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サクラサク

昨日は地震もありました
ここ最近多いなぁ・・・
今日もかなり冷え込んで開花が足踏み状態になっています近所の染井吉野。
この分じゃ週末満開は間に合わないかな?

というわけで季節のネタ 花見です♪
えっと・・・ベタなものしか出てこないのは頭が半分 溶けているからだと思います(^^;

というわけで・・・読んでもいいわという方はぜひどうぞ♪

続き

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サクラサク
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春先3月。
都内の桜はまだ3分咲きというこの時期に遊馬は同寮の先輩から半ば強制的に花見への参加を通達された。
不規則な勤務を理由にその場を逃げ切ろうとしたものの同じ寮に住む太田が彼らに準待機である事を告げていた為、諸先輩方は遊馬に逃げ手を打たせなかった。
毎年 酒が入ると羽目を外すものが現れ場が荒れがちになる花見と言う名の合コンに遊馬はまるで気が進まずコンビを組むパートナーと一緒に近所の公園でも歩いたほうがいくらも有意義なのに、と軽く眉を顰めた。

付き合っている訳ではないが比較的休日を共に過ごす事が多い彼女との仲を勘繰るものが少なくない事は彼とて重々承知している。
それを敢えて肯定も否定もする事無く放置していたので何人かは確実に関係を疑っている事は想像に難くない。
コンビを組んで2年。
一年の半分以上 寝食を共にする職場環境が妙な連帯感を生み彼の所属する部署はもはや家族同然ともいえる奇妙な絆が形成されていた。
そんな中で色恋沙汰を起こすのは色々な意味で面倒がある。
その事を意識してかしなくてか、互いに気にする素振りはあるものの遊馬と野明の関係は一向に進展する様子を見せずその事は却って周囲に妙なもどかしさを与えていた。

花見当日、逃げる事を最早諦め唯々諾々と先輩の計画した花見に付き合う事になり遊馬は軽い溜息を吐きながら寮をでた。
勤務地がバラバラなので場所を決めるのが困難だった事は判るのだが結果的に寮から一時間近くかかる場所に設定された会場に渋い顔をする彼へ同道した非番の武田が同情の笑みを向けた。
「そんな仏頂面するなって」
「してねぇよ」
「この手の集まり嫌いだもんな、篠原は」
「別に花見が嫌いな訳じゃないさ、気が向きゃ自分で見にも行くし」
「それに合コンが絡むから嫌なんだろ?」
「面倒くせぇからなぁ・・・」
うんざりしたように言う遊馬に武田は苦笑して見せる。
「泉さん呼べば良かったのに」
「なんで野明の名前が出るんだよ?」
「気を使ってんのかな、と思ってさ」
「馬鹿馬鹿しい。あいつは仕事のパートナー、そういう気を使う相手じゃないの」
「ふーん。今日の事言って無いのか?」
「・・・言う必要があるか?」
「まぁ 言いたくないなら良いけどさ」
嘯く武田に遊馬はふんっと鼻を鳴らし「そういうんじゃねぇよ」と呟くと『その話にはもう乗らない』とばかりに歩調を速め、その半歩後ろを歩きながら武田が「素直じゃないねぇ」と笑いを噛み殺した。

花見会場に設定された飛鳥山に着いた時には既に夕方で時間的には夜桜見物に近い。
今日の陽気で一気に開花が進んだソメイヨシノは5~6分咲きと言ったところで花見としては許される程度の花を咲かせていた。
ブルーシートの置かれた一角に見知った顔が既に何人か集まっていて其処へ足を向ける。
集まった者から適当に場所を決めて座ると酒やつまみを広げてそこかしこで小さな宴会が勝手に始まっていた。
促されて座ると缶ビールを手渡され二人もその中に加わる。
程なく女性も集まり始めて総勢20人近い人数で花見兼合コンが賑やかに始まると遊馬は何気なく集まった面子の顔をざっと眺めた。
知った顔もいれば知らない顔も多い、その中である女性グループに目が止まった。
遊馬を強引に連れ出した先輩たちと一緒に酒を酌み交わす中に混ざった濃い茶の瞳をした小柄な女。
一瞬彼女と目があって思わず目を瞬くと慌てて向こうが目を逸らした。
見覚えの無いその女の反応に遊馬は一瞬首を捻り、次いで手にしたビールを呷って肩を竦める。
肩にかかる程度のセミロングの髪は漆黒でストレート。
ニット帽を被りハイネックのインナーにチュニックワンピースとロングタイプのレギンス。
記憶にないその容姿に違和感を覚えつつ遊馬もまた視線を外した。
『こっちが知らなくても相手が俺の素性を知ってる事は良くある話だ』
そう思い遊馬は深い溜息を吐いた。

それでも時々彼女とは目が合い飲み始めて1時間を過ぎた頃遊馬は少し居心地の悪さを覚え始めた。
知らない相手の筈なのに時々何かが引っかかる。
何が引っかかるのかと考えていると武田がにやにやしながら脇腹をつついた。
「何 篠原、彼女が気になる?」
遊馬の視線の先にいる小柄な女性を目で示し口の端に笑みを浮かべる。
「・・・気になるっていうか・・・なんか引っかかるんだよ。お前 判んないか?」
「何言ってんだか。気になるならそう言えばいいのに。呼んで来てやろうか」
愉し気に言って腰を浮かす彼を慌てて引きとめようとしたが酒の入った相手程 性質の悪いものはなく彼は大声でそのグループに声を掛けた。
「大原さ~ん 篠原がその子気になるんだって。紹介してやってよ」
「うわ、ばかっ 武田っ。そんなんじゃないって」
慌てる遊馬を「まぁまぁ なんなら泉さんには黙っててやるからさ」と軽くいなし「こっちおいでよ」と手をこまねく。
明らかに困って首を振る彼女を無理やり立ちあがらせて『大原』と呼ばれた大柄な女性とその同期と思われるやはり大柄な女性が件の女性を両脇から捕まえてこちらに連れて来た。
「あ・・・あの。困りますっ」
小さな声で自分よりも頭一つ以上も大きな二人に意見する彼女の仕草に遊馬は再び引っかかりを感じて微かに眉間に皺を寄せた。
無理やり遊馬の隣に座らされ俯く彼女にどうしたものかと思い武田に恨みがましい目を向けると女性たちが名前を名乗った。
「初めまして、かな 私は大原 玲、こっちが加藤 結衣」
もう一人の大柄な女性を差して言うと最後に遊馬の横に座らされた女性を示して「彼女は 水野 愛」と紹介した。
「へぇ 水野さんっていうんだ、所属は?」
尋ねる武田に大原が「私たちは 刑事課よ」と笑みを浮かべた。
刑事課と聞いて頭を掠める人物に遊馬は苦笑しながら「篠原です」と名乗り、隣に座る小柄な女性に目を向けた。
小柄な彼女の背格好は自分のパートナーとよく似ているが印象がまるで違う。
その所為か却って活発で赤みの強い髪をしたブルーグレイの瞳を持つパートナーを思い出してしまい遊馬は自分に呆れて困った様に笑った。
笑みを見てきょとんとした瞳を向ける愛に遊馬は妙な既視感を覚えその顔をまじまじと見てしまうと頬を染めた彼女が慌てて目を逸らした。

小一時間隣で酒を飲んでいて彼女の仕草を観察し殆ど声を発さない愛の様子を窺う。
それを見た周りが『いい雰囲気だ』と囃し立て始めた頃遊馬は 漸く違和感の正体に気がついた。
それと同時に何とも言えない脱力感を味わいこめかみを軽く抑えると大きな溜息を吐いた。
時間はまだ9時前。
飲みたい奴は夜明かしする勢いなので時間的には宵の内。
しかし遊馬は気分がすっかり醒めてしまいすっと腰を上げた。
「水野さん、ちょっといい?」
「え・・・あの・・・」
「持ち物有ったらもってきて」
戸惑う彼女に小さく囁くと二の腕を掴み席を立たせ盛り上がる周りの目を盗むようにしてその場を離れた。
黙って手を引かれる彼女を連れて皆の傍を離れ公園内の池の方へと足を向ける。
大きく張り出した桜の枝が池に映る場所まで来ると遊馬は足を止め彼女の手を離した。
くるりと彼女に向き直ると軽く深呼吸して ぐっと彼女を引き寄せる。
動揺する彼女の背中に回した腕に少し力を込め、肩口に顔を埋めた遊馬は『やっぱりな』と心中で呟いた。
「あ・・・あのっ・・・」
吃驚して腕を突っ張り彼を振り払うと愛が目に涙をためて数歩後ずさった。
遊馬が一歩前に進むと彼女が一歩後ろに下がる。
ふるふると首を振り涙を零す彼女に彼は大きく一歩踏み出しその腕を捉えた。
捕えた彼女を再び腕の中に引っ張り込むと愛が大きく頭を振って「こんなの 嫌だ」と呟いて静かに泣き始めた。
「何が嫌?」
「だって・・・こんなのっ 私・・・」
泣きじゃくりかけた彼女の頭をぽんぽんと叩くと遊馬は大きな溜息を吐いた。
「そう思うなら その化粧と髪型、元に戻せ」
「・・・え?」
吃驚して遊馬を見上げるその濃い茶の瞳。
間近で見ればすぐにわかる。
「あと そのカラーコンタクトも。どう言う心算でこんなことしたんだ、野明」
名前を呼ばれて彼女は目を瞬いた。
「・・・どうして?」
「馬鹿にすんな、2年一緒にいたんだぞ。判るさ」
「・・・いつから 気付いてたの?」
目に涙をためたまま拗ねた顔をする野明に遊馬は呆れた顔を見せた。
「最初から違和感は有ったんだよ。確信したのは席を立つ少し前だな、名前の謎掛けが解けたから」
言いながら彼女のウィッグを丁寧に外すと見慣れた明るい色の髪が顔を出した。
「謎掛け・・・?」
きょとんとする野明に「何だ、本人はまだ気付いてないのか」と遊馬は苦笑いした。
「あの名前 誰がつけた?」
「え? 大原さんと加藤さんだよ」
「で あの二人に連れてこられたんだろ? 俺も来てるって知ってたか?」
首を振る彼女に遊馬は「やっぱりな」と困った様な笑みを向けた。
「ちゃんと判る様になってたんだよ、簡単なアナグラムだ」
「アナグラム?」
首を傾げる野明に遊馬が笑った。
「そ。音遊びだな、『水野愛』 平仮名に直してみな」
「平仮名に?」
「で 順番変えてみろよ」
俯くようにして少し考え、漸く合点の行った野明が「あ」と小さな声を上げた。
「わかったか?」
「・・・私の名前・・・」
「よくできました」
腕の中で頬を染める野明の頭をポンポンと叩き慣れ親しんだ彼女の甘い香りを感じて遊馬が笑った。

結局 あの花見の席には戻らずゆっくり公園を散策して飛鳥山を離れると二人で上野に向かった。
「お前と見るならこっちの方がいいからさ」
愉しそうに笑う遊馬と並んで歩いていると不意に野明の視界が遮られた。
ぐっと腕に抱きこまれ自分の顔を覗き込む彼の顔に少し驚くと彼はニヤニヤと笑って問い掛けた。
「なぁ なんでさっきは泣いたんだ?」
「え?」
「池の傍で抱き寄せた時。今は逃げないし泣いてないよな」
「あのっ・・・それはっ・・・」
急に真っ赤になって腕から逃れようとする彼女に「答えるまで離してやらない」と嘯くと額をコツンと合わせる。
『遊馬が自分だと気付いていないと思ったから』
そう言うのが癪で野明は必死に他の理由を考える。
それを認めると自分は自分に妬きもちを妬いた事になり、それは余りもバツが悪かった。
返答に困る野明を見て遊馬は声を上げて笑い彼女にそっと囁いた。
「まぁ 妬いてくれるのは有難いけど、そういうのはちゃんと付き合ってからの方が嬉しいな。で 俺は『水野愛』さんより、今のお前の方が好きなんだけど?」
「気障・・・」という小さな声とともに腕の中に収めた彼女の頬が頭上の枝より一足早く仄かに紅い色を付けた。

fin

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追記

桜もちらほら咲き始めて花見ネタをと思っていたんですが・・・
やることがあるのに現実逃避して ハリポタなんて読んでしまった(^^;
ちなみに私が持っているのは原書です
日本語版 発売が遅かったので児童書なら行けるだろう、と思って買ったんですよね。
後半数冊は それほど日本語版が待たされなかったので翻訳も読みましたが(笑)

そこで出てきた アナグラムのネタがちょっと引っかかったのでそれを使ってみました♪
でもこの手のネタって有り勝ちかなぁ・・・・
誰かと被っていたらごめんなさい~
その際には 地面に頭を擦り付けて謝罪します~

コメント一覧

ツッジー 2010年03月30日(火)13時19分 編集・削除

甘~~~い(≧∀≦)

ほんわかしたよー(≧∇≦)

好きな女の人はどんな格好しててもわかるんだよねー(≧∇≦)

非公開 2010年03月30日(火)20時52分 編集・削除

管理者にのみ公開されます。

瞳子 2010年03月30日(火)23時02分 編集・削除

甘々話、ご馳走様です。(*^^*)
どんな格好をしても遊馬は野明だとわかります。そんな男だ。

しかし、野明はどんな経緯でその格好をしたんでしょうかね?
さくらさん♪

さくら(ツッジー様) 2010年03月30日(火)23時21分 編集・削除

>ツッジーさま

甘いですか(笑)
お気に召してよかったです~
遊馬は判ったみたいですよね♪
その辺が2年伊達に一緒にいなかったって事ですよね★

こんきち 2010年03月30日(火)23時43分 編集・削除

変装しても見破れるなんて、さすが2年四六時中一緒にいただけの事はありますね~。
野明が心配するほどのことではなかったみたいですね。
甘いお話ご馳走様でした。

さくら(内緒様) 2010年03月30日(火)23時44分 編集・削除

>内緒さま

あはは! 見えますかっ
其処まで考えてなかったけど目撃してたら凹むでしょうね(^m^)
変装しても判るのは愛の力ですかね、やっぱり♪
それはそうと 「黄昏を待たずに」ですか~
気になって某所で聞いてきました(笑)
ああ 成程っ!
これはいいかも~♪

それはそうとっ!
エルガイム!
「風のノーリプライ」は今でも私の十八番ですよ(上手くは無いけど★)
うわぁぁぁ 内緒様夫婦とカラオケ経由で飲み明かしたいっ!
すごい愉しそうだなぁぁ(笑)

ちなみにハリポタは初めの頃 英国でめっちゃ流行っていたのに翻訳されてなかったんですよ。
なので原書を知り合いが送ってくれたんですね~
児童書なので比較的簡単なのでいいよ、と。
でも結局辞書首っ引きでしたけど(^^;
あれは日本語にならない面白ポイントが結構あって原書の方が面白い気がします♪
アナグラムもそうだし ハグリッドの口調とか文章自体が韻を踏んでいるのがヒントになっていたりとか仕掛けが沢山あって面白いんですよ♪
翻訳する人ってどうするんだろ?という所が沢山です
翻訳版の一巻目借りてもいいんだけど面倒でそのままなんですよね
機会があれば是非♪

さくら(瞳子様) 2010年03月31日(水)01時50分 編集・削除

>瞳子さま

甘甘ですよね(笑)
そうそう どんな格好しても判りますよね、絶対(^m^)
それは教官も一緒かぁ(って あれは郁のタッパも手伝っちゃうので見分けやす過ぎでしょうけど★)
野明の経緯 少し有ったんですが大した話じゃないし突発SSにしては長くなるのですっ飛ばしちゃったんですよね(笑)
突っ込みがありましたので補足しましょうか?(^^;

さくら(こんきち様) 2010年03月31日(水)01時52分 編集・削除

>こんきちさま

そうですよね 見破りましたね★
心配する必要なかったみたいです(笑)

甘いですよね 本当に~

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