向かった。
野明は初めて目にする変わった形の建造物に思わず目を奪われた。
夕方になって空が深い青みを帯び地平の裾野に朱の色を残す黄昏時、その建物は中からオレンジ色の温かい光を放っていた。
丁度、建物を真横から見る位置に立っていた野明からは不規則な大きさと傾斜角をもった薄い石の板の間に挟まれたやさしい色の光を透過するガラスがミルフィーユのように何層にも横に連なっていてそれが危うい微妙なバランスを保っているように見えた。
ドミノ倒しの途中を見るような不思議な光景。
それが夕闇に浮かび上がってとても幻想的だった。
野明が息を呑んでその光景を見つめる姿を満足そうに眺める。
「綺麗だろ?」
「うん。すごく綺麗」
「入り口、向こうなんだ。入れると良いけどな」
そういうと野明の背中を軽く押し建物に向かって歩く。
程なく正面に到着すると先程とは随分印象が違って見えた。
石で出来た巨大なアーチが段々と大きさを増して少し角度をずらしながら連なる洞窟の入り口のようなデザイン。
けれどそれはどこか厳かで凛とした空気を放っていた。
遊馬は野明を伴ってそのアーチの入り口に歩を進める。
数メートル入るとそこには木の扉と明るく灯されたオレンジの電球があってその手前はぐるりと一周アーチ状にガラスが嵌め込まれていて外が見えた。
『これがガラスのミルフィーユの中』と妙に感心していると遊馬が木の扉を開いた。
中はとても不思議な空間で何層もの石のアーチとガラスのアーチがやはり不規則に配置され、ラインに沿って無数にはめ込まれたガラスにあしらわれた半月形の透かしが光の微妙な揺らぎを作っていた。
石とガラスの回廊。そこを少し進むと急に天井がぐんっと高くなり左右に分かれた木のベンチと正面には3段ほどの階段と祭壇。左から大きく張り出した不思議な形状の石と木でできた記帳台。
正面に大きく抜けるアーチ型の解放口に風除けのように置かれた石の衝立。
建物の壁には緑の蔦植物が茂り、どこかの遺跡の中にいるようだった。
「教会?」
遊馬に問いかける。石とガラスで出来たそこは思いがけず声が響いて野明は声を潜めた。
「ああ、凄いだろ?」
あたりをゆっくり見回す遊馬に倣って野明もぐるりを首を巡らせた。
「物凄く神秘的だね」
時間も手伝って幻想的に見える石組みの教会。
「『石とガラスで作られた世界でも希少な教会』なんだそうだ」
「へぇ・・・」
「自然をテーマにしたらしいから、風も抜けるし、石壁には水も伝えば緑も茂る。昼間はガラスがふんだんに使われているから太陽光も降り注ぐ。なんかこう厳かな感じしないか、宗教に興味があるわけじゃないんだけど」
「そうだね。なんだか物凄く神聖な気持ちになる」
この場所のもつ神秘的な空気と微かな緊張を含む静謐な雰囲気。華美な装飾など何も無いこの空間にはそれ故になにか神々しいものが宿っていそうな気さえした。
遊馬を振り返ると神妙な面持ちで建物を眺めている横顔に目が留まる。
またトクン・・・と心臓が音をたてた気がした。
きゅっと胸が締め付けられるような感じがして目を逸らそうとしたときに振り返った遊馬と目が合ってしまった。
不思議そうな顔で「どうした?」と問いかける声を聞いて思わず遊馬の胸にぽんと身体を預けた。
『遊馬の匂いがする』その香りに思わず気が緩む。安心をくれる香り、軽く目を閉じると遊馬の心音が聞こえた。その音が心地よくて暫く遊馬の胸に頬をつけてじっと聴き入っていた。
『遊馬が大事。この人が大好き』
そう思うときゅんと心臓が縮むような感覚がして少し苦しかった。
声を掛けた途端、自分に凭れ掛かってきた野明に驚いて遊馬は少しの間固まってしまった。
少し切ないような顔をして自分の胸元に頬を寄せる野明を遊馬は複雑な気持ちで見つめていた。
『特別大事なパートナーのお兄さん』としてはどうしたものか。
遊馬としては野明を仕事のパートナーとしては勿論だが、1人の女性としてみている面がある。
それは先の滝口の一件で遠まわしにではあるが伝えた心算だった。
はっきりと言わないのは己の狡さ故。拒絶されるのが怖くて勝算が無い勝負には手を出せない。
野明はどうなのか、と考える。もしかすると野明にとっての自分は気の合う同年代の同僚としての域を出ていないのかもしれないと思うこともしばしばあった。
こうして旅行についてきても自分を兄の様だといい、同じ部屋に2人で泊まってもこれといって構える様子も無い。
嫌われていることは無いと思うが異性として意識されているのかというのはまた別の問題だ。
野明を失いたくなければ迂闊なことは出来ないが、それでも思いを寄せている女性からこんな風に身体を預けられると流石に遣り切れない気持ちを味わう。
本人にはきっと大した考えは無いんだろう、『傍にいたから胸を借りた』位のもので。
遊馬は自分の両手と気持ちのやり場に困って天井を仰ぎ見た。
夕暮れ時の藍色の空は日が落ちる直前の紅に輝く雲を少しづつ飲み込むように色を落としていった。
野明の手がそっと自分の背中に回されるのを感じてこのまま抱きすくめてしまいたい衝動に駆られる。
迷った末に遊馬は野明の両肩に手を乗せてゆっくりと息を吐き出した。
声を掛けていいものか悩んだ挙句、暫くして野明の小さな細い身体を壊れ物を扱うようにそっと抱きしめて軽く目を閉じた。
腕の中の野明は温かくて少し甘い香りがした。
どのくらい時間が経ったのか、或いはほんの短い時間だったのか。
腕の中の野明が身動ぎする気配がして目を開けると、閉じていた腕をそっと開き野明の顔を覗いた。
あたりは日が落ちて教会の中はオレンジ色の暖かな色の光で満ちていた。
空には一点の朱も無く深い藍色をした空に日の落ちたあたりだけがうっすらと白んでいるのが伺えた。
憂いを帯びたような野明の青い瞳に吸い寄せられるように思わずその顎に手を掛けた。
そっと上を向かせるように手を返した途端、瞳に不安と戸惑いが滲んだ。
軽い罪悪感を覚えて手を離すと、今度は寂寥感と先よりも強い戸惑いの色を浮かべた瞳がこちらを見返す。
その顔は遊馬の胸に切ない疼きを齎す。
浅く呼吸を整えると出来るだけ静かな声を出した。
「嫌じゃなければ目、閉じてくれ」
『嫌なら拒否してくれ』と言わなかったのはそうされるのが怖かったから。
この言い方は狡いのかもしれない、逃げる方法を明示しないのは願望。
緊張で早鐘を打つ心音を意識しながら野明の瞳を窺った。
胸の苦しさに耐えかねて遊馬の背中にそっと手を回した。
この気持ちが伝わればいいと思ったのか、気づかれるのが怖いと思ったのか自分でもよく分からなくて、じっとしていたら遊馬の手がそっと肩に添えられた。
静かに吐き出される息の音が胸の苦しさを弥増し、このままやんわりと拒絶されるのが怖くてぴたりと頬を寄せたまま動けずにいた。
暫くそのままでいると遊馬の手がゆっくりと肩から離れ、野明をやさしく抱きしめるのが分かった。
拒絶されなかった事への安堵と抱きしめられた事による緊張、切なさできゅんと胸が締め付けられるような感覚とが一緒になって思わず目を閉じる。
遊馬の腕の中は温かくて。こんなに複雑な思いを抱えているのにも関わらず、やっぱり一番安心できる場所でもあった。
胸中の嵐が幾分凪いできて野明は意識をはっきりさせようと軽く頭を振る。
いつの間にかすっかり日が落ち室内がオレンジの暖かい光で満たされていてつい先ほどまでとは随分と趣が変わっている。
自分を抱きしめていた腕を開くのが分かってそっと顔を上げると複雑な顔をした遊馬と目が合った。
その目は真っ直ぐで真剣、なのにいくらかの愛惜が篭もっていている気がして思わず魅入ってしまう。
つっ・・と遊馬の手が伸びて自分の顎に掛かり、そっと上に引き上げられた。
意図することが分からずに不安になって遊馬の目を見た。
『遊馬、私にキスしようとしている・・・?』まさかと思う反面、微かに期待も過ぎる。
戸惑いとキスなどしたことが無いことから来る言いようのない不安。
それがそのまま顔に出てしまったのだろう。
遊馬は目が合うとハッとした様子で顎に添えられていた手を離した。
「あ・・・」思わず小さな声が漏れた。
手を離されたことに対する不安と戸惑い、それに『私じゃ駄目だったのかな・・・』という軽い失望感。
一瞬 期待した分だけ寂寥感が増しそれらが入り混じった複雑な感情に追い討ちをかけた。
遊馬はその様子を憂いの篭もった切な気といっていい瞳で見つめてから、いつもより少し低くて感情の読み取り辛い静かな口調で「嫌じゃなければ目、閉じてくれ」と言った。
遊馬は『何が』とは言わなかった。
けど、それはいくら『勘が鈍い』といわれる野明にも分かる。
少し躊躇った。
ここで首を振ったら遊馬はそのまま何事も無かったようにくるりと踵を返すかもしれない。
でも、このまま目を閉じたら・・・私は遊馬の『特別』になれるだろうか?
一度 私の態度に逡巡しながら遊馬はもう一度自分に問いかけている、多分これが最後。
もう一度はきっとない、そんな気がした。
野明は心臓が飛び出してしまいそうなほどドキドキしながら緊張した面持ちで己が瞳を覗き込む遊馬の目を見返し、それからゆっくりと目を閉じた。
全身が緊張して思い切り強張っているのが自分でもよく分かる。
遊馬の手が再び顎に掛かって、ついっと野明の顔を上に引き上げた。
遊馬の吐息を鼻に掛かるほど近くに感じ、全身に力が入ってしまっている野明が思わず顎を引きかける。遊馬は顎を支える手と野明の腰に回した腕に少し力を込めて傍に引き寄せそっと唇を重ねた。
ほんの数秒、唇を重ねるだけの優しいキス。
重ねた時と同じようにそっと唇を離すと遊馬は野明をぎゅっと抱きしめて「お前が好きなんだ」と小さな声で囁くように告げた。
心臓を鷲づかみにされるようなきゅんとする感覚が全身に広がって野明は再び遊馬の胸に身体を預ける。
「遊馬、順番が逆」
「そうだな」
『拒絶されなかった』安堵感と野明を『捕まえた』と感じる安心感。
体中の緊張が一気に解れたような気がした。
ややあって野明が小さな声で問いかけた。
「お兄さんって言ったの、撤回していい?」
「どうぞ。今度は何の役、くれるんだ?」
「・・・やっぱり旦那様がいいな。好きな人に演って貰うなら」
胸に寄せられている顔が熱い。真っ赤になっているだろう顔が容易に想像できて可笑しかった。
「承りましょう、じゃ そろそろ帰って仕切り直そうぜ」
「ん。そうだね」
そう言って顔を見られないようにさっと踵を返す野明を捕まえる。
「もう一回。今度は力抜いてくれ」
そういうと野明の頸の後ろに手を添えて軽く唇を重ねた。
不意打ちを食らった野明が吃驚して抗議する前に遊馬はパッと手を放し腕時計を確認する。
「ここ後20分位で閉館するんだ、早く出ようぜ」
悪びれた様子も見せずに、横に並ぶと野明の背中に手を添えて出口に促す。
名残惜しそうに祭壇を振り返る野明を見ながら「また今度見に来よう」と声を掛けた。
黙ってコクリと頷くのを見て出口の扉を押し開ける。
外はもうすっかり日が落ちて夕焼けの残滓も僅かとなり夜の帳が下り始めていた。
煌煌と光を放つ層を成したオレンジ色の光が夕闇に映えて静かに浮かび上がって見えた。
to be contine...
=============
追記
えっと 吐くほど甘いとは正にこのこと(^^;
続きどころか読み直す勇気すらなくて逃げ出しそうです~
焦れったさに歯噛みした挙句、こんな感じでごめんなさい(゜ーÅ)
ああ こっぱずかしくてこのまま本当に逃げてしまいたい位です。
一言なりとご意見ご感想などを戴けますと逃げたいのを踏みとどまる勇気になります(笑)
次回ものんびりマイペースに更新して行こうと思いますのでどうぞ宜しくお願いいたします。
ちなみにこの教会はモデルがあります。
かなり有名なところなのでご存知の方もおいでかも知れないですね(^^)
興味をもたれた方がいらしたら 公式HPをご案内しますのでお知らせくださいませ。
本当にステキな教会ですよ♪
ASAKI 2009年07月04日(土)11時52分 編集・削除
あ~やっと伝わったのね。
安心したわ~。
と、いうより「気づけよ!!!」という私の中の悪sakiが暴れた(笑)
そうよね~ここで、やっとお兄さんから旦那へ変更できたのね~
このもどかしい感じがたまりません(^_-)-☆